ISSUE☆グリーンズ企画 学びの場の現在地

2 years ago - 2014.04.15

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目指すのは“友だち経済”。リノベーションしながら暮らし方を更新するアズノタダフミさんの「メヂカラハウス」


革張りのソファーもなんとアズノさんの手作り!クッションカバーにしているのはボリビアのサック

どこに住み、どんな暮らしをつくるのか。本当に必要なものは何か。「暮らしのものさし」は、株式会社SuMiKaと共同で、自分らしい住まいや好きな暮らし方を見つけるためのヒントを提供するインタビュー企画です。

日本の住宅はできないことが多すぎる。

「木目調のクッションフロアではなく、無垢材のフローリングが良いのに」
「壁を好きな色にペイントしたい」

などと思っても、賃貸住宅に住んでいると、原状回復が制約になり、実現できない人も多いのではないでしょうか。

けれども、そうした住宅にまつわるハードルを軽々と超えて、まずは調べてやってみるというスタンスで、賃貸住宅の原状復帰の範囲内でセルフ・リノベーションに挑戦したのが、インテリアデザイナーのアズノタダフミさんです。

リノベ処女作は、自宅の改装


アズノタダフミさん。キャップも知人が作ったもの

アズノさんは、東京・蔵前にある「Nui」をはじめ、カフェやゲストハウスなどの内装を設計する空間デザイナー。リノベーション物件の温かみが好きで、自分でも手掛けたいと思っていました。

当時はやっている仕事とやりたい仕事のギャップがあって。依頼がないなら、いっそ自分で作ってしまおうと、自宅の改装をリノベ処女作として取り組むことにしました。

そこで、文京区千駄木にある築40年以上のアパートを、住居兼事務所として改装。プロジェクトとしてウェブ上で発表するため、写真映えも意識して、デザインはカラフルに塗装したフローリング材をモザイク状に敷きつめることにしました。畳をはがし、下地材を貼った上に床材をビス止め。これなら、現状復帰も可能です。

空間デザインが本職のアズノさんですが、実際に施工までするのは初めて。友人たちに手伝ってもらおうと、Facebook上でDIYイベントを作成し、呼びかけました。集まってくれたのは7人。

友人のハイエースを借りて、ホームセンターに木材や工具の買い出しに行き、床材を塗装。ゼネコンの現場監督という強力な助っ人が施工作業を仕切ってくれました。その後アズノさんが描いた図面通りにレイアウトして、約1週間でできあがりました。
 

友人たちが集まり、SPF材をオイルステインで6色に塗装中(写真提供:アズノさん)

自分で作れるものは作る

家具も自作しています。ダイニングテーブル、ベンチ、照明、本棚、キッチン収納と必要なものはほとんど手づくり。買った家具は仕事用のアームチェアくらいというDIY初心者とは思えない徹底ぶり。

作った方が安いし、自分に合うものができる。友人を呼んで定期的にパーティーをしたかったので、ベンチをテーブル代わりにしできるなど、可変性のある家具をつくりました。


家具をつくるアズノさん。住宅作家として名高い宮脇檀の本を参考に家具のサイズを決めたそう(写真提供:アズノさん)

自作の家具の他に、世界各地の民芸品や雑貨があちこちに飾られています。前職を辞めた後、1年掛けてバックパッカーとして世界一周した時に集めたものだそう。
2012年2月に完成すると「メヂカラハウス」と名付け、オープンハウスやパーティー、写真撮影などのイベントを開催。これまでに100人以上ものゲストが訪れました。
 

改装直後はパーティー仕様で空間を広く使えるようにしていました。ハンモックを吊るし、楽しむことも


人が大勢集まるときは、ベンチをテーブル代わりに。「可変性のある家具はモノを減らすことにもなる」とアズノさん(上2点写真提供:アズノさん)

ライフスタイルに合わせてリフォーム

けれども、独立して、だんだんと忙しくなり、仕事中心のライフスタイルと部屋のつくりが合わなくなります。2013年末、思い切ってワークスペース仕様に大改装。人が集まる場所だったリビングを大きなデスクを中心とした仕事場のレイアウトに変更しました。こうしたライフスタイルの変化に合わせて、内装を変えられることも、DIYのメリットでしょう。
 

仕事場仕様にリフォームした現在のメヂカラハウス。大きなワークデスクを中心に仕事がしやすい環境


ベッドルーム。照明も拾ってきた流木でつくったもの

“友だち経済”を回し、知り合いから直接買う

手作りするようになって、あまりモノを買わなくなったアズノさんですが、「最近、友だちが作るモノはいいなと思って」。たとえば、今日被っているキャップも友人の手作り。

他にも、萩のゲストハウス「ruco」を設計した縁で知り合った、大屋窯の濱中史朗さんのうつわを集めたり、友人を通じて知った刀鍛冶のナイフを買ったり。

作っている人を直接知っていて、もの作りの背景やストーリーも聞くと、単純な商品価値以外のものがある気がして。お金を仲間内で回すと、その人たちをサポートすることにもつながる。いつか一緒に仕事ができたら良いなとも思っています。


濱中史朗さんのうつわとomotoの鈴木康人さんのペーパーナイフ

DIYでリノベし、作ることを覚えたアズノさんは、買うことに対し、違う目線を持つようになったのかもしれません。“友だち経済”は、単なる消費に終わらない、新しい買い物の可能性を感じます。

アズノさんの生活に変化をもたらしたリノベーション。次はどんな家に住むのでしょうか。これからの住まいの展望について聞いてみました。

2年後くらいには東京を離れられたらと思っています。工具や内装に使う材料もたくさんあるので、作業場や倉庫のある場所が良いなと。安くて広いところを条件にすると、地方という選択になりますね。

自分で古民家を直しながら、エアコンをあまり使わないエコロジカルな家を試しながら住んでみたい。エコだけれど、デザインが良くて、我慢しないラクな家が良いなと思っているんです。

現代の文明を排除するのではなく、ネットなど便利なものは取り入れて、農村時代に帰るところは戻す。そんな暮らしが理想ですね。


旅先で集めためずらしい小物が部屋のあちこちに。木版はインドのテキスタイルに模様を型押しするもの

アズノさんの暮らしぶりは非常に合理的で、自然体。気に入らない部屋に住むのは嫌だから改造する。買うより安くて、好みのデザインにできるから家具を自作する。生活の変化に合わせてプチリフォーム。友だちからものを買うことでゆるやかな相互扶助の関係をつくる。

結果として自らの手で作ったオルタナティブな部屋は、商品として作られたものが極端に少ない。セルフ・リノベは既製品に頼らないしなやかな強さも生み出しています。
 

お気に入りというトルコのチャイを作る鍋を利用したペン入れ

本当の意味での自分らしい家は、自らの頭で考え、手を使ってこしらえるものなのでしょう。

そこまでの「作れるものは作る」姿勢は難しくとも、これからの暮らしに一つでも手作りのものがあると、買ったものが陳列されたショールームから、自分らしい住まいの温かみを取り戻すきっかけになるかもしれません。

みなさんも、「できない」とあきらめる前に、調べてみることから始めてみませんか。

(写真:相馬ミナ)

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SuMiKa

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佐藤千紗

フリーランスの編集者&ライター。東京生まれ。インテリア、建築デザイン系出版社勤務の後、アメリカ生活を経て、現在は家、庭、インテリアデザインなどの取材を手掛ける。住まい、食、DIYなど、自分らしい感性で暮らしをつくることに興味を持っている。

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SuMiKa

これまで、家づくりと年収は切っても切れない関係でした。 住みたい家に住めるのは特別な人たちだけ、そんな思い込みをなくして、好きに思い描いて、こだわり続けて暮らす。 SuMiKaは、自分にフィットする暮らしを応援したいと考えています。 どこに住み、どんな暮らしをつくるのか。 本当に必要なものは何か。 自分にフィットする「暮らしのものさし」を、探してみませんか? ⇒ https://sumika.me

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