ISSUE☆連載 邪道のキャリアデザイン

3 years ago - 2013.08.12

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キーワードは邪道!仕事旅行社・田中翼さんに聞く、これからの時代の働き方って? [邪道のキャリアデザイン]

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(左)飛田さん、(右)田中さん

みなさんは今、本当にやりたい仕事に出会えていますか?

あこがれの職業を体験できるサービス「仕事旅行社」の記事は、1000シェアを超える人気記事に。「嬉しい反面、仕事や働き方に悩んでいる人が多いということかな、とも思いました」というのは、執筆したgreenz.jpライターの飛田恵美子さん。その悩みの先に、新しいサービスや仕事の始め方についてのアイデアも気になった方も多いのではないでしょうか。

この記事をきっかけに、仕事旅行社の旅先の中から、王道ではない、ちょっと変わったキャリアを実現してきた方を紹介していく「邪道のキャリアデザイン」という連載企画が持ち上がりました。自分の夢ややりたいことを形にしている人が、どんな考え方や努力をしているのかを紹介していく仕事旅行社とのパートナーコンテンツです。

今回は第1弾として、「仕事旅行社」代表の田中翼さんと、greenz.jpライターの飛田さんが対談。これからの時代の働き方についてお話を伺うとともに、この連載企画で実現したいことなどをお聞きしました。

時代は変わっているのに、働き方は変わっていない

お店の公用語は、日本手話と書記日本語。「手話&筆談カフェで働く旅」 お店の公用語は、日本手話と書記日本語。「手話&筆談カフェで働く旅」

飛田 振り返ると、私と田中さんとの出会いは2002年の秋くらいでしたね。自由大学の「未来の仕事」という講義で出会って、当時はお互い会社員…。田中さんは金融業界で働いていたんですよね。

田中 はい、金融の会社でした。働き方というか、仕事にモヤモヤしていた時期があって。そんなときに「ソウエクスペリエンス」の西村さんに出会って、自由大学の授業をすすめられて。面白い働き方をしている人がすすめるんだから、面白いだろうと思って自由大学に参加しました。

飛田 私も新卒で入社した会社では、仕事とか働き方について悩むことが多かったです。仕事そのものは楽しかったのですが、業績を上げて上司に効率化の提案をしても、新人が上司に意見を言うのは御法度という雰囲気で。歳の近い先輩たちも、「部下は上司の言うことにはすべてYESと言わなくてはいけない」という哲学を持っていました。

仕事というのはつらいのを我慢すべきもので、長時間働くのは偉いこと、と。でも私は、工夫次第で仕事は楽しく効率良くできると信じていたので、なかなか折り合いがつきませんでした。

仕事旅行Webサイトトップページ 仕事旅行ウェブサイト「見たことない仕事、見に行こう」

田中 まったく同じ境遇ですね。みんな同じように悩んでいるのでしょうか。僕のいた会社でも多くはありませんが「新人は朝早く出社して雑巾がけをしたりするもんだ」と語る先輩が数名いました。

ある時、飲み会で、何かの拍子に上司に「そのやり方で面白いんですか?」と聞いたら、おしぼりを投げつけられて、怒鳴られたりということもありましたよ。僕の言い方も悪かったなとは思いますが、怒ることもないのではないかな…と思ったものです。

でも、他の職場のことを良く知らないから、感覚的にはおかしいと思いつつも、一方で先輩たちの言うことに従うべきなのかも、とも思ってました。

飛田 自分自身が先輩や上司から押さえつけられてきたから、それを我慢するのが仕事だと信じていて、同じことを自分も繰り返しているんでしょうね。

田中 その人たちを信じてやってみるのもいいですが、信じてやったところで、何があるんだろうって。彼らのやり方は、10年、20年と時間が経過したら、その時はやり方がまったく変わってしまうのではと、僕はその時思ったんですね。素直に従って今苦労したところで、後々役に立つのかなって。

飛田 順調に昇進して、同じ会社でずっと働き続けるなら我慢できるかもしれませんが、終身雇用制も崩れ始め、時代は変わっていますよね。それなのに、働き方は昔のまま。そこに歪みを感じます。

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暮らしをテーマにしたツアーも

田中 今の時代、何が正しいとかって、正直分からないですよね。働き方って、答えがないというか。

飛田 先輩や上司の言葉が悔しくて、がむしゃらに仕事をしていたんですが、ある時、寝不足が原因で交通事故に遭ってしまって。1年くらい通院していました。医師からは「仕事は辞めなさい」と言われて悩みましたけど、これが達成できたらやめようという目標を立てて、それで本当に達成できたので、辞めることにしたんです。

入社2年半の時だったので、周囲から「3年は働け」って言われましたけど(苦笑)。理由や状況を話したら納得してもらえましたが、目の前の人の考えや思いを聞くことよりも、「仕事はこうあるべき」という観念が先に来るんだなぁと少し驚きました。そういう、仕事にまつわる正しいかどうか分からない常識ってありますよね。

田中 「3年やらないと仕事は身につかない」ってよく言いますね。ただ、世の中がこれだけめまぐるしく変化していると、その3年やって身につけることって、社会人の基礎力のようなものはあるかもしれませんが、他は今この時のその業界、もっと言うとその会社でしか役に立たないかもしれない。

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聞いて見て味わう体験も。

飛田 先人たちが残してきた知恵から学ぶべき部分もちろんありますが、状況によって何が正しいかって変わると思います。周りを見て、今自分にはこれが必要だと考える力、必要なものを選びとる力が必要なんじゃないかって思うんです。今までのようなエスカレーター式の時代じゃないからこそ、先が見えない時代だからこそ、自分を信じることが大事なのかなって。

田中 信じられますか?(笑)僕は自分を信じきるというのにちょっと苦戦中です。

なぜなら、過去から現在に至る流れの中で、多くの人が「会社人」として働いているのは事実で、それ自体が良いとも悪いとも思っていません。確かに年功序列で上手くいく時代ではないとは思いますが、じゃあその「会社人」という働き方はダメかと言ったらそうではないのです。

いわゆる「会社人」だったら、会社の名前を活かして大きな仕事もしやすいし、会社が倒産しない限りは、明日の収入もある程度確保される。その良さは否定できません。何が正解かは分からないのです。

確かに何が正解か分からないからこそ、自分を信じるしか選択肢が無い。だから結果的に自分を信じるのが大切っていうのは仰る通りかもしれません。

飛田 はい、私も「会社ってもう古いよ、みんな起業しようよ!」という気は全くありません(笑)。ただ、目に見えない枠とか同調圧力に囚われて悩んでいる人は多いと思うので、そういうのを少し取り払ってもいいんじゃないかな、と。

私は取材を通してさまざまな生き方、働き方をしている人と出会えたので、自分が所属している組織の常識がすべてじゃないなって思うことができました。自分が正しいと思ったことを選んで、それを正解にしていく人たちをたくさん見てきたので、それでいいんだ、って思っています。

面白い働き方をしている人も、普通の人だったりする

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田中 いま飛田さんが言ったような、違う常識を見せる、ということを、僕たちは「仕事旅行社」で提供しているんです。社会にあるコミュニティってすごく分断されていますよね。

例えば会社員は会社員、フリーランスはフリーランス、個人事業主は個人事業主みたいに。お互い絡み合うことが殆どない。だから自分なりの考えを持つためにも、横断的に違う常識を見るということは、今すごく必要とされているんじゃないかって。

飛田 今回の連載だと、記事を読んで、こんな働き方もあるんだと興味を持った人は、仕事旅行社さんを通じて実際にその人に会いに行くことができる。それが面白いところですよね。

田中 でも、会ってみたら普通の人だ、って多いんですよね。話を聞いただけだと、こういう人もいるんだ、すごいな、で終わっちゃうこともあるけど、会ってみるっていうのが重要ですよね。一見変わった、面白い働き方をしていても、普通の人だったりすることを、自分自身で体験して欲しいと思っています。会ってみないと分かんないんですよね。

飛田 普通の人がやっているんだとわかると、「じゃあ私でもできるかも」って思えますよね。そういうことって大事だと思います。

田中 そうなんです。自分にもできるって感覚を持ってもらいたいんです。できるって思ってしまえば、じゃあ自分はどうするって、次の一歩が出てきますからね。

飛田 田中さんは、仕事旅行社を立ち上げるときに、周囲から反対されたりしましたか?

田中 そんなことに誰がお金を払うのか?そもそもビジネスとして成り立ってないよって、いまだに言われますよ。でも、しょうがないですよね。やりたいんだもん(笑)。その一言に尽きますね。

会社員時代は会社で、いろんな提案をしていたんですが、なんだかんだ理由をつけては却下されたりして。そうこうしているうちに、他社が同じような内容でサービスを立ち上げて、成功しているのを横目で見たり。悔しいじゃないですか。でも、逆に自信はつきましたね。やってみたらいいんじゃないかって。

やりたいと思ったら、必要だと思ったら、それを自分ごとにしてやるしかないのかなって。やってみてダメだったら、その時に考えればいい。それに、海外留学経験を経て、日本で生きている以上は、飢え死にすることはないだろうって、どこかで思っているんです。

みんなもやってみたら良いのに。

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飛田 失敗して失うものって、本人のプライドくらいですよね。

田中 そうかもしれませんね。そう思うと、みんなもやってみれば良いのにって思いますよね。

飛田 実際に仕事旅行社をはじめてみて、体験者の方からいただいた声で、「やっていて良かったな」と思ったことはありますか?

田中 ありますよ。それこそ、人生変わりましたという声を頂いた時とか。自分自身が変わるきっかけって、価値のあるものですよね。そんなサービスを提供できているんだと思うと嬉しくなってしまいます。

飛田 仕事旅行社を記事にしたときは、いろんな反響がありましたよね。「自分もこういうサービスやりたいと思ってたんだよね」というツイートもありました。

田中 仕事旅行自体は、結構多くの人が想い付くアイデアだと思います。でも、実際に立ち上げる、一歩踏み出す人は多くはない。その声って、やりたいけど、なかなかできていないことへの自分自身への苛立ちなのかもしれませんね。でも、僕にもできるくらいなので、みんなもまず一歩踏み出してみたらいいんじゃないかと思います。

仕事旅行Webサイト「体験職業」一覧ページ 「体験職業」一覧ページにはユニークな仕事がずらり

飛田 私自身の話をすると、本来フリーのライターって、出版社や編プロなどで10年くらい下積みしてからなるのが一般的です。でも、私はライター経験3年ほどでフリーになってしまったし、大学生が地域でフィールドワークを行うゼミのプロモーターをする等、書くこと以外の仕事もしています。「ライターになりたい」というよりは「いいものを紹介したい」という気持ちが強いので王道と外れた働き方をしてきましたが、それが活きることもあって。

いま、東北で復興のためにものづくりを始めた方々を紹介する「東北マニュファクチュール・ストーリー」というサイトの編集をしているのですが、自分も経験している分、プロジェクトの進め方や地域でのコミュニケーションの話題になると、話が弾んでより深い話を引き出せるんです。それまでの経験が意外なところで役立ったりするから、働き方って、決まった型とか正解ってなくて、邪道でもいいんじゃないかと思っています。

田中 経験って大事ですよね。今は様々な情報が世の中に溢れかえっています。だから分かったつもりになりがち。でも、実際に経験してみると、想像していた事と全く違ったなんてことが多々あります。

何が正しいことなのか分からない今だからこそ、失敗してもどうにかなる日本の社会だからこそ、自分の体で経験して自分なりの答えを出すことが必要なのだと思います。そう考えると、何が王道で何が邪道なのかすら怪しいですね。仕事だって、やってみないと分からない。どんな仕事であれ、一度挑戦するということが、全てのスタートなんじゃないかと。まずはちょっとでもやってみることが大切かなと。

飛田 気軽になんでもできる時代だからこそ、自分にできること、やりたいことをあらためて問い直すのは大切なことですね。腑に落ちないままでいると、周りに流されてしまって悩むんじゃないかなと思います。

田中 こうあるべき、という固定概念に囚われて日々を悶々と過ごすよりも、やりたいという思いと、こうあってほしいという希望からまずはやってみる。無茶だと思ってなかなか挑戦出来なかったことのほうが、結果的に意外と上手くいくこともある。そんな気がしますね。

これでいいんだ、って思ってほしい

「ご当時キャラプロデューサーになる旅」犬山さん 「ご当時キャラプロデューサーになる旅」犬山さん

飛田 仕事旅行社でも、自分自身で体験することで、今自分に足りないことや、やりたいことなど見つけてもらえるといいですよね。自分の腑に落ちた働き方をしている人、どんどん紹介していきたいですね。ところで、今回の連載に合う、取材したい人を教えてください。

田中 たくさんいますよ。「ご当時キャラプロデューサーになる旅」で紹介している犬山さんとか。彼はもともと自衛官をやっていたんですが、独学でデザインを学んで、マスコットキャラクターをつくって、着ぐるみをきて地元の商店街を練り歩いていたらしいです(笑)。

そんな中、紆余曲折を経て街の公認キャラクターになって。さらには、ゆるキャラブームの後押しもあって、本まで出版することになりました。現在はゆるキャラのアドバイザーもしているそうです。でも、会ってみると、変わった人と言う訳ではなくて、良い意味で本当に普通の人なんですよ。初対面の時に、腰にゆるキャラのキーホルダーをつけていたというところ以外はね(笑)。

あとは、「枕職人になる旅」で紹介している枕職人の和幸さん。ディズニーランドで働いていたというだけあって、エンターテイナーです。他にも、「フードジャーナリストになる旅」で紹介している、ひたすら好きなB級グルメを食べているフードジャーナリスト、はんつ遠藤さんもいいですね。

彼ら以外にも、週末だけ自宅のアパートで雑貨やさんを営む人。それから、聴覚障がいを持ちながらも手話カフェを運営する人。その仕事ぶり、活動をぜひ紹介したいという方は、たくさんいますね。

「枕職人になる旅」和幸さん 「枕職人になる旅」和幸さん

「フードジャーナリストになる旅」はんつ遠藤さん 「フードジャーナリストになる旅」はんつ遠藤さん

飛田 お会いしてみたい方ばかりです。こういった方たちの働き方や考え方には、きっといろんな気づきがあると思うんです。ただ働き方のコレクションとして眺めるのではなくて、自分はどうする?と考えるきっかけになれたらと思います。常識を取り外して、仕事に向き合っている方を紹介したいなと。こんなやり方もあるんだとか、そんなふうに感じてもらえればと思います。自分のやりたいことをかなえるには、どうしたらいいかって前向きに考えてほしいですね。

田中 彼らはみんな、やりたいことをやって、結婚して子どももいる。不安はつきないとも思いますが、基本的にみなさん自分を信じている。そんな人たちのことをもっと良く知って、自分にもできるのではって思ってほしいんです。

そして、自分自身の何か行動するキッカケにしてもらいたい。読んで、いいねを押しておしまいじゃなくて。何でもいいと思うんです。頭で考え過ぎないで、まずはソーシャルな活動をするでも、ボランティア活動をするのも、もちろん仕事旅行に参加するのも。その人が気になることなら何でも。

周りから見て、わけが分からなくてもいいと思います。そのわけの分からない行動が、そのままあたらしいことにつながるんだと思うんです。


みなさんは、最近、どんなアクションをしましたか?この連載企画の続編で紹介される方たちの働き方も、要チェックです!

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増村 江利子

増村 江利子

greenz シニアエディター/シニアライター 国立音楽大学卒。Web制作、広告制作、編集を経て現在はフリーランスエディター。一児の母。主なテーマは、アート、建築、暮らし、まちづくり。八ヶ岳の麓の賃貸トレーラーハウスで、“小さく暮らす”をモットーに、DIY的暮らしを実践中。 facebook:http://www.facebook.com/e.masumura twitter:https://twitter.com/eriko_n

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仕事旅行社

「本当の旅の発見とは、新しい風景を見ることではなく、新しい目を持つことである。」 by マルセル・プルースト 仕事旅行とは: 旅行に行くような感覚で、憧れの職場を訪問・仕事を体験するサービスです。 その魅力は: ・子供の頃の夢実現、知的好奇心、仕事の情報収集と旅の動機は、人それぞれ。 ・すべての旅をスタッフがあらかじめ体験、丁寧にひとつひとつ手作り。 ・プロの職場や言葉にふれて、あなたの世界観を広げよう。 ・旅先、旅の仲間、人とのつながりが、一生の宝物に。 仕事旅行HP ⇒http://www.shigoto-ryokou.com 仕事旅行社FBページ ⇒https://www.facebook.com/shigoto.ryokou.sha

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