ISSUE ファッション

3 years ago - 2013.11.04

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色は自然からのいただきもの。コーヒーを飲みながら、気軽に草木染めに触れる「編み物カフェ」

秋には旬のサンマと炊き込みご飯。というように、その時に芽吹く植物から染めた糸や布を身につけることで、旬のものを取り込むことができたらどうでしょう?とはいえ、なかなか草木染めに触れる機会って少ないですよね。

今回ご紹介するのは「アトリエアイズカンパニー」が主催する「編み物カフェ」。草木で染められた色とりどりの糸に囲まれ、美味しい珈琲とともに編み物をします。編むものは自由。初めての人から編み物が好きな人まで、誰でもお茶をする感覚で訪れることができます。

糸にはそれぞれのストーリーがある

アトリエアイズカンパニーは、信州の八重原にある草木染めの工房です。羊毛や綿、絹、麻など天然繊維の糸を地元で採れる草木で染めています。草木は庭先や野山から採れるものがほとんど。地元で名産の胡桃の木、桜、ハーブ、野草など、多岐に渡ります。

編み物カフェはこちらの工房で、月に2回開かれています。代表の石井加津美さんにお話をうかがいました。

草木染めとの出会いは、関西に住んでいた時のこと。京都造形芸術大学の社会人コースで学んでいた時、夏の課題で草木染めが出されたそうです。それは自分で草木を選び、布を染め、標本にして提出するというものでした。

色とりどりに染まった布たちをふと眺めていると、様々なことが思い出されました。クミスクチンは沖縄で買う時にお店のおばあちゃんとやりとりしたことや、山桜には毛虫がたくさんいて娘が刺されてしまったこと、あの年に限ってなかなか花が咲かなかったことなど。それぞれの草木にストーリーがあったんです。

そして草木染めに魅了されながら、石井さんは4年前に信州八重原に移住します。ある時、数人で集まってお茶をしていたところ、糸を持ってきて編み物を始めた知人がいました。それがきっかけで、ガレージを工房に改築して地元の草木で糸を染めるようになり、編み物カフェが始まりました。

色は自然からのいただきもの

工房に入ると色とりどりの糸が並びます。糸は余裕を持って買ってもらうように勧めています、と石井さんは話します。というのも、化学染料を使うと常に均一な色に染まるのに対し、草木染めは同じ草木でも、季節や採取した場所などで違った色に染まるためです。つまりこれらの糸たちは、一点ものなのです。


工房に並べられた糸。糸の種類でも雰囲気が変わります。

ある時お客様から、糸が足りなくなってしまったので同じ色に染めてほしいという要望があったそうです。

染料をグラム単位で量るなど条件をどんなに細かく設定しても、微妙に違う色に染まってしまうんです。試行錯誤を繰り返す中で、色は自然からいただくのだと実感しました。

それまで自分で色を染めていると思っていたことがおこがましい、と石井さんは話します。また、草木染めには独特の色合いがあるのも魅力です。例えば茶色を化学染料で染めた色と見比べてみると、草木染めの色には奥深さがあるそうです。

草木染めには五感で感じ取る魅力がたくさん

編み物カフェを訪れていた方からは、以下のようなコメントが寄せられました。

草木染めの糸に触れ、囲まれているだけで落ち着くんです。

化学染料で染めた色と違って、草木染めだと不思議とどの色とも合うんです。


わいわいと喋りしながら過ごします。妊婦さんが産まれてくる赤ちゃんのために編みにきていたこともあるそうです。

またある方は、こちらで編んだカーディガンを羽織って出掛けていたところ、「素敵な色だけど何色ですか?」と聞かれたことがあるそうです。ピンクよりはしっかりとした色で、コーラルピンクほど黄色みは帯びていない色。ちょうどいい言葉が見つからず、「草木染めの色」と答えたそうです。

ぴったりくる名前がないけど、草や花のような、どこかで見たはずの心弾かれる色。自然の豊かな色を手に取り、身につけることで感じる魅力が、草木染めにはあるようです。まずは編み物カフェで、気軽に草木染めに触れてみませんか?

草木染めの糸で編み物してみよう!
アトリエアイズカンパニー

writer ライターリスト

藤野 あずさ

greenz ライター 高知生まれ。東京でCSR・環境報告書の企画制作を経験後、信州で4年間を過ごす。農家さんや地域の人たちとの出会いを通して、食や伝統文化、自然の中で育まれた暮らしに触れ、五感で楽しむ地域の魅力を知る。 テーマは衣食と農、森など、自然のなかで暮らすこと、生きること。

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