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2 years ago - 2014.04.10

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教科書のリサイクルで、ラオスの子どもたちを学校へ!一人の思いつきが全国に広まった「STUDY FOR TWO」

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学生時代、お世話になった教科書。みなさんは使い終わった後、どうしていましたか?後輩に譲ったり、本屋に売ったりした人もいるかと思いますが、多くの教科書は気づかぬうちに捨てられているのではないでしょうか。

この卒業後の教科書に注目し、さらに途上国の子どもたちの教育支援につなげている団体「STUDY FOR TWO」をご紹介します。

教科書のリサイクルで、ラオスの子どもたちが学校に通える

「STUDY FOR TWO」の仕組みはいたってシンプル。まず日本の大学生が使い終えた教科書を回収して、それを必要としている学生に中古品として安い価格で販売し、その収益の一部を途上国に住む、学校に通えない子どもたちに寄付しています。
 
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中古教科書の販売は新学期が始まる4月と10月に実施。基本的に大学の近くでブースを出して対面販売しています。価格はだいたい定価の半額ほどで、2013年4月は160万円の収入がありました。

そこから経費などを除いた金額は、アジアで教育支援を行なう社団法人「民際センター」の「ダルニー奨学金プログラム」を通して、ラオスの子どもたちに寄付されています。この制度では、14,400円で一人が一年間、学校に通うことができるそうで、「STUDY FOR TWO」では2011年からこれまでに、400人の子どもたちの支援を行ってきました。

教科書をリサイクルでき、必要な人は安く手に入り、ラオスの子どもたちも勉強できる。一石三鳥のこの取り組みは日本各地に広まっています。どのようにして始まったのか、発起人の石橋孝太郎さんにお話を伺いました。

お金がないのに勉強できる自分と、勉強できない子どもたち

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「STUDY FOR TWO」代表の石橋孝太郎さん

現在、石橋さんは早稲田大学の4年生。「STUDY FOR TWO」の代表として活動していますが、「もともとボランティアに関心はなかった」と言います。

大学生になったら何かやりたいと思っていたけど、サークル以外に特に何もできていませんでした。

そんなとき、メーリングリストに登録していた大学のボランティアセンターから「ラオスにボランティアへ行きませんか?」というメールが届いて。新しいことをやってみたいと思っていたので参加することにしました。

こうして2010年、大学1年の春休みに一ヶ月間、ラオスへ。地元の小学校で子どもたちと交流し、ゴミ問題をどうするか一緒に考えたり、“手洗いの歌”をラオス語にして教えたりしたそうです。
 
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ラオスにて、子どもたちと。

また初めて東南アジアに訪れたということもあって、「発展途上国」と呼ばれる地域の日常を肌で感じたと言います。

学年が上がるごとに、生徒の数が減っているのが目に見えて分かりました。その理由はお金がないとか、環境が整っていないとか、働かなければいけないとか色々あるんですけど、その中でも「お金がない」というのは納得できませんでした。

というのも、自分は大学に奨学金で通っていて、自分はお金がないけど勉強できているのに、なぜ彼らは勉強できないのか…と。

「学校に通えない子どもたちに何かできないか」という思いとともに、日本へ帰国。新学期が始まり、教科書を買う時期になりました。教科書を新しく揃えると、数万円とお金がかかりますが、石橋さんはサークルの先輩に教科書を譲ってもらえることになったそう。

その話を母親にしたら、「どうして安い教科書ってないんだろうね」という話になって。街の本屋さんにもAmazonにもあまり在庫はないけど、需要はあると思いました。

そんな何気ない会話から「STUDY FOR TWO」の構想は生まれました。

一人から、全国へ

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ボランティアに関心のあった友人に「こんなことを思いついたんだけど」と話してみたところ、興味を持ってもらい、一緒に始めることに。その後も友達に声をかけ、徐々に仲間が増えていきました。

初めて中古教科書の販売を行ったのは、アイデアを思いついてから一年後の、2011年4月でした。

各地に広まったのは、震災後、TwitterとかFacebookをみんな使うようになって、シェアされるようになったことが大きいと思います。

特に二回目に販売を実施した2011年10月以降は「友達がやっているから自分もやりたい」とか「地元にも広めたい」といった問合せがすごく増えて、支部も一気に増えました。

今では広島や北海道など関東以外の地域にも広まり、約70の大学が参加しています。

国内を旅行したとき、ここにも「STUDY FOR TWO」がある!と思うと、恥ずかしいというか(笑)。もちろん、ありがたいというか、嬉しい気持ちです。

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ひとつの支部が半年間で回収する教科書はだいたい300~500冊ほどで、多いと2,000冊集まることも。販売の仕方は支部によってそれぞれなのですが、教科書を安く売っているということから、時には宗教や小遣い稼ぎだと誤解されることもあるのだとか。それを避けるためにも、“売り方”が重要だと言います。

多くの大学には、構内で金銭のやりとりをしてはいけないという決まりがあるので、通学路で販売する大学が多いです。自分も、早稲田大学の近くにあるお寺の駐車場を借りて、出店のような売り場を設けています。中にはさらに厳しい大学もあるので、みんな工夫していますね。

例えば授業名をTwitterでつぶやいている人にリプライして直接伝えるとか、Twitterを駆使して効率よく販売した人もいます。これはメンバーが一人しかいない支部なのですが、10万円くらい売り上げたんです。

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教育は世界を広げてくれるツール

活動は順調に見えますが、活動を始めた当初は目標を高く設定しすぎて、メンバーにも厳しくあたってしまい、代表を辞めさせられそうになったこともあったと話します。

参加大学が増えると、スカイプとかオンラインでは効率化できないところがあって、当時は毎週日曜の午前中に「どこどこのカフェにいるから来れる人は来てください」って言って、特に会議するわけでもなく、直接コミュニケーションする時間を作っていました。あと合宿もやってみたり。

それだけが要因ではないと思うけど、だんだん団体の中の風通しがよくなったと思います。長く一緒にやっているメンバーには「変わったね」とか「柔らかくなったね」って言われます。

高いところを目指したいという根本的なところは変わらないけれど、どうやって達成するか、という現実的な手段を伝えるなど、表現の仕方が変わったようです。
  
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東京の支部のメンバーと

その一方で、「そろそろ寄付先をもう一団体増やしたいと思っていますが、メンバーが増えるほど、みんなの意見をまとめるのが大変」だと笑います。

メンバーみんなが大学を卒業して母校に帰ったときに、大きくなった団体で出迎えたいです。みんなが大学に帰ってきても「STUDY FOR TWOに入ってよかったな」と思ってもらえるようにしたいですね。

メンバーや支部がどんどん増え、大家族の親になったような思いが印象的でした。
 
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各地のメンバーと合宿にて

ユニセフによると、世界には学校に行きたくても行けない子どもたちが約5,700万人にものぼるそうです。石橋さんは「一人でも多くの子どもたちに教育の機会を与えたい」と語りますが、その根底には、母の教えがあるようです。

うちは裕福な家庭ではなかったけど、学費の他に塾の費用とか受験料とか、教育にはお金をかけてもらってきました。母はよく「うちに残せるものは教育しかない」と言っていて、その言葉に縛られているわけではないけれど、今でも忘れられないです。

ちょっとした思いつきから、母の教えをラオスの子どもたちにもつないでいる石橋さん。みなさんもいいアイデアが思い浮かんだら、自分の中で留めずに、誰かに話してみませんか?社会を変える一歩は、ふとした時に訪れるものかもしれません。

勉強したいと願うすべての子どもたちが勉強できる世界に。
STUDY FOR TWO

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writer ライターリスト

Kimura Eri

greenz ライター ライター&エディター。 働き方や暮らし方にまつわる、一人ひとりの物語に興味があります。 http://kmreri.tumblr.com

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