\新着求人/地域の生業、伝統、文化を未来につなぎたいひと、この指とまれ!@ココホレジャパン

greenz people ロゴ

ありのままの、自分らしい生き方を。がんばる女性を応援する「Nadeshiko Ventures Summit」企画代表・杉本綾弓さんインタビュー

hand in hand
Some rights reserved by petalouda62

自分の働き方・生き方を考えるとき、みなさんは何を基準に選んでいますか?
「結婚か仕事か」「出産かキャリアか」「ビジネスか社会貢献か」二つの選択肢のうちどちらを選ぼうかと悩む人も多いかもしれません。でも、「どちらか」ではなく、「どちらも」大切にしたい。

一人で「両立」するのではなく、誰かとシェアすることで両方を手に入れることは軽やかに実現できてしまうのかもしれません。そんな、自分らしく新しい「共立」という生き方を考える「Nadeshiko Ventures Summit 2013」が、12月7日(土)に開催されます。

「がんばる女性を応援したい」と言う、企画代表の杉本綾弓(すぎもとあゆみ)さんにお話を伺いました。

その人らしい生き方ができるお手伝いを

nadeshiko

今年3回目を迎える「Nadeshiko Ventures Summit」は、Samurai Incubate Inc.で行われているイベント「Samurai Ventures Summit」の女性版。

今回は「共立」をテーマに、「婚活」などの言葉を生み出したジャーナリストの白河桃子さんHASUNA Co.,Ltd.代表取締役・チーフデザイナー白木夏子さん、株式会社Wizgroupの奥田浩美さん、ライフネット生命保険株式会社 代表取締役会長兼CEOの出口治明さんの4名が講演します。

こうしたゲストの調整や、協賛、コンテンツ内容をはじめとする企画運営は、実は有志で集まったメンバーで行っているそうです。

もともと、女性を応援する活動をしたいと思っていました。女性が夢を叶えたいとき、仕事をがんばりたいとき、プライベートと両立しようと頑張りすぎてしまいがちですが、その人らしい生き方ができるお手伝いができたらいいな、と思って活動しています。

「というのも、自分が10代から働いてきたからなんですけど」と杉本さん。自分らしい生き方をサポートする背景に、ちょっとユニークな生き方が見えてきました。

教育に疑問を抱き、16歳で社会人に

sugimotoayumi
杉本綾弓さん

現在は、マーケティング・PRを本業とする杉本さんですが、働き始めたのは16歳のときでした。

中学校のときから、日本の学校教育が苦手だったんです。決められた枠に埋め込まれて、そこから外れるとダメ、という印象で。それって本質的な教育なの?何か大事なことを見落としているのでは?と疑問に思っていました。勉強ももちろん大切だと思うけれど、個性を伸ばすような、心の教育も必要なんじゃないかなって。

高校も馴染めず、代わりにアルバイトの方が楽しかったと振り返ります。

高校生になってすぐ、バイトを始めたのですが、商品の発注も任され自分で考えて行動すると評価されるというのが嬉しかったですね。学校はみんなと一緒じゃないとだめだけど、仕事は全体を把握して、先回りして用意する。そういう方が私には合っていたみたいです。

学校に行くよりも、働きたい。入学から半年後には高校を中退しようと決意しますが、担任の先生からせっかくだからと通信制の学校を勧めてもらい、転校することに。

学費は自分で稼ぐと決め、BOOKOFFで働き、そこで人材教育や店舗経営を学びます。卒業後は「より販売職を学びたい」と、百貨店でジュエリーやアクセサリーのチーフに。そして販売職を10年間続けた26歳のころ、知人から誘われたIT企業へ転職することに決め、現在の仕事につながっています。

働くことへの興味をもった子ども時代

すでに人生の半分を働いてきた杉本さんですが、子どものときから「早く大人になりたい」と思っていたそう。

小さい頃、よく両親の友人と会う機会が多かったのですが、みんなやりたいことを仕事にしていて、キラキラしていてとても格好良く見えたんです。大人は夜も遅くまで起きられるし、いつも楽しそうだし、早く大人になりたいなと思っていましたね(笑)

母は私を子どもではなく、一人の人をして私を育てていたので、「自分で自分の人生は選択するんだよ」「昨日のあなたより、今日のあなたが1ミリでも成長できていること」とよく言われていました。誰かと比べるのではなくて、自分のめざすところに対してどのくらいできたか、ということですね。仕事では、自分だけの視点だと、自己満足になってしまうので、客観的な視点と両方のバランスが必要ですけどね。

社会と自分のバランス。忙しい日々が続くとどちらかの視点に偏って、からだとこころもバラバラになってしまうことがしまうこともありますが、「そんな人が自分を取り戻せるように」と、仕事のほかにもマイプロジェクトをおこなっているそうです。

「ありのままでいい」を伝えたい

spoonweb
http://spoon-magazine.net/

その一つが、ウェブマガジン「spoon」の運営。いろいろな人のからだとこころのちょうどいい暮らしを集めているのだそう。

例えば手が荒れてきたなと感じたら、洗剤を化学薬品からオーガニックのものに替えてみるとか、からだが求めているものや、自分が心地よいと思うことをいろいろな方の暮らしを見ることでヒントになったらいいな、と。

「spoon」で伝えたいことは「環境のために」「健康のために」ということではなくて、日常の中で自分にとって何が大切なのか、自分見つめなおしてもらうこと。その先に、何を選んでいくかが見えてくると思うんです。その積み重ねが人生になると思います。

大人になると常識や既成概念にとらわれてしまいがちですが、いまの自分を受け入れることが大切だと語ります。

spoon
「spoon」のメンバーと

杉本さんがそれに気づいたのは、結婚がきっかけでした。

結婚した当初、私は販売のチーフをしていて、仕事では「チーフだから完璧に」家では「妻は家事をやらなければ」と思って、全部一人でやっていたんですけど、旦那さんに対して「なんで手伝ってくれないの?」と怒っていました。

いろいろなことが重なり、ストレスで目眩が止まらない病気になってしまって、家から出られなくなっちゃったんですよね。仕事も家事もできず休んでいたときに「何もできなくてごめんね」と彼に言ったら、「何かをしてほしいから結婚したわけじゃないんだよ」と言われたんです。どうやら彼は、私に家事を絶対にしてほしいと思っていなかったみたいで、私が勝手に「妻だから」「チーフだから」と思い込んでいただけで。

幼少期から、「自分でいい」という教育を受けてきましたが、社会に出て、いろいろなものを知る中でしらずしらずに肩肘をはり、がんばり過ぎてことに気がつきました。「そうか、ありのままでいいんだ、私」って。

「ありのままの自分でいい」。杉本さんはこの想いをさまざまなかたちで伝えています。冒頭でお伝えした「Nadeshiko Ventures Summit」も、もちろんその一つ。

みなさんにとって、自分らしい生き方とは、どんな生き方でしょう?それを今、実現できていますか?その一歩は、まっさらな自分を見つめることから始まりそうです。

(撮影協力:GRAMARAS H