ISSUE☆おすすめの連載! わたしたちエネルギー

2 years ago - 2013.08.28

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“笑エネ”は世界平和にもつながる!電気代200円代で豊かな生活を実践する、はらみづほさんの暮らし方

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この夏からgreenz.jpのライター陣にも加わった、はらみづほさん(左)。“電6生活”を共に探求するパートナーの坂山やすゆきさんと、ご自宅にて(撮影:河村信)

わたしたち電力」は、これまで“他人ごと”だった「再生可能エネルギー」を、みんなの“じぶんごと”にするプロジェクトです。エネルギーを減らしたりつくったりすることで生まれる幸せが広がって、「再生可能エネルギー」がみんなの“文化”になることを目指しています。

みなさんの月々の電気代はいくらですか?

生活に不可欠な電気、水道、ガス。これらの料金はなるべく抑えられたら嬉しいですね。今回は札幌市内のマンションで電気代200円台の暮らしを実現している、はらみづほさんにお話を伺いました。

“電力生活”から、“電6生活”へ

はらさんが昨年末に出版した著書『できた!電気代600円生活』(北海道新聞社刊)には、「電力依存を今の6割にして、心地よく暮らそう」という気持ちとともに、電気代月600円以下で楽しく暮らすノウハウと、そこにつながるヒントをくれた世界6大陸60カ国6年間の旅話が綴られています。

彼女が暮らすのは、札幌市中央区の地下鉄駅から徒歩3分、築30年のマンションにある約40平米ほどの1DK。去年の12月、一人暮らしからパートナーとニ人暮らしに変わったのを機に、10アンペアだった電力契約を5アンペアにダウン。すると500~600円だった電気代が、なんと200円台になったとのこと!

“アンペア”とは電流の単位で、北海道電力や東京電力では使用量に応じた“アンペア契約”が基本となり、契約アンペア数が半減すると、基本料金も半額になるしくみ。

一般家屋では最初から20~30アンペア以上に設定されている場合が多いので、5アンペアではほとんど電気が使えないような印象がありますが、実際は「一度に500ワットまで使える」という意味。5ワットのLED照明なら、同時に100個灯してもブレーカーは落ちません。そう考えると、けっこう使える気がしてきますね。

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マルチプランナー兼ライターであり、イベント企画、広告制作、講演活動など、様々な仕事をしているはらさんのご自宅は、生活空間であると同時に仕事場にもなっています。

驚異的な電気代を実現できた最大のポイントは2つ。家電が少ないこと、そしてベランダに自前で設置した太陽光発電システムがあることです。

はらさんが使っている家電は
・仕事で使うノートPC2台
・スキャナー付きプリンタ
・携帯電話および充電器各2つずつ
・洗濯機
・給湯器
・換気扇
・浴室と玄関を含め合計5つの照明

あとは時々使う
・ミキサー
・アイロン
・ミシン

とのこと。テレビも、冷蔵庫も、電子レンジもありません。

「ないと困る」が「なくても平気」へ

「そんなの無理!」と思いますか?でもはらさんに我慢している様子はなく、「楽しくてやめられない!」とのこと。いったい、どうしてなのでしょう?

「あるものを活かす」をテーマに暮らし始めたら、いつの間にかこうなっていました。この暮らし方を始めて8年目ですが、“物と自分の再発見”が今も続いています。

例えば、
・クーラー⇒涼しくする
・冷蔵庫⇒食品保存
・電子レンジ⇒冷凍食品を溶かす・冷蔵食品を温める
・トースター⇒パンを焼く
・掃除機⇒室内を清潔に保つ

など、家電一つ一つが「何のためのものか」を検証してみることも、再発見への第一歩だそう。

「ほんのり灯りが灯っていればいい玄関・洗面所・リビングルームはキャンドルでいいけれど、読み書きするためのデスク周りには明るい照明がほしい」というように、持っているモノの目的を再確認することで、その必要性や代替案を見つめ直すことができるからです。

私の場合は、そうやって工夫の思考回路と可能性が開発され「できない」が「できる!」に変化するにつれ、「ないと困る」と思っていたものが「なくても平気」に変わり、自分が本当に欲しいものがわかるようになってきました。

家電を一つやめてみる…例えばそんな小さなことからでも、変化は始まります。私はそれで日常が楽しい冒険になって、自分が活性化しました。電気代が安くなるという “オトク”も、もれなくついてくるから、もうやみつきです(笑)

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12月から8月の電気代はずっと、ほぼ基本料金のみの200円台をキープ!(撮影:はらみづほ)

「本当に必要か?」と問うてみた

そんなはらさんも、もともとはバブル世代。東京の広告代理店でコピーライターをしていた頃の電気代は、一人暮らしで月4,000円前後だったそうです。はらさんが月600円の電気代に至るまでのステップを、ダイジェストでたどってみましょう。

札幌への移住を機にまず手放したのは、テレビとエアコン。この2つにどっぷり依存していた生活とサヨナラしたことで、電気代は月3,000円弱に。この頃の契約アンペア数は20アンペア。つまり、一度に2,000ワットまで使える契約でした。

次にグッバイしたのは、「電磁波で食品の精気が失われる気がしていた」という電子レンジと、「保温状態にしたままで外出してしまうことも多かった」という炊飯器。今では、「チン!」したい時や玄米の炊飯に、保温力と遠赤外線効果が高い肉厚の土鍋を使うようになったそうです。

「お鍋でチョイ」と蒸せば「レンジでチン」にも負けない手軽さで温められ、電磁波もなく安心だし、すごくおいしくなるんです。蒸し皿があると便利ですが、なくても温めたい食品を入れた器の下に、竹や金属製のザルか陶茶碗などを置けば代用できますよ。

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愛用中のマスタークック土鍋。蓄熱力に優れた肉厚セラミックの遠赤外線効果で食材の甘味が引き出され、保温調理でガスも節約できるそう(撮影:はらみづほ)

この”見立ての心”とも言うべき智恵の数々で、あらゆる”家電”を”非電化”な道具に置きかえていけるとのこと。

・ドライヤー → 「エアドライヤー(タオルとうちわでヘアドライ)」
・掃除機 → 「魔ほうき(ほうき)」+「雑キング(雑巾)」
・電気照明 → 「人間の照明(キャンドル)」
・給湯器 → 「おひさまの湯(太陽光で温水をつくる)」

いかにもコピーライター!という楽しいネーミングには、「遊びゴコロを忘れないように」という気持ちが込められているそうです。

例えば、絨毯をほうきで掃くとホコリや髪の毛などが驚くほどよく取れるので、掃除機で吸っていた時よりずっと、キレイになっている実感を持てるようになりました。

トースターの代わりに、陶板やフライパンでパンを焼くオープントースターもオススメ。パンの上に落しぶたをして弱火で焼くのがコツ。すぐ焼けて、外はパリッと中はモッチリ。トースターには戻れないおいしさですよ。

冷蔵庫をやめて、生活が豊かになった!?

あの手この手で少しずつ家電を手放し、同時に契約アンペア数も20から10に減らしていったはらさん。

・オーディオ類などに、待機電力カット用のスイッチ付きタップを導入
・自宅内の照明数を総チェックし、電球の数を必要最小限に減らす
・残した電球を、白熱灯から省エネ電球やLEDに交換
・たまに使っていたホットプレートを手放す
…と、さらなる節電をゲーム感覚で試し、3,000円弱だった電気代は半額以下の1,200円台に。

「あとは何ができるんだろう?」と自問していた秋に、「冷蔵庫をやめて生活が豊かになった」という家族の話を友人から聞いたのです。

豊かになった理由は、子どもと一緒に食べ物について話し合うようになり、食育につながったこと、余計なものを買わなくなり出費削減につながったこと、それから、保存食をつくるようになり、昔ながらの智恵を学んだこと。あとは、いただきものなど、自分たちで食べきれないものをご近所にお裾分けし、近所づきあいが活性化した…などでした。

私は冷蔵庫で食品を腐らせてしまい罪悪感を感じることも多かったので、「やめちゃえばそれもなくなる!」と安直に気楽さを感じ、1~2ヶ月後の元旦に「パンパカパーン!」とファンファーレを歌いながら、冷蔵庫のコンセントを抜いたんです。

すると約1,200円だった電気代が、いきなり600円台に!365日24時間稼働する冷蔵庫の威力を思い知ることになりました。

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はらさん宅の玄関を入るとそこはずらり!保存食の宝庫。びんに乾燥剤を入れるのも長持ちさせるコツ。ゴミにされてしまいがちな空きビンと乾燥剤を、友人知人からもらっているそう(撮影:はらみづほ)

それ以来、はらさんは必要に迫られつつ、“常温でも腐らせない方法”を探究。

・ドイツのザワークラウトに着想を得た、あらゆる野菜を塩漬けにする「ベジザワー」
・果物や野菜を皮ごと砂糖漬けする酵素液「甘いタメ液」
・野菜はもちろん、パン、ケーキ、ごはん、かまぼこ、魚肉類と、何でも天日に干す「太陽光フーズ」

と、“発酵”と“天日干し”を中心に、手軽で滋味と滋養いっぱいの保存食作りを次々実践してゆきました。

はらさんならではの“お手軽ポイント”は、ジャムなどの空きびんを再利用して少量ずつ保存すること。発酵菌も太陽も風も空きびんも、ゼロ円。まさに「あるもの活かす」のおいしいワザが、どんどん開発されていったのです。

”自家発電”って愛おしい!

そんな矢先、東日本大震災は起こりました。福島原発事故で、巨大システムによる発電の副作用を痛感したはらさんは、自家発電の先輩と知り合ったのを機に、自宅のベランダで自家発電を開始。ネットオークションが得意な先輩に最適な部材を落札してもらい、合計7万円で構築したというシステムは以下の通り。

1)発電用の太陽光パネル2枚(100w+70w)
2)発電した電気を貯めるディープサイクルバッテリー2個(いずれも115Ah)
3)発電された12Vの直流電流を、家電で使える100Vの交流電流に変換するインバータ(300W)
4)発電からチャージまでの現状を表示し、電気の逆流を防ぐチャージコントローラー

業者に一任してしまうのではなく、先輩と一緒に自分たちの手で設置したシステムなので、話しかけたりナデナデしたりとイキモノのような愛着を感じていて、悪天候で発電率が少ない日は、少しでもムリをかけないよう気を配っています。

おかげで「今日は電気が不作気味だから“非電化モード”でゆったり過ごそう」という具合に天気と生活が一体化し、文字通り“自然体”の生活になりました。

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西向きのベランダで太陽光発電には好条件とは言いがたいものの、
一番使う電力を考えPCを中心にシステムを構築。
先輩が使っていない70Wの中古パネルを貸してくれたので
日照時間の短い冬も発電量が増え、1日8時間使っても電力不足にはほとんどならないそう(撮影:はらみづほ)

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“にこにこマーク”は発電が順調な証。オーブントースターと掃除機を半日に2回ずつ使い、バッテリーの急激な消耗で一度だけ“悲しい顔マーク”が点滅。それが、この2つの家電をやめるきっかけになったそう

“電6生活”のはじまりは、世界一周旅行から

そもそも、なぜはらさんは“電6生活”を実践するようになったのでしょうか。その転機を聞いてみました。

1997年の夏、はらさんは失恋と勤続10年を機に勤めていた大手広告代理店を辞め、幼い頃から夢見ていた世界一周の旅へ。雑誌連載やラジオ番組で各地をレポートするフリーランスライターとして、リュック一つで訪れた各地で出合ったのは、トイレットペーパーのないトイレや、電気も水道もない暮らしなど、日本では触れることのなかった、多種多様な人や自然の姿でした。

人にも自然にも、度肝を抜かれるダイナミックさを感じました。地球には本当に様々な気候風土があり、それらに基づく神秘にあふれた恵みがある。それぞれの地で、それぞれの風土に寄り添い、その恵みを工夫して活用し、様々な能力を発揮して生きている人々の姿に触れた6年間でした。

それは今思い出しても腹の底からエネルギーが湧き上がってくるような感動の連続で、限られたわずかな物をフル活用して生きる人々の姿は、私にはとても美しく、力強く、まぶしかった。あの旅で感じた「私もこんなふうになりたい!」という強烈な憧れは、今も私のヤル気の源泉になっています。

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西アフリカ・コートジボアールの貧民街市場で(撮影:はらみづほ)

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水は、鏡のように木々を映し万華鏡のよう。そんなアマゾンの森も、様々な理由で伐採が進んでいます

けれども、はらさんが「電6生活」に踏み出したいちばんのきっかけとなったのは、中東の国イスラエルの領土内に存在するパレスチナ自治区で、イスラエル軍青年兵との対話だったそうです。

ここは60年以上もの間、混乱が続いている、“パレスチナ問題”の紛争地。いったい、何が起こったのでしょう?

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イスラエル軍の青年兵との出会いが、はらさんの生き方を大きく変えました

パレスチナ自治区内の街を封鎖してバリケードを張っていたイスラエルの青年兵は、会話の最後に吐き出すように大声でこう言ったのだとか。

誰がこんな見知らぬ街のクソ暑い炎天下で、こんな重たい銃を持って立っていたいもんか!はっきり言って、こんな戦争、俺には関係ない。俺は誰のことも憎んでなんかいないし、誰のことも殺したくなんかないさ!だけど今の俺の仕事は兵士で、これをやるしかないんだよ!俺にはどうすることもできないんだ!俺にはなんにもできないんだよ!

その体験以来、はらさんは戦争の本当の理由を必死で探し始め、結局「エネルギーの大量消費」と「コミュニケーションの断絶」があらゆる戦争の根源ではないか、と思い至ったのだそうです。

みんながモノを欲しがり続ける限り、モノを生み出すための資源は絶対的な利益になるので、自然のしくみと離れた暮らしを続け「生態系に生かされている自分」が感じられなくなってしまった人々は、限られた個人や組織の利益を優先し、それ以外の存在を破壊することもいとわなくなる。

その結果生み出された「各地の資源と人々の自立を奪うしくみ」が戦争なのだ、と気づいたのです。

海外から輸入しなくても、日本には未開発の資源がたくさん埋蔵されていると思う、とはらさんは続けます。

日光・雨・風などの“気象資源”、大地・海・山河・動植物などの“自然資源”、一人ひとりの中に潜む個性や能力などの“人的資源”、各地ごとに伝わる智恵や技術などの“歴史資源”…。

自分と周りを見回しただけでも数え切れないほどの資源があふれているのに、「日本には資源が少ない」と思い込み、大量に輸入して大量に使い捨てているなんて、水も湿気も植物も極限状態の土地で暮らす砂漠の民たちから見たら、こっけいなほどだと思います。

地球は神秘と変化に満ちているから、地球の子どもである人間にも、同じ性質が受け継がれていると思うんです。「できない」という思い込みを「できるかも」に変えてみることも、その本領を発揮するための第一歩になる気がします。

使っていない家電のプラグを抜く。例えばこんなちっぽけなアクションも、めぐりめぐって遠い国から資源を奪う必要のない、平和な世界への一歩なのだということを、はらさんの“電6生活”は教えてくれました。

自分なりの楽しい節電方法、あなたも一緒に見つけてみませんか?

はらみづほさんの節電生活を読んでみよう!
できた!電気代600円生活

writer ライターリスト

ヘメンディンガー綾

ヘメンディンガー綾

greenz シニアライター 編集・ライティング/フランス語翻訳。 東京で地域情報紙、ファッション雑誌の編集に携わる。結婚を機に大阪に帰郷。 旦那がほぼ独りでDIYした築70年の古民家に、薪ストーブを入れ「火と木のある暮らし」を楽しむ毎日から、日本の森や農業、エネルギーのことなど持続可能な未来にあれこれ想いを巡らせています。 2歳の息子を抱きしめながら子育て奮闘中。そんな合間に華道と茶道も学んでいます。

partner パートナーリスト

GREEN POWER

わたしたちエネルギーは、エネルギーを、じぶんごとにして楽しむプロジェクトです。エネルギーを減らしたり、つくることを楽しむ。つくったエネルギーで得られる楽しさ、幸せをみんなで共有する。エネルギーで地域が自立する。今、そんな試みが全国に広がっています。わたしたちは、greenz.jpの記事をつくること、グリーンズの学校で共に学ぶことなどを通してそんな動きをサポートし、そして共に歩みたいと思っています。 このプロジェクトは、経済産業省資源エネルギー庁GREEN POWER プロジェクトの一環で進めています。 ⇒ 特集「わたしたちエネルギー」FacebookページGREEN POWER プロジェクト WEBサイト

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