ISSUE 震災復興

3 years ago - 2013.07.11

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スープカレーで被災地に仕事をつくろう!食と職で、東北を支える「たきびカレープロジェクト」

IMG_2273復興支援になればと企画された「たきびカレー」のオリジナルレシピ

2011年3月11日。東日本大震災が発生しました。たくさんの命と生活が奪われたこのとき、カレー屋台の炊き出しや、オリジナルレシピの提供で被災地に仕事つくろう!と関西の若手経営者仲間が支援に動きました。3年目をむかえた今も継続的に活動する「たきびカレー」プロジェクトを紹介します。

被災地に雇用のチャンスを。「たきびカレー」が仕事をつなぐ。

震災が起きて約10日後、あるブログにこんな書き込みが投稿されました。

今回、とにかくフェイズ0。(現地へ屋台車を送り、カレーを提供する)を実施することにしました。カレー屋台を被災地に持ち込むので、現地での協力者が不可欠になります。事前に現地に赴き、今回のプロジェクトの趣旨を伝えて、現地での協力者を募りたいと思います。現地協力者にお願いしたいのは、活動に協力してくれる。または、カレー屋台を預かってくれることです。

たとえば、被災地での自警団や避難所、小さな自治体などにコンタクトが取れれば良いと考えています。ぜひ、現地で協力者してくれそうな人や、団体について、心当たりやアイデアがあれば、教えてください。お願いします。

「たきびカレー」プロジェクトのメンバーの一人、女川大(めがわ・だい)さんは震災当日、仕事で上海に滞在中でした。海外メディアを通して見た震災の現状は距離があっても衝撃が大きく、何か役に立てないかという思いにかられます。そして3日ほどでプロジェクトの草案を企画し、自分の個人ブログだった「TAKIBIのそばで思うこと」にプランを載せました。

それを見た経営者仲間が寄付と協力を申し出て「たきびカレー」プロジェクトが始まったのです。女川さんにプロジェクトの始まりからお話を伺いました。

IMG_2272プロジェクトを起ち上げたメンバーの一人、女川大さん

被害の大きさから復興までには時間がかかると思ったんです。だから現地に何か事業を提供できる支援の仕方はないだろうかと考えました。

私は旅が好きで、インドを放浪したときに出会った南インドのカレーが、日本の汁文化にも近いしゃばしゃばしたカレーですごく肌に合いました。それで趣味でレシピを考えてカレーを作っていたんですね。自分にできることと誰にでも喜んでもらえそうな、事業になりやすものを考えたときにカレーじゃないかと思いました。

と、振り返る女川さん。活動を始めたころは、炊き出しの支援というカタチだった「たきびカレー」は、当初から、継続的な支援と被災地に事業提供し現地に仕事をつくることを目標にしていました。2011年3月15日の「TAKIBIのそばで思うこと」には次のように記されています。

・フェイズ1:2011~2013
『TAKIBIカレー屋台の増殖し、
多くの人に温かいカレーをおなか一杯食べてもらう。』
軽自動車によるTAKIBIカレー屋台(初期?台)で被災地にて活動。
150円で温かいカレーをおなか一杯食べてもらう。
収益で、TAKIBIカレー屋台車両を増産。
運営ノウハウとともに地元の有志へ提供する。

・フェイズ2:2014~2016
『店舗化したTAKIBIカレーで、仲間と働く場を提供する。』
町の復興に合わせて、TAKIBIカレーを屋台形式から店舗形式に移行。
フランチャイズ化を進め、仲間と働く場を提供する。
新しい雇用を生み出し、経済的な自立を支援する。

・フェイズ3:2017~2020
『TAKIBIカレーの仕組み丸ごとを地元へ譲渡する。』
TAKIBIカレー事業を自治体などに譲渡(?)。
復興のシンボルのひとつとして、
『TAKIBIカレー』を育成してもらう。

そして、間もなくメンバーの友人のお父さんが岩手県の山田町で避難していることを知ったメンバーは、屋台カーと300食分の材料を持って1000キロ以上の道を自走。役場の許可をもらいプロジェクトが動きだしました。

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当初の活動は屋台カーを自走しての炊き出しでした。

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はじめに炊き出しに持っていったカレーは、お年寄りや子どもたちには辛すぎ、女川さんたちはレシピの改良に取りかかります。試行錯誤してできあがったのが「胃にもたれない」、「新陳代謝を促進する」など健康を考えたスペシャルスープカレーです。

クミン、ターメリック、ジンジャーを主体に、たくさんの体に良いスパイスを調合しました。私が常連だったバーの仲間たちも協力してくれて、新レシピは大好評。2回目の支援活動では、300食がすぐに完食になりました。

curry_main 健康を考えて何度も試行錯誤の末に完成。飲み仲間のアイデアと想いが結束!

岩手に独立店がオープン。レシピと食材提供で自立支援を。

炊き出し支援を続けてきた「たきびカレー」にとって、2012年の7月1日はプロジェクトが次のステップへ進む、記念すべき日になりました。岩手県山田町の居酒屋『山田駅』でお昼の時間を間借りして「たきびカレー」の販売を開始したのです。

仕事を失い、この居酒屋の店員として働くことになっていた「ノリさん」が販売に名乗りを挙げ、プロジェクトメンバーが毎週末通いながらアドバイスして一緒にカレーを仕込みました。

yamada

プロジェクトとしては、調理の指導と調理器具の提供、それから開店から3ヶ月間は食材を提供しています。その後は、販売事業として継続していけるように話し合いをしながら自立する方向へサポートしています。

価格の設定などもあまり安くすると、かえってもともとその土地にあるお店を圧迫することもありますから、周辺の状況もよく考えるようにはしています。

 
岩手県では、もう1店舗、山田町から40Kmほど離れた宮古に2号店が開店準備中です。こちらのオーナーさんは、明治時代からつづくお菓子屋さんの四代目。宮古銘菓として有名な「元祖すがたのいかせんべい」を製造販売している会社の社長さんです。地元の雇用創造を目指し、奇跡的に損傷が少なかったいかせんべい工場を食堂に改築し「たきびカレー」を提供したいとの相談がありました。

このプロジェクトは「10年やさしく」を掲げて続けています。現地の仕事として軌道に乗るまではまだ時間がかかると思いますし、ようやく1歩前進できたかなという気持ちですね。仕事がなければ仕事がある地域にどんどん活力が移ってしまいます。微力かもしれませんが「たきびカレー」が地域の力を復興することに役立ってくれればと願っています。

report01_img11のコピー

もともとはブログのタイトルだった「TAKIBI」。プロジェクトの発足にあたり「たきびは、明るくあたたかい。たきびは、人が集まり語らう。たきびは、人の心をワクワクさせる。たきびカレーは、そんな存在になりたい」という想いがこめられました。

一人ではできないことも、みんなの力を少しずつ集めれば、きっと10年継続できる力になると、感じさせてくれる言葉です。被災地の「今」と「これから」、「食」と「職」の復興支援ははじまったばかりです。

読んでみよう!
たきびカレー公式ブログ

writer ライターリスト

東 善仁

東 善仁

greenz シニアライター 1976年6月4日 奈良県(都祁村)生まれ、大阪市在住。「weather」としての活動はクリエイティブディレクター、コピーライター。実家の里山と都市を往復しつつ、どちらでも楽しく暮らせるアイデアを考えています。スチールパン奏者見習い。

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