ISSUE まちづくり

3 years ago - 2013.08.13

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小さくても輝く日本の村の姿を守る。日本最初の”最も美しい村”に選ばれた、美瑛町から見えてくるものとは

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きっと、まだどこかにあるはずの古き良き美しい日本の風景。そんな小さくても輝くオンリーワンな村の集まりがあります。その名も「日本で最も美しい村」連合。失ったら二度と取り戻せない日本の農山村の景観や文化を自分たちの手で守り抜いていこうとする村々が、この連合に加盟しています。

高齢化や過疎化の進む小さな村々であっても、そこには、生活の営みによって作られてきた景観や環境があります。「日本で最も美しい村」連合では、小さな村が集まり、培ってきた文化に誇りを持って付加価値を高め、将来へ残してゆくことで、地域資源の保護と地域経済の発展を目指すのです。

美しい村々をつなぐ連合の今までとこれからをご紹介します。

「日本で最も美しい村連合」の誕生

2005年10月に発足した「日本で最も美しい村」連合に加盟しているのは、現在49町村。連合のはじまりのひとつには、ある小さな美しい村の、町長さんの熱い思いがありました。

それが、大雪山十勝岳連峰の裾野に広がるなだらかな丘が美しい町、北海道の美瑛町の浜田町長。美瑛町は、「パッチワークの丘」と呼ばれる景色やapple社製品の壁紙に採用され、世界的に話題となった「青い池」があることでも有名な町。

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(右)浜田町長(左)美瑛に広がる数々の丘は、およそ100万年前に起こった巨大噴火で流れた軽石や火山灰が波のように流れてできたもの。

この土地への植民が始まり、村ができ、分村を経て1900年に「美瑛町」は生まれました。その後、100年をかけて作られたこの町の景色は、決して観光用の景色を目指して作られたわけではなく、その厳しい開拓史とともにできあがった暮らしの風景だったと、この町に暮らす人は言います。

つまり、農家によって作られた「暮らしの風景」であると同時に、農業が衰退すればなくなってしまう風景なのです。町は、1995年から国内で大規模に推進された、いわゆる「平成の大合併」にも追随しませんでした。

自治体の規模を大きくすることが、必ずしも人々を幸せにするわけではないという強い思いがありました。町民一人ひとりの手で景観や暮らしを守っていく方法を模索してきました。

と、浜田町長は言います。

モデルは、「フランスで最も美しい村」

転機が訪れたのは、2003年のこと。浜田町長が、1982年に発足され、現在でも150以上もの村が加盟する「フランスで最も美しい村」の総会に出席したことがきっかけでした。

そこに集まっていたのは、小さくても素晴らしい地域資源を持つ村の人々。それぞれは小さくても集まってブランディングを行うことで、美しい景観や人々の暮らしを守っていくという形態を成していました。「これだ」とすぐに浜田町長は思ったそう。

さらに、「しかし、日本にはフランスのように美しい歴史的建築物があるわけではないのか……」と問い直していたところを、フランスで最も美しい村会長が、「日本は日本独自の概念で美しい村連合を作ればいいじゃないか」と後押し。そして、「日本で最も美しい村」連合が誕生することになったのです。

さらに、現在までに、ベルギーワロン地域の最も美しい村やイタリアの最も美しい村、カナダ・ケベックの最も美しい村、そして、韓国の最も美しい村も発足しています!

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現在では、49町村が「日本で最も美しい村」連合に加盟している。

連合を作ると決めたものの、その加盟町村を募るのに苦労しました。それでも各自治体の首長に粘り強く働きかけ、2005年10月、7町村から理解を得ることができ、スタートしました。

「最も美しい村」はどのように選ばれているの?

実は、「最も美しい村」に加盟するのは、厳しい審査をクリアしてきた村々。その審査の条件は、大きく分けて3つ。

① 人口が概ね1万人以下であること
—その条件を満たす自治体であれば、“町”とつく地域も加盟しています。

② 地域資源が2つ以上あること
—生活の営みにより作られた景観や豊かな自然や自然を活かした町や村の環境、昔ながらの祭りや郷土文化、建築物などを対象とします。

③ 連合が評価する地域資源を活かす活動があること
—美しい景観に配慮したまちづくりや住民による工夫した地域活動、地域特有の工芸品や生活様式を守る取り組みなどを対象とします。

そして、審査は加盟後も定期的(5年ごと)に行われるため、美しい文化を守り続けなければ、加盟資格を剥奪することもあるのです。

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年に一度は、「日本で最も美しい村連合総会」として、全国の村長さんたちが集まって意見交換を行います。

日本最初の美しい村、美瑛町

「日本で最も美しい村」連合最初の加盟村となった美瑛町。その美しい景色を目指して、年間100万人を越える観光客が訪れるのだそう。しかし、自然資源に頼るだけではいけないと浜田町長は話します。

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美瑛を訪れれば、農家さんたちの暮らしによって築かられたたくさんの美しい風景に出会います。

昨今では、中国や韓国、台湾やシンガポールなどをはじめとするアジアからのインバウンドツーリストも増えました。国内でも、今までとは異なる層の方々にも感心を持っていただけるようになりましたね。

しかし、町を美しく保ち、日本人特有のおもてなしの心を持ってお迎えするのは私たちの役目。「また美瑛を訪れたい」と、みなさまに思っていただけるよう、自分たちも磨きをかけないとならないと思います。それこそが、まさに美しい村連合を設立した目的ですから。

大好きな村を後世に残すために集まった日本の村々。「日本で最も美しい村」連合の活動はこれからも続きます。

(Text:柿原優紀)

日本で最も美しい村加盟村をチェック
現在、49の村々が加盟しています!

writer ライターリスト

柿原 優紀

柿原 優紀

柿原優紀(Yuki KAKIHARA)。エディター・プランナー。Glasgow School of Artを経て、京都精華大学芸術学部卒業。いくつかの出版社に勤務後、フリーランスとして活動。2011年10月にtaraxacum companyを設立。旅や食、地域文化、途上国支援を得意分野としてメディアプランニングや執筆を行う。また、「青空の下でウエディングをしよう!」をテーマにしたプロジェクトHappy Outdoor Wedding(H.O.W)も運営中。 taraxacum company http://www.taraxacum.co/ H.O.W http://www.happy-outdoor-wedding.com/ Twitter @yuukiburg

partner パートナーリスト

日本で最も美しい村連合

NPO法人「日本で最も美しい村」連合は、北海道から沖縄まで、全国の小さくても輝くオンリーワンを持つ農山村が、自らの町や村に誇りを持って自立し、将来にわたって美しい地域であり続ける運動をしています。 地域に残る景観や文化を守ることによって観光的な付加価値を高め、地域資源の保護と地域経済の発展に寄与することを目的としています。 ⇒「日本で最も美しい村」連合公式HP Facebookページ

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