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“なんでもアリ”の池袋をもっと楽しもう!子ども向けからアート作品まで、シネマとマチがつながるアニメ映画祭「池袋シネマチ祭」 [READYFOR?]

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「池袋シネマチ祭」の企画者3人。街づくりからイベント企画まで幅広いバックグランドのメンバーが集まった。

シネマとマチとファンのための映画祭を。東京・池袋で6月6日(金)~8日(日)、街と映画を楽しむ「池袋シネマチ祭」が開催されます。

『劇場版NARUTO-ナルト-』や『機動戦士ガンダムUC』などの上映や、細田守さんを始め監督やプロデューサー、人気声優らのトークショーに加えて、映画音楽のクラシックコンサートやgreen birdのコスプレ大掃除、街コンと色とりどりのイベントが連動!池袋の街を巡りながら映画とその世界観を楽しむ、新しい”お祭り”です。

メインテーマは、池袋と縁の深い「アニメ」。アニメやマンガ、小説の舞台として登場することが多い池袋は、近年、アニメファンの街として知られるようになりました。そこで池袋シネマチ祭では、世代やジャンルを問わずアニメファンが集まり、作品を楽しみながら、ファン同士がつながることを大切にしています。

池袋の東西に位置するすべての映画館をつなぎ、ファン交流の拠点になるのが、豊島区役所近くの中池袋公園に設置予定の特設ステージです。実行委員では今その設営のための費用について、クラウドファンディングサイト「READY FOR? アニメの聖地・池袋で、アニメの祭典を一緒に創り上げよう!」を通じて支援を呼びかけています。

そこで今回は池袋シネマチ祭の実行委員会事務局の鈴木竜也さん、プロデューサーの和田昌之さん、山内康裕さんにお話を聞きました。

池袋、再編集?

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事務局の鈴木竜也氏。普段は。街づくり&賑わい施設プロデュース。池袋を「親しみやすい繁華街」と評する

グリーンズ さっそくなのですが、どうして池袋で映画祭を開催することに?

鈴木 池袋には大手から名画座まで、裾野の広い映画館が集まっているんです。実は映画館を中心に戦後復興してきた池袋だからこそ、映画祭をきっかけに、地元の映画館が元気になれば、地域にも貢献できるのではないか、と思いました。

グリーンズ そしてアニメにフォーカスしたと。

鈴木 はい。実は池袋の今のイメージって「アニメ」「マンガ」なんですよね。昨年度の映画の興行収入上位の多くがアニメーション作品でしたし、「シネマ=実写」という考え方にとらわれなくてもいいのでは、と。

池袋は日本で第2位のターミナル駅であるにも関わらず、渋谷や銀座、新宿と違って、げた履き感覚で行けるという親しみやすさがある。いい意味で「なんでもアリ」なんです。でも現状は、「エキブクロ」と揶揄されるように、駅に集中する商業施設に行く人がほとんどで、街の中にこそ個性的でおもしろいものがあるのに、そこに気がつくきっかけがない。

街のにぎわいにはハードの建物があるだけでなく、ハードと一体となって街を盛り上げるソフトが必要です。もちろん池袋は、東京都内でも指折りの繁華街として元気がありますが、娯楽があふれる中で、映画館が置かれた現状が厳しいのは、確かではないでしょうか。例えば30年先を考えると、もっと多種多様な人が訪れやすいように、様々な楽しみ方を提案できる場に少しずつ変えていく必要があると思うんです。

和田 それって、街づくりを手がけてきた鈴木さんだからこそ出てくる発想ですよね。いま日本各地で開催されているアニメやマンガのイベントは、都内で行うビッグイベントの縮小再生産がとても多いのですが、本当は「その地域らしさ」がとても大事だと思っているんです。

例えば2012年に立ち上げた「京都国際マンガ・アニメフェア」では、伝統・老舗企業とアニメ・マンガとのコラボレーション、マンガ家らクリエイターの人材育成など、どうすれば京都らしさを出せるかについてうんうん唸りました。

山内 中野区や秋葉原など、「アニメの街」を訴えるところは全国にたくさんあるんですが、複数の映画館を持つところって実は少ないんですよね。「池袋=アニメファンの街」というイメージはここ最近のことかもしれないけれど、映画祭とのかけ算は、ほかのエリアにはない特色になると思います。

和田 「池袋という街を、アニメ・マンガという日本のエンタメを切り口に再編集するぞ!」という大きなチャレンジなんだと思います。

歴史的には映画館があって、もともとマンガの街で、今は、女性のアニメファンが集まる場所として注目されている。ひとつひとつ点だったものを、もう一度かき交ぜる役割を果たすのが映画祭なのかもしれません。
 
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池袋シネマチ祭には多くの企画が用意されている

懐の深い街、池袋

グリーンズ アニメといっても、子ども向けからアート性の高いものまで幅広いですよね。

山内 そうですね。映画館と連携しながら、それぞれのジャンルごとに作品を楽しめるようにしています。アニメイト池袋本店では女性が好きな作品、名画座のひとつ、新文芸座は新海誠監督などアート性の高い作品など。池袋自体が、複数のジャンルを受け入れるポテンシャルがあるので、街のシーンに溶け込み、違和感なくなじんでいけるような気がしていて。
 
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コミュニケーションプランニングを担う、マンガナイトの山内康裕氏。映画館という歴史とアニメという新しい流れの組み合わせに可能性を見出す。

和田 池袋は「10~20代の若者が集まる街」というイメージがありますが、さまざまなジャンルで展開することで、ファミリー層からコアなアニメファン、「昔は好きだったけどもう卒業したよ」という人まで、どんな人でも楽しめるようにしたかった。「私はこのイベント関係ないもん!」って人がいないように。

なので、ほかの映画祭のような「作品を募って、実績のある人が評価し、受賞作を決める」といったノミネート形式は取らなかったんです。

鈴木 自分の力だけでは出会えない名作って、必ずあると思うんです。それをカバーするのが特設ステージのイベントで、これまで毛嫌いしていたジャンル、敬遠していた作品に目を向けるきっかけにしていただければうれしいですね。アニメの見方や作り方が、人によってどう違うのか。それを少し知るだけでも交流のきっかけになるし、会話も弾むはず。

幸い、映画館や駅の周辺には飲食店やカラオケボックスもたくさんあります。一緒に来た友人や家族とちょっと立ち寄って、シネマチ祭について話したり、映画で耳に残った歌をカラオケで歌ったりするのも大歓迎です。僕たちも飲食店と提携して、作り手の方に作品の解説をしてもらったり、討論をしたりするような場所を用意したい、と考えています。

山内 マンガというコンテンツを使って、コミュニケーションが生まれるイベントを主催している僕からすると、ある作品のファンって、他の人がどんな感想を持っているのか、どんなセリフやシーンが印象的に感じたのか、すごく知りたがっているんじゃないかなと思います。

同じ作品を読んだことがある人が出会うと、見知らぬ人でも以前からの知り合いのように話が盛り上がる。アニメでもそういう交流が生まれてもおもしろいですよね。

ファン参加型映画祭へ

グリーンズ 今回はクラウドファンディングで支援を集めていますね。

鈴木 特設ステージは祭りのシンボルなんです。ステージなしでやってしまうと、映画館それぞれがイベントをやっているのと変わらない。そのシンボルづくりに多くの人が関わることに意味があると思っていて。

和田 映画館はそれ自体、大きな集客の場ではあるのだけれど、街を俯瞰して見たときには「点」なんですよね。点だけでは、街との連動感が見えにくいし、独自にやっている感じになってしまう。点と点をつなげて面にするための「やぐら」がステージなんです。

やっぱりお祭りは「ハレとケ」の晴れの場ですから、普段できないことを今日はやっちゃえ!と。街全体がシネマとアニメで遊ぶから、「シネマ」と「街」で「シネマチ」。映画館を巡る間にも楽しめる時間と空間をつくりだしたいなと思っていて、本当はお神輿や盆踊りみたいな仕掛けもしたいのだけれど、今年はもう時間がない(笑)
 
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鈴木 ステージのイベントも徐々に決まり始めていて、7日(土)の午後は、声優の小野賢章さんらをお招きして、トークショーを予定しています。ジャンルを超えた交流のきっかけにしたいので、ステージのイベントは当然無料。だからこそ、今後多くのイベントを展開するために、アニメファンの方や池袋という街を盛り上げたい方にご支援いただければ嬉しいと思っています。

和田 男性限定とか女性限定ライブだったり、アニメ好きの外国人向けだったり、いろんなステージを展開したいと思っているんです。

鈴木 そこでクラウドファンディングのリターンのひとつに、「ステージでオリジナルの映像を流して、その後15分間、DVDを販売できる権利」なども入れています。積極的な提案は大歓迎です!

山内 また、特別ステージの後ろの壁は、約3,000人のアニメファンと作り上げる参加型アートプロジェクトで製作する予定です。ファンの方々が「感動した」「元気が出た」アニメのセリフを特製カードに記入してもらい、特別ボードに貼っていくので、どんなセリフが集まるのか楽しみですね。「このセリフはぜひほかの人にも知ってほしい!」と思っている方は、ぜひ参加してみてください。
 
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左から、山内氏、鈴木氏、和田氏。

(対談ここまで)

映画祭やアニメのイベントは、クリエーター側からの作品やトークの一方的な発信になってしまいがち。しかし街のにぎわいを大切にする今回のシネマチ映画祭では、クラウドファンディングやアートプロジェクトなど、ファンが参加できる居場所がたくさん用意されているようです。

池袋を盛り上げたい、奥の深いアニメをもっと知ってほしい。こんな思いを抱えている方は、ファンディングを通じて映画祭に参加してみてみませんか?
(Text:bookish)

鈴木竜也(すずき・たつや)
1976年東京生まれ。商業企画を中心とした、新しい街の賑わいを創造する総合プロデュース会社「株式会社エナジーラボ」ディレクター。商業企画・イベント・ワークショップなどの企画・運営を手掛ける。また同社運営のWEBマガジン「実践!街づくりゼミ」の編集長を務めている。小学生のとき、アニメ「キャプテン翼」を見た友人が「サッカーをやろう」と言い出したことでアニメの力を実感。

和田昌之(わだ・まさゆき)
1978年京都生まれ滋賀育ち。滋賀県立大学環境科学部卒。人材関連企業、IT企業役員を経て、2005年エクスアーツジャパン株式会社を創業、代表取締役に就任。TVアニメの企画、地域活性化、商品企画等、プロデュース業務を担当。2012年、京都国際マンガ・アニメフェアを立上げ、総合プロデューサーに就任。一般社団法人国際声優育成連盟理事。。受験勉強の最中にこっそりみていたのは「ふしぎの海のナディア」と「魔神英雄伝ワタル」。

山内康裕(やまうち・やすひろ)
1979年生まれ。マンガを介したコミュニケーションを生み出すユニット「マンガナイト」代表としてイベント・ワークショップ・執筆・選書等を手がける。 また、マンガに関連した企画会社レインボーバード合同会社も設立し、施設・展示・販促・商品等のコンテンツプロデュース・キュレーション・プランニング業務を提供している。「ドラゴンボール」のほか、週刊少年ジャンプの連載が追いつきそうになると挿入される「聖闘士星矢」のアニメオリジナル部分を一生懸命みていた。