ISSUE☆連載 マンガ × ソーシャルデザイン

2 years ago - 2014.02.28

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マンガ×インフォグラフィックスで何ができる?マンガナイト山内康裕さんとロフトワーク越本春香さんが語る”日本らしい”情報の伝え方

山内さん×越本さん
左から山内康裕さん、越本春香さん

「マンガ」と「インフォグラフィックス」をかけ合わせて何かできないだろうか?

そんなアイデアから、新しいプロジェクトを構想する対談が実現しました。発起人はマンガにまつわるさまざまなイベントを主催してきた「マンガナイト」の山内康裕さんと、多数のインフォグラフィック案件を手がけてきたクリエイティブティレクターの越本春香さん。

「マンガ × インフォグラフィックス」、実現したらとても面白そうなプロジェクトですが、本当にそんなことが可能なのでしょうか?そもそもインフォグラフィックスってどんなもの?

今回はそんな質問にも答えてもらいながら、お二人に「マンガ × インフォグラフィックス」について語っていただきました。

山内康裕さん
1979年生まれ。マンガを介したコミュニケーションを生み出すユニット「マンガナイト」を結成。イベント・ワークショップ・執筆・選書等を手がける。 また、マンガに関連した企画会社レインボーバード合同会社を設立。施設・展示・販促・商品等のコンテンツプロデュース・キュレーション・プランニング業務を提供している。Yamauchi Accounting Office 税理士も勤める。
http://manganight.net/
越本春香さん
株式会社ロフトワークのクリエイティブディレクターとして、WEBサイト構築のディレクションからイベント運営まで幅広く手がける。ツタグラプロジェクトをきっかけに、最近ではインフォグラフィックス担当として案件が増加中。

マンガ × インフォグラフィックスとは?

宮越 今日はよろしくお願いします。まず、お二人は普段どんなお仕事をされているのですか?

山内 山内です、よろしくお願いします。マンガを介したコミュニケーションをテーマとした「マンガナイト」というユニットの代表をしています。読書会のような新しいマンガや人と出会えるイベントやワークショップを開催したり、執筆、選書、コンテンツ制作などを行っています。

越本 越本です。ロフトワークという会社でクリエイティブディレクターをしています。データとビジョンを持つ専門家と、伝える力を持つデザイナーがコラボレーションをする「ツタグラ」というプロジェクトをきっかけに、インフォグラフィックスに関わるようになりました。
 
左から山内康裕さん、越本春香さん

宮越 「マンガ × インフォグラフィックス 」というアイデアはどういうきっかけから始まったのでしょうか?

山内 今回こういう話が持ち上がったのは、やっぱり“わかりやすく伝える”というところで共通点を感じたんですよね。マンガ本来の魅力というのは作品性の素晴らしさにあるんですけれど、僕たちはコミュニケーションツールという側面もあると思っているんです。

例えば感動した “ワンピースのあのシーン” を人と共有したりすることで、コミュニケーションツールになりうる。そういった意味でマンガが“ものを伝える手段”としてインフォグラフィックスに親和性があると思ったんです。

宮越 インフォグラフィックスというのは具体的にどんなものですか?

越本 インフォグラフィックスはインフォメーションとグラフィックスをかけ合わせた造語で、わかりにくい情報をグラフィックを用いてわかりやすく可視化するというものです。

標識や地図の他にも、複雑な構造を整理したものや商品の対比など、特に海外には事例が沢山あります。

Amazon Acquisitions and Investments Robin Richards, ripetungi, 2009 via RIPETUNGI Amazon Acquisitions and Investments Robin Richards, ripetungi, 2009 via RIPETUNGI

宮越 さっき越本さんがおっしゃった「ツタグラ」というのは、インフォグラフィックスと同じものですか?

越本 ツタグラ(伝わる+グラフィックスの略)は、2011年の3月にロフトワークが経済産業省主催のもと、一緒に立ち上げたプロジェクトです。そもそものきっかけは東日本大震災が起こった時に、原発事故や避難場所の情報があふれ、データはたくさんあるのにそれを活用できないという状況に落ち入ってしまいました。

そのように情報が錯綜している中で、震災からわずか40時間後にデザイナーの太刀川英輔さんが “デザインの力で混乱した情報をわかりやすく伝えよう” ということで「OLIVE」というサイトを立ち上げたんです。

経済産業省の当時の担当者がそのようなクリエイターの活動にヒントを受け、グラフィックスを駆使することで“より良い未来のために知ってほしいこと”を伝えられるのではと思い、「情報×デザイン=コミュニケーション」をコンセプトにした「ツタグラ」プロジェクトが始動しました。

宮越 日本では始まったばかりなんですね。

山内 日本のものは、あまりグラフィックよりではないイメージがありますよね。

越本 以前から日本でもインフォグラフィックスに取り組んでいる方はいらっしゃったのですが、フィーチャーされ始めたのは、ここ2〜3年のことだと思います。まだ海外ほどビジュアルのインパクトが強い作品がたくさん生まれる…という状況ではないかもしれません。

マンガや情報が伝える手段になる

越本 この日本の人口推移というインフォグラフィックスはツタグラ賞を受賞した作品なのですが、西暦のところを押すとグラフが動き、年代別に人口推移がわかるようになっています。ツタグラは、こういったグラフィックスをつくることで皆が共感し、日本の未来を考える仕組みになったらいいなというテーマで動いています。

「日本の人口推移<1959~2050>」制作者:Takashi Tokuma http://www.bowlgraphics.net/tsutagra/03/からシュミレーションを体験できます。Via ツタグラ
「日本の人口推移<1959~2050>」制作者:Takashi Tokuma からシュミレーションを体験できます。Via ツタグラ

宮越 高齢化社会のことって漠然とした不安をもっていましたが、これは明解ですね。

山内 最近僕は消費税が8%になるということを解説した『消費税8% きたか☆マダカ』というマンガの制作に関わった(Yamauchi Accounting Office として原案、監修)のですが、これが結構ヒットしたんです。消費税が8%になるとどうなる?というところ具体的に解説していて、マンガとしても面白いと評価をいただきました。

やっぱりマンガなので、面白いことも重要ですよね。こういった学習マンガは、状況を説明するのにストーリーがあった方がわかりやすい、という時なんかに生かせると思います。
 
「消費税8% きたか☆マダカ」原案、監修:Yamauchi Accounting Office 作画:園田ゆり
「消費税8% きたか☆マダカ」原案、監修:Yamauchi Accounting Office 作画:園田ゆり

越本 インフォグラフィックスに、人を単純に記号化した「ピクトグラム」というのがあるんですけれど、それなんかも四コママンガに似ていますね。

山内 そうですね、アニメの絵コンテにも近い感じがします。マンガはやっぱりデフォルメして記号化されたものなんですよね。

ストーリーが5秒でわかるピクトグラム Via Life in five seconds
ストーリーが5秒でわかるピクトグラム Via Life in five seconds

マンガ × インフォグラフィックスでどんなことができる?

宮越 すでにマンガとインフォグラフィックスで色々とからめそうな気がしてきました。

山内 インフォグラフィックスにキャラクターが入ってきたり、吹き出し的な表現を使ったり、色々な可能性があるかなと思いますね。マンガの吹き出しというのは独特で面白いと思うんです。

あとは効果音的なもの。例えばインフォグラフィックスに「どーん」と入っていたりしてもわかりやすいですね。マンガの効果音自体、ある意味ではインフォグラフィックスといえるのではないでしょうか。

越本 マンガの効果音を並べて、インフォグラフィックスにしたら面白いですね。

山内 それは面白そうですね!ワンピースでよく「どーん」という効果音が使われるんですが、あれは結構バリエーションがあるんです。ほら、検索するとこんなに違うんですよ。(ラップトップの画面を見せる)

一同 すごい!(笑)

山内 カタカナのドーンもあれば、平仮名もある。同じ「どーん」でも全然違うんです。北斗の拳とか、ジョジョの奇妙な冒険とかも面白いですよ。

越本 例えばこんな風に、グラフにしてみてみたら、色々なバリエーションがつくれそうですね。
 
マンガ×インフォグラフィックス

宮越 面白いですね。日本のマンガの効果音は、世界の中でも独特だと聞いたことがあります。

山内 そうなんです。だから日本のマンガを海外版にする時は、その国の言葉に訳す場合と、日本語でそのまま表示する場合があります。

越本 効果音のインフォグラフィックスを海外の方に見てもらって、「こういう表現の仕方もあるんだ」と知ってもらうのもいいですね。日本語独特の表現が伝わりやすくなりそう。あとは、歴史の長いマンガのキャラクターの推移をインフォグラフィックスにしてみたいですね。

マンガ × インフォグラフィックスのこれから

宮越 今すぐ色々できそうですね。今後「マンガ × インフォグラフィックス 」からどんな展開を考えていますか?

山内 今、マンガの発売タイトル数は増えているのに、売上げは変わっていないんですよ。むしろ若干下降気味。その結果一冊あたりの売上げが減っているという現状があり、プロの漫画家さんでも、食べていくのが結構大変なんです。

これまで、そういった漫画家さんはイラストを描いていたりしたと思うのですが、インフォグラフィックスにも活躍の場があるんじゃないかと思いますね。

例えば学習マンガは、只マンガになっているだけではなく、マンガとしても面白いということが重要なので、そこにチャンレンジする可能性もあるのではないかと思います。そういった意味で漫画家さんの活躍の場が広がったらいいなと思います。

越本 私もインフォグラフィックスをつくれるデザイナーさんが増えたらいいなと思っています。日本にはまだまだインフォグラフィックスが浸透していないので、つくれる方が本当に少ないんですよ。「マンガ × インフォグラフィックス」が広まればちょっとハードルが下がると思うので、興味を持って下さる方が増えたらいいですね。

宮越 近々「マンガ × インフォグラフィックス」としてご活動の予定はありますか?

越本 まずはワークショップをやりたいと思っています。今日のお話で盛り上がったマンガの効果音をつかったもの、とか。早ければ春先に企画をまとめて、夏ぐらいに開催できればと思っています。

越本 そのときはまた取材してもらいたいですね。

宮越 ぜひおうかがいしたいです。今日はありがとうございました!

(対談おわり)



最初に「マンガ × インフォグラフィックス」と聞いた時は、「その二つがどうやってからむんだろう?」と思いましたが、今回の対談を聞いていたらどんどんイメージが湧いてきました。お二人にとって「マンガ×インフォグラフィックス」はイメージの宝庫。しかもマンガが関わることで “日本らしい”インフォグラフィックスに発展し、面白いものができそうですね。

まだまだつくり手が少ないという話もありましたが、確かにデータから絵やデザイン、ストーリーを起こすのは、大変な苦労。でも、でき上がった作品は、見る人にとってとてもありがたいものです。ぜひ「マンガ×インフォグラフィックス」をつくる環境が充実して、広まってほしいと思いました。

「マンガ×インフォグラフィックス」について、みなさんのアイデアもお待ちしています!

マンガが社会のためにできること
「マンガ × ソーシャルデザイン」

writer ライターリスト

yu miyakoshi

ライター 大学時代に絵を学び、アメリカやアジアなどを旅して異文化交流の楽しさを知る。 greenzではクリエイター/アーティストへのインタビューを担当。 アートの着想がいろんなことを引っ張っていってくれる。アーティストじゃなくても、そんな思いつきが壁をやぶってくれるはず。そんな瞬間がたくさんあったらいいなと思っています。   宮越 裕生 FACEBOOK @yumiyakoshi

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マンガナイト

マンガナイトは、マンガを介したコミュニケーションを生まれるきっかけをつくることを目的に活動しているユニットです。 「マンガのことは全然わからないけど、面白いマンガを教えて!」という人から「このマンガをオススメしたい!」というヘビーなマンガ読みまで、あらゆる人々が楽しめるようなイベントや、マンガに関する記事の執筆、マンガプロダクトの開発・販売などさまざまな活動に取り組んでいます。 ⇒ 特集「マンガ×ソーシャルデザイン」マンガナイト×グリーンズ対談!

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