ISSUE まちづくり

3 years ago - 2013.11.08

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世界が注目する「ごみゼロ」の町とは?徳島県上勝町に学ぶ、美しい暮らしのつくりかた

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深い森を抜けるとひょっこりと現れる、四国のなかで最も小さな町。徳島県は上勝町は、2000人をきった人口の2割以上が80歳以上、60歳以上を総計すると全体の半分をも占めるという、過疎高齢化地域です。決してアクセスが良いわけでもないこの土地。

しかし、今、「視察」を目的に、年間2500〜2600人が国内外から訪れるのだそう。視察団は、なんと、経済面だけでなく精神面での豊かさを大切にする指標GNH(国民総幸福量)を唱えたことで知られるブータン王国からも。

彼らは、上勝町の一体何を、見にやってくるのでしょう?

“ごみ”ではなく“資源”。未来に残したい町づくり

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上勝町のなかでも高いところに位置する「樫原の棚田」は、重要文化的景観にも認定される美しい景色。

「葉っぱの町」「ごみゼロの町」というとピンとくる方も多いのではないでしょうか。そう、上勝町は、料亭などの料理に添えられるつまものの販売を通していきいきと働くおばあちゃんたちの姿や、町ぐるみでのごみゼロの取り組みなどが度々テレビでも紹介され、熱い視線を浴びている町。

上勝町は、平成15年9月19日に、未来のこどもたちにきれいな空気や美味しい水、豊かな大地を継承することを目的とし、「ごみゼロ(ゼロ・ウエイスト)宣言」を日本で初めて発表しました。その宣言に盛り込まれている内容は、以下のとおり。

宣言文
1. 地球を汚さないひとづくりに努めます!
2. ごみの再利用・再資源化を進め、2020年までに焼却・埋め立て処分をなくす最善の努力をします!
3. 地球環境をよくするため世界中に多くの仲間を作ります!

思わず、「むずかしそう…」と尻込みしてしまうストイックな文章が並びます。ごみの分別も、燃えるごみと燃えないごみの2通りしか無い地域もあるなかで、上勝の分別数はなんと34!分別数の多さ、日本一なのだそう。 

さぞかし大変なんだろうな…と思いながら町を訪れた私たちに、町で出会ったおばあちゃんからさらり。

私たちは、川の上流に住んでいますからね。私たちが川を汚しては、下流に住む人たちに申し訳ないですから。それに、みんなでやってみると楽しいものよ。

上勝町を愛し、美しい上勝町を未来の子どもたちに残していきたいという、強い思いがひしひしと感じられる言葉です。

美しい町の保ちかた

ところで、34にも分別されるごみ。一体どのように収集されているのだろうと、気になりませんか? そこで、ゼロ・ウェイストの拠点である「ごみステーション」を訪ね、施設運営を行うNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーの事務局長・藤井園苗さんに教えていただきました。

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施設内を案内しながら「ゼロ・ウェイスト」について、わかりやすく教えてくださった藤井園苗さん

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ゼロ・ウェイスト運動を促進するため全国各地に講演に出かけれられることも多いそう。

実は、上勝町では、収集車でごみの回収はしていません。その代わりに、町じゅうのみなさんが、各自ごみをここまで持ってきてくださるんです。そして、ここ、ごみステーションでは、なぜそうするのかを納得して協力して頂くために、運搬、焼却、灰の埋め立てに至るまでのコストをしっかり算出し、数字でわかるように記しています。

34分別を行う場所には、ごみ見本やわかりやすいイラストや数字での表示が掲げられているため、子どもからお年寄りまで楽しみながら参加できるような仕掛けになっています。

日本では、ごみの焼却や埋め立て処理だけでも、膨大な費用が掛かっているのが現状。実際に上勝町では、別の町にある民間の焼却場までごみを運んで焼却し、さらに埋め立てのために別の場所まで運ぶため、ごみ袋1袋分のごみに、約300円の処理費用がかかってしまうのだそう。つまり、排出するごみを1袋減らせば、約300円の節約になるのです!さらに、細かく分別してそれぞれのリサイクル業者と連携することで、「資源」として再利用することができるのです。

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「何がどこで、何に、どれくらい再利用されるのか」がわかる表示がいたるところに。家で分別してくる人、ステーションに到着してからする人とさまざまなのだそう。分別物は、洗浄が徹底されているため、ステーション内に異臭はしない。

ごみステーションには、子どもが成長して着られなくなってしまった子供服など、「持ち主にとっては不要になってしまったけれど、まだまだ使える物たち」がずらりと並んだリユース推進拠点、「くるくるショップ」も併設。このショップは、町内の人だけではなく、この町を訪れた人々で欲しい人が自由に持ち帰ることができるという、なんとも素敵な場所なのです。

そして、隣接する介護予防活動センター内には「くるくる工房」というショップがあり、センターのおばあちゃんたちが不要になった素材を活用してつくったリメイク商品が販売されています。

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ゴミステーションに併設されているリユース推進拠点「くるくるショップ」

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隣接する「くるくる工房」

考えずに捨てて、まとめて燃やしてしまえば「ただのごみ」。だけど、少し考えて視点を変えれば、そして、付き合いかたを変えれば、繰り返し使える大切な資源。

ごみを減らし、資源として再活用するための仕掛けが、この小さな町には、たくんさん。あなたの町では、どんなふうに「ごみ」が扱われていますか?

(Text:taraxacum 中村優)

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