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コミュニティデザインの主役はヤギだった!空き地の雑草を食べながら、地元の人たちを笑顔にするヤギたちの物語 [スキマのまちあそび]

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最近、地方の街が空洞化しているなど、街の中の”空き”が深刻な問題として取り上げられる事が多くなっています。しかし、”空き”を使ってユニークな提案をしてみたら…?!

今回は空き地である動物を飼うことが、想像以上の効果と、たくさんの笑顔が生んだ素敵なお話をご紹介します。その主人公はなんと…ヤギ!

広大な空き地に雑草が…どうしよう?

2002年、アメリカ・ポートランドのとあるレストランが火事になり、92,000平方メートルもの敷地が空き地になっていました。土地が広いためなかなか買う人も現れず、次第に雑草が育ってしまい、不動産屋さんは管理に困っていました。

そんなとき、ランドスケープアーキテクトのBrett Milligan(以下、ブレットさん)が、あるユニークな解決策を思いつきます。それは、ヤギを借りてその敷地で飼うこと。ヤギに雑草対策をしてもらおうという試みだったのです。
 
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ぼくがお役に立ちますよ〜。むしゃむしゃ

芝刈り機を使うのではなく、ヤギに雑草を食べてもらうことには、さまざまなメリットがあります。

芝刈り機はなんと車の100倍以上の炭化水素、窒素酸化物など汚染物質を吐き出します。しかし、ヤギをならばそのようなことはありません。また芝刈り機は、刈る時に雑草の種を拡散させてしまいますが、ヤギは種も食べて消化してくれるのです。

もともと、ポートランド周辺の農家でヤギがよく飼われていたこともあり、ヤギならば街に受け入れられやすいだろうと考えたブレットさんは、所属する不動産屋さんに企画を提案し、2010年「Goat Rental NW」というヤギレンタル団体から14匹のヤギをレンタルすることに。
 
8959610-largeかわいいヤギたちは大人気!

かわいくて、働き者のヤギたちが街に現れたことは、地元の住民にも思わぬ変化をもたらします。空き地に柵をはり、ヤギを飼っていたところ、連日ヤギを見に近所の老若男女が集まり、その場がちょっとした動物園のようになったのです。

ヤギを見るために早起きをするようになった人がいたり、日曜日にヤギの写生にスケッチをする人が集まったり、バンビやチェスター、クローバーなど一匹一匹のヤギに名前をつけみんなでかわいがったり。ヤギがきっかけで、人の生活がかわり、人と人がつながっていくようになりました。
 
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一匹、一匹の名前と、どれくらい人間慣れしているかの度合いが掲示板に書いてあります。

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ヤギはなんとローカルテレビにも出演!

さらには、自分でも庭でヤギを飼う人がでてくるようになり、ポートランドの自転車フェアーの際には、ヤギを飼ってる個人の都市農園を自転車でまわり飼い方をみせてもらうツアー「Goatlandia」まで開催されるように。

元々は、空き地を維持するために考えた事が、地域のコミュニティを作り、街の人々の暮らしを変えてしまったのです。
 
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自分の庭でヤギを飼い始めた人

tour“Goatlandia”自転車ツアーの様子

空き地というと、ちょっとネガティブなイメージがあるかもしれません。けれど、子どもの頃を思い出してみてください。ドラえもんにでてくる遊び場のような、自由に何でもできるワクワクしたイメージを昔はもっていませんでしたか?

“空き”がある、ということはネガティブなだけでなはく、そこから何かできるチャンスなのかもしれません。子どものころのように柔軟に、楽しい”空き”の使い方を考えてみませんか?

(Text:小貫 友里)

[via the belmont goats ,Dr.Know ,”Goatlandia“]