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3 years ago - 2013.09.13

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ゴミ置き場を、富士山にしよう!ゴミ問題をデザインの力で変える「GARBAGE BAG ART WORK」

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街角の、あるいはマンションのゴミ置き場。例えば、ゴミ置き場がこんな風景だったら、毎日のゴミ出しも楽しくなると思いませんか?

2006年の夏に始まった「ゴミ置き場をアートにするプロジェクト」は、今年で8年目を迎えます。

日本中の街角に、青い海原や真っ赤な花畑、緑の山が突然現れる…。このプロジェクトは、ゴミを捨てる一人ひとりがアーティストになれる、いわばインスタレーション。単にデザインされたゴミ袋というモノ発想ではなく、毎日のゴミ出しという時間や行為、気分までもデザインするソーシャルデザインとして話題に。

今年7月には、ゴミ置き場を富士山にする「富士山ゴミ袋」が登場しました。このプロジェクトを続けてきた「GARBAGE BAG ART WORK」の山阪 佳彦さんにお話を伺いました。

ゴミ置き場を富士山に!「富士山ゴミ袋」

ゴミ置き場をアートにするプロジェクトの一環として、新たに登場したのは、積み上げると富士山になる「富士山ゴミ袋」。青の半透明ゴミ袋9枚と白の半透明ゴミ袋1枚の10枚入り。この10枚セットで、富士山が完成するというものです。

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自宅の近所で、ゴミ袋をとてもきれいに積み上げているマンションのゴミ集積所があるという山阪さんは、思わず「きれいですね」とマンションの管理人に話しかけてしまったのだとか。管理人が密かに名付けていた「石垣積み」というアートとも言うべきゴミ袋の山に、“積み上げて山にする”という発想のヒントを持ったのだそう。

富士山が世界遺産登録されたことや、富士山エリアで活動中の清掃団体・美化団体とつながりがあったことがきっかけで、「富士山ゴミ袋」の啓発、販売がスタートしました。

「ゴミ置き場」をデザインの力で変えていく

株式会社マック クリエイティブディレクター / プロデューサーでもある山阪 佳彦さん
株式会社マック クリエイティブディレクター / プロデューサーでもある山阪佳彦さん

プロジェクトを始動させた2006年当初、周囲のデザイナーたちは、プロダクトデザインを担当しては、「その商品が表参道のインテリアショップに置かれること」にデザイナーとしてのステータスを感じていたと振り返る山阪さん。

デザインって、表参道のインテリアショップを訪れるような、オシャレな人たちだけのものではなくて、東京に限った話でもなくて、子どもにも高齢者にも影響を与えるべきものだと思っていたんです。

先ほどの“石垣積み”のゴミ置き場を見て、こうしたきれいなゴミ置き場にしたいと思える気分的な仕掛けを、デザインの力でできないかなと考えました。

こうして始まった「ゴミ置き場をアートに変える」ソーシャルデザインは、各地で反響を呼び、次々とあらたなプロジェクトが展開されたのだそう。

「ゴミ置き場をアートにするプロジェクト」としてゴミ袋のオリジナルデザインのほか、企業やキャラクター、アーティスト、音楽・スポーツイベントなどとのコラボレーションでその種類も増えました。また「ゴミは楽しく持って帰ろうよプロジェクト」として、持ち手の結び方やゴミの量でいろいろなラビット君が完成するマナーバッグも登場。

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さらに、素材自体の環境負荷にも目を向け、廃棄されていたものを有効活用しようと、役目を終えた農業用ハウスを回収して再素材化。ゴミ袋にリサイクルするなどの取り組みも広がっています。

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こうした活動を始めてみたところ、ゴミ拾いをする清掃団体から、このゴミ袋をもらえないかと数多く問い合わせがあり、無料で配布されていたのだそう。配布の量が増えて追いつかなくなってきた頃、アウトドアウェアブランド「Columbia」の株式会社コロンビアスポーツウェアジャパンさんから、協賛をいただけることになったのだとか。

無料配布が増え過ぎて、一時、配布をやめていた時期もありました。そんなときに、コロンビアスポーツさんで「エコロンビア」というCSR活動が始まり、昨年、今年と予算をつけていただいたんです。この秋から2年目に入るこの活動ですが、ちょうど新しいゴミ袋のデザインが仕上がったばかりです。

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ゴミ置き場やゴミの行く末を、もっと気にする社会に

先ほど紹介した「富士山ゴミ袋」は、富士山が世界遺産登録される以前からアイデアとして持っていたものが、たまたま富士山エリアで清掃・美化活動をしている「富士山クラブ」の方からお声掛けがあって、実現したのだそう。

オリジナルのゴミ袋をつくってほしいという引き合いは、本当にたくさんあるんです。でも、数百枚という単位では、なかなか実現できません。納得いただける単価にするためには、1万枚、3万枚…。普通の清掃団体では、そんなに使わない。それで、単純に、ゴミ袋にこれまでのようなデザインをせず、既存のゴミ袋にあった青と白という色を積むことでデザインにする、というアイデアはどうかと考えました。

これまでの絵柄が印刷されたゴミ袋と比べると、あれ?って思うかもしれないし、わざわざ「富士山ゴミ袋」を買わなくても、僕らでもできるよね、って思う人もいるかもしれない。でも、真似してくれたらいいんです。自分たちで違う色のゴミ袋を買ってきて、別のオブジェをつくってみようとか。そんなふうに、みんなが考え、ムーブメントになっていったらいいなという思いがありました。

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これ一冊で、富士山が完成するゴミ袋キット

本当は、デザインされたゴミ袋ではなくても、石垣積みのようにきれいに積むだけでも、楽しいアートになるはず。

近頃、いろいろな地域でコミュニティが元気ですが、ゴミの話ってあまり出てこないんですよね。町内でお祭りをしようとか、楽しいイベントは提案しやすいし、のっかりやすい。町内でゴミ拾いをしよう、という提案なら、まだ人が集まるかもしれない。でも、ゴミ出しは日常のことで、問題がなければあまり積極的に考えたりする機会もないと思うんです。

町内やマンション内みんなで始めなくても、ゴミ置き場にひとつあるだけで、誰かが気づいてくれる町内やマンション内みんなで始めなくても、ゴミ置き場にひとつあるだけで、誰かが気づいてくれる

ゴミ袋から毎日の生活を見直す

ゴミ袋もメッセージを持ったメディアであると、山阪さんは続けます。

普通のゴミ袋に比べれば高価な分、もったいないから、ゴミを減らそうって考えることにつながったりとか。町内のゴミ拾い活動をしている人は、このゴミ袋にしたら、人がたくさん集まったとか。ゴミ置き場がアートになるだけではなくて、毎日の生活や意識も変えることができるんだなって思いました。

ゴミの量が半分になるなら、ゴミ袋が倍の値段だとしても、毎日のゴミ出しが楽しくなるはず。ゴミ拾いをする団体も「婚活ゴミ拾い」「オールナイトゴミ拾い」「スポーツゴミ拾い」「ゴミ拾い駅伝」など、いろいろな工夫をしています。

ゴミ拾いをする人たちとの連携を大切にしていきたいと思っています。それから、こうしてゴミやゴミ置き場がライフワークのようになってくると、ゴミが気になって仕方がないんです。

観光地に行くと、ゴミの捨てられ方はひどいですね。サービスエリアや観光地のガソリンスタンドでみんなゴミを捨てている。確かにゴミはすぐに捨てたい気持ちは分かりますが、ゴミは家にもって帰ろうよって。

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買ったときはゴミではないのに、ゴミ袋に入った瞬間にゴミになって、一秒たりとも家に置いておきたくないものになってしまう。そしてゴミ置き場に出したらもう自分と何の関係もない、どうでもいいものになってしまう…。

ゴミ袋にデザインがあると、うちのゴミだって町内で分かってしまうから嫌だって言う人がいたんですが、分かっていいんじゃないのって思うんです。ゴミに責任を持ったほうがいい。自分が使っていてゴミになったものだから、焼却されるのか、リサイクルされるのか、その手前までは責任を持ったほうがいいんじゃないの、って。

こうした活動を、ずっと続けていきたいという山阪さん。

ゴミ出しというと、できればやりたくなくて、出勤ついでにお父さんの仕事ね、と押しつけているようなところがあるかもしれません。例えば子どもが楽しんでゴミ出してくるね!と言えるようになったり、ゴミの量を減らすよう各家庭でアイデアを出してみたり。おしゃれなものを買うことよりも、捨て方にこだわるほうがおしゃれ。そんな時代は、すぐそこまでやってきているのかもしれません。

ゴミ置き場をアートにするプロジェクトをもっと知ろう
GARBAGE BAG ART PROJECT

writer ライターリスト

増村 江利子

増村 江利子

greenz シニアエディター/シニアライター 国立音楽大学卒。Web制作、広告制作、編集を経て現在はフリーランスエディター。一児の母。主なテーマは、アート、建築、暮らし、まちづくり。八ヶ岳の麓の賃貸トレーラーハウスで、“小さく暮らす”をモットーに、DIY的暮らしを実践中。 facebook:http://www.facebook.com/e.masumura twitter:https://twitter.com/eriko_n

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