ISSUE ソーシャルグッド

3 years ago - 2013.08.29

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メイクアップ・アーティスト界のカリスマが伝授する、ドメスティック・バイオレンスを消す方法「DON’T COVER IT UP」 [Cannes Lions2013]

DON'T COVER IT UP image

連載でお届けしているカンヌライオンズ・国際クリエイティビティ・フェスティバルのソーシャルグッドな受賞作、今日はイギリスの施策をご紹介します。

若い女性たちの間でカリスマ的な人気を誇るメイクアップ・アーティスト、ローレン・ルーク。ある日、彼女のYouTubeチャンネルに、「How to look your best the morning after」というタイトルの動画がアップされました。

朝からキレイになれる新しいメイクのハウツーかしら!と思ってその動画を見てみると…なんと、ルークさんは酷く傷ついた顔をしています。それでも、ルークさんはいつものような口調で、傷を隠すメイクの方法をレクチャーします。

そしてもうすぐ終わる、というところでドアを開けるような音…。ルークさんはあわててカメラをオフにします。ここで見ている人は、「あれ、これってドメスティック・バイオレンス?」と思うわけですが、そこでこんなコピーが表示されます。

ドメスティック・バイオレンスの被害に遭っている女性のうち、
65%がそれを隠しています。
隠さないで。
この動画をシェアして、公に話ができるようにしましょう。

メイクして隠そうとするのではなく、社会的な問題として話そう、そういうメッセージですね。ルークさんのファンである、おしゃれに敏感な女性たちはこぞってこの思いがけず出会った動画をシェアし、ドメスティック・バイオレンスの問題について対話を始めるようになりました。

イギリスでは、毎日数千人もの女性たちがドメスティック・バイオレンスの被害に遭っています。でもその女性たちは被害が明るみに出ることを恐れ、口を閉ざす傾向にあります。女性や子どもたちを暴力から救う非営利団体「Refuge」は、そんな女性たちに手を差し伸べ、声を上げてもらいたいと思い、このムービーをつくったのです。

ルークさんは、このムービーの仕事を受けようと思った動機をこう語ります。

深刻な問題であるドメスティック・バイオレンスへの注目を集めたかったんです。そして、サポートが必要な人に届けたかった。ドメスティック・バイオレンスは肉体的なものだけではありません。感情的なもの、精神的なもの、金銭的なものもあります。

もしパートナーとの関わり方を変えなくてはいけないと思っているのなら、その人はドメスティック・バイオレンスに遭っているのです。

そして、ドメスティック・バイオレンスに苦しんでいる女性に、こんなメッセージを残していいます。

あなたは一人ではありません。被害が明るみになるのを恐れて隠してしまわないようにしましょう。Refugeは、常にあなたの味方になってくれます。

ドメスティック・バイオレンスは、隠された犯罪だと言われています。女性たちがこの問題について表立って話をすることで、暴力をふるう側も明るみにでることを恐れるかも知れません。そしてなにより、女性たちに立ち上がろう、相談しよう、という勇気を与えるでしょう。

ふだん話すことを避けるような重いテーマについて女性たちがオープンに語り合えるようなきっかけをつくったルークさんの行動こそが、女性たちの勇気を奮い立たせることになったのかも知れませんね。

カンヌライオンズ受賞作の連載はまだまだ続きます!引き続きお楽しみに。

(翻訳協力:モリジュンヤ

writer ライターリスト

丸原 孝紀

丸原 孝紀

greenz シニアライター 1976年京都生まれ。コピーライター(東京コピーライターズクラブ会員)。企業に社会貢献型のコミュニケーションを提案するとともに、NGO/NPOのクリエイティブを積極的にサポートしている。社会課題を解決するアイデアを提案するプランング・ユニット「POZI」のプランナーとしても活動中。

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