ISSUE 食と農

2 years ago - 2014.01.20

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味噌作りは「生きているものを食べること」のはじまり。東京都町田市「井上糀店」の味噌仕込みワークショップ

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今日は大寒ですね。「大寒仕込み」という言葉をご存知ですか?雑菌の入りにくいこの時期は何を仕込むのも最適なことから、大寒の日に味噌を仕込む風習があるようです。

昔から「医者に金を払うなら味噌屋に払え」というほど、日本人の健康に欠かせないお味噌。味噌は発酵食品です。生きている酵素や菌を頂くことで昔の人は自然と体調を整えていたのかもしれませんね。

今回はそんな日本の伝統健康食であり、毎日の和食に欠かせない味噌を自分で仕込もう!と始まった、井上糀店さんの味噌仕込みワークショップをご紹介します。

お味噌のつくりかた

東京・町田市にある井上糀店は、もとは造り酒屋として明治初頭に始まりました。当時は塩、醤油、味噌が食卓の中心を飾り、その中でも味噌は各家庭でつくっていましたが、次第に味噌は「つくる」ものから「買う」ものに。そこで井上糀店では四代目から味噌づくりに事業転換し、五代目が継ぐ現在も、昔ながらの製法にこだわった無添加・天然醸造製法で手作り味噌と糀を作っています。

本当の味を次世代に伝えたい。そんな思いから、味噌を販売するだけでなく、味噌づくりワークショップを始めました。

教えてくれるのは碇哲也さん、通称「味噌屋のてっちゃん」。当日は朝8時、大豆を煮込む作業から始まります。
 
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新潟の大豆エンレイを味噌用に柔らかく茹でる作業。その時々でおいしいと感じた豆を用意するそう。

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茹であがった大豆を煮汁とわける作業。煮汁は「アメ」と呼ばれ、この後味噌作りにも欠かせない大事ものになります。

11時半、ワークショップ参加者が勢ぞろいし、いざ!味噌仕込みの始まりです!
 
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味噌にする大豆は親指と小指でつぶせるくらいの茹で加減がベスト!

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てっちゃんの味噌仕込みをまずは拝見。

てっちゃんのレクチャーを受け、皆、思い思いに味噌を仕込んでいきます。

まず、大豆を潰します。
 
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次は、糀と塩を手のひらですり潰すように混ぜ合わせていきます。
 
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塩をしっかりすり込んだ糀と潰した大豆を混ぜます。
 
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大豆と塩と糀がしっかり混ざり合っていることが大事だそうです。

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この時に完成した味噌の柔らかさをイメージしながら、先ほど茹でた大豆の煮汁を加え混ぜ合わせます。
 
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「味噌玉作ったよ!」

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子どもたちもせっせと仕込む

最後に味噌の表面に塩を張ります。これはカビの防止になるそう。
 
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あっという間に「my味噌」の完成!

味噌作りは「生きているものを食べること」へのスタート地点

ワークショップを始めて5年になると言う、てっちゃんこと碇さんにお話を伺いました。
 
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これまで湘南を中心に遠くは愛知、三重などでワークショップを行なってきた碇さん。

味噌作りに決まりはないと思ってます。混ぜちゃえば、もう味噌。勝手に発酵して出来上がりです。

味噌は大体70度くらいで菌が死に発酵が止まります。その時点で生きていない味噌。よく味噌汁を沸騰させてはいけないなんて言いますよね。生きてる状態でいただくための知恵なんですよね。

生きてる味噌は常温でパック詰めすればパンパンに膨らみます。良い味噌をお店で見分けるのは難しい。だったら自分で仕込んだ方が早いんじゃないかな(笑)

ワークショップ参加者の中はリピーターという方も多いそう。「前回は米糀、今回は玄米糀で仕込みます!」という方やmy味噌の食べ比べにうちの子自慢など、仕込むことを楽しみながら、次のステップに進んでいる人が増えています。
 
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会場となった「ecomo」

今回の会場は、碇さんが味噌ワークショップをスタートさせた最初の場所でもあり、5年間定期的に開催しているオーガニックショップ「ecomo」。藤沢市辻堂で、地球という環境を理解しながら循環型の社会を目指すライフスタイルを提案する複合商業施設です。
 
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ecomo 森田店長

碇さんとともに味噌仕込みワークショップを5年おこなっている「ecomo」の森田店長は、続ける意義をこう話します。

ecomoでは循環型の衣食住を提案していますが、食はやっぱり人の動力の基本。大事だと思ってます。味噌のワークショップは大人はもちろん、子どもにも「仕込む」作業がわかりやすくて、伝わりやすい。食育という部分でも有効なワークです。

本来、味噌は家庭や御近所さんと仕込むものだったはずです。当たり前のことが当たり前にできる人がもっと増えると食を大切にする人はもっと増えるんじゃないかな。その原点のようなワークショップです。

ecomoは食や環境について興味のあるお客さんが多いそうですが、その中でも「できたものを買う」から「自分で作る」にシフトしている人も多いと言います。

自分で食べるものだから、自分で決める、人まかせにしない食選び

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碇さんは、ワークショップのその先にある、「気づき」の部分が大事だと言います。

味噌がどうやって味噌になるのか知る。知ることがスタートです。そこから自分の好みやこだわりなどが出てくると、今度は「発酵」ってなんだろう?とか、生きてる味噌を買うとなるとどうやって判断するの?とか、興味が湧いてくると思うんです。その気づきのきっかけに味噌ワークがなればと思ってます。

味噌を仕込むことはそんなに敷居の高いことではありません。ちょっとチャレンジすることで、無数に広がってくる食への関心や、自分や自分にとって大切な人たちの体に良いもの、悪いものを見極める力を培うきっかけになる。それが「井上糀店」の味噌仕込みワークショップです。

大寒味噌仕込みと言いますが、実はいつでも手軽に仕込めるお味噌。
今年からmy味噌作り、初めてみませんか?

my味噌をつくってみよう!
井上糀店

writer ライターリスト

たけいしちえ

たけいしちえ

greenz ライター 湘南在住。大豆レボリューションに参加のち、大豆の魅力の虜に。大豆を育て、収穫、味噌を仕込むサイクルを基本とした365日を営む。大豆栽培7年目。神奈川県津久井在来種を化学肥料に頼らず、自然の力で収穫中。

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