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3 years ago - 2013.10.22

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カンボジアの貧しい家庭の若者たちが、一流ホテルに続々就職!貧困層限定のホスピタリティー学校「サラ・バイ・レストラン・スクール」

Group Picture

みなさんは、これまでの旅行で、印象に残っている宿泊先はありますか?せっかくだから素敵な部屋を…と選ぶ方や、いろんな人と交流できるゲストハウスを好む方もいるでしょう。

カンボジアを代表する観光地、シュリムアップには、「観光」はもとより、ホテルという宿泊施設にも一度も足を踏み入れたことがない貧しい人たちがたくさんいます。

そんな家庭の出身の若者を、たった11か月という短期間で一流ホテルに送り出している「サラ・バイ・レストラン・スクール」があります。

NGOが運営するホスピタリティ専門スクール

この学校を運営するのは、シュリムアップでは貧困解決のための教育支援活動をしている、フランスのNGO団体「Agir pour le Cambodge」です。

Sala Ba・School building

「サラ・バイ・レストラン・スクール」を開校したのは2002年。すでにそのころカンボジアでは、アンコール遺跡周辺を中心に観光産業が急成長を遂げ、多くのホテルがオープンしているのにもかかわらず、ホスピタリティ産業で働く“プロフェッショナル”の人材不足でした。

そこに注目した「Agir pour le Cambodge」は、カンボジアスタイル、ヨーロピアンスタイルとインターナショナルレベルで通用するホスピタリティ産業のプロフェッショナルを育てようと、「サラ・バイ・レストラン・スクール」をオープンしました。

Students Class 1

学費は無料!徹底した入学プロセス

ここには、ホスピタリティ産業を学ぶために、カンボジア全土から選抜された17歳から23歳までの100名の生徒が、無料で学んでいます。学費だけでなく、住居、食事、制服など在学中のコストは全て無料。その上、就職率も100%ということからカンボジア全土の若者に注目されています。

入学資格があるのは、学校の6年間の課程を修了した、やる気のある17歳〜23歳までのカンボジア人。さらに、一家族あたりの月収が25ドル以下の家庭に限定されています。

6か月間に及ぶ申込みシステムのプロセスは、4ステップ。スタートは、毎年1月。ラジオを通して「今年も「サラ・バイ・レストラン・スクール」の募集が始まりました!」とカンボジア全土に告知をします。その後、入学希望者は2月に直接申込書を書きにやってきます。この時点で毎年500人以上の若者が申し込むそうです。

入学プロセスで注目したいところは、3月から5月の3か月間、学校のソーシャルワーカーが直接生活環境や、家族収入をチェックしに申込者の家庭に足を運ぶ点です。貧困層クラスへの教育援助として活動している団体だからこそ、実際に貧困層クラスへ教育支援がいきわたっているのかということと、家族から離れて11か月間シュリムアップで生活する生徒たちの今までの生活を理解することで、彼らの学生生活をさらに援助できると考えているからだそうです。

生徒候補の家庭を訪れるソーシャルワーカー。
生徒候補の家庭を訪れるソーシャルワーカー

そして6月に筆記試験と面接試験を行い、最終的に100名を7月に決定します。

入学者のうちの70人は女性生徒。発展途上国の1国であるカンボジアでは、伝統的に男尊女卑が残る国であり、家庭の経済状況が苦しいと男の子が優先的に教育をうけられることが多く、教育を受けたくても受けられない女性が圧倒的に多いため、「もっと女性が就学できる場を増やそうという女子教育支援の一環で、男子生徒よりも女子の割合を増やしています。

Restaurant Students 5

生徒の家庭背景に合わせた独自のカリキュラム

コースは、ホテルオフィスコース、ハウスキーピング、サービス、調理師コースと大まかに4つに分かれています。

観光業に必要な英語はもちろんのこと、大学や私学のホスピタリティスクール同様のスキルを学ぶことができますが、入学する生徒たちは全員、観光業はもとより、ホテルなど一度も訪れたことがありません。そのため、入学するとすぐに「ホテルとはどんな場所なのか?」ということを紹介するため、まずはパートナーホテルに見学に行くところから授業はスタートするなど、彼らのライフスタイルバックグラウンドを考慮したオリジナルのカリキュラムを作っているそうです。

Housekeeping Students 2

レストランと客室を生徒たちが運営

「サラ・バイ・レストラン・スクール」では、ドバイの一流ホテルで腕を磨いたカンボジア人シェフの元、生徒たちが作るカンボジア料理を始めフランス料理などの様々なインターナショナルな料理を提供するレストランと4室の客室を運営しています。

Menu 3

これは、外国人観光客を相手に実際に経験を積むことによって、机の上で勉強するよりもはるかに早く全体的な業務を修得する効果があるからで、全体の75%以上が実践授業です。

Cooking Students 3

また、多くのNGOの資金調達で苦戦する中、客室やレストランの収益は、「サラ・バイ・レストラン・スクール」の運営費30%を補っており、この収入源は学校運営の重要な資金なっています。

Restaurant Students 6

6か月半、実践研修をベースに業務を学んだ生徒たちは、その後、残りの4か月半をシュリムアップ市内にある、20以上のパートナーシップを結んでいるホテルやレストランで研修を積みます。そして11か月という短期間で、カンボジアスタイルのホテルからインターナショナルクラスのホテルまでさまざまなスタイルのハイスタンダートホテルへ就職をしています。

今年7月に卒業した生徒の90%以上は、すでにシュリムアップ市内の一流ホテルやレストランに就職がきまりました。

Graduation 3

貧困層の若者に180度以上の新しい未来の扉を開いてくれる「サラ・バイ・レストラン・スクール」。ブレないNGOのミッションと、教育アイデアを上手に活用した資金調達、効率的なワークフローは、多くの若者に将来の希望を与えているだけではなく、ファイナンシャル面で悩める多くのNGO団体にも何か可能性を感じさせてくれるのではないでしょうか?

「サラ・バイ・ホテル・スクール」に行ってみよう!
「SALA BAI Hote SCHOOL」

writer ライターリスト

Kanako Tokutake

Kanako Tokutake

greenz ジュニアライター 千葉県生まれ。東京で就職→ドイツに赴任、赴任中に行ったエジプトでダイビングに出会い退職→タイでダイビングインストラクター→フランスカンヌでスパセラピスト。→現在「旅」「食」「教育」を中心に書き物をしている人生の旅人。 twitterアカウント:@oishithailand_k

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