ISSUE エネルギー

3 years ago - 2013.07.09

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回してためる!自然エネルギーの弱点を克服する、次世代エネルギー貯蔵システム「VELKESS」[green power funding]

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全4回のシリーズ「green power funding」では、クラウドファンディングによって生まれた自然エネルギーの普及を支えるプロダクトを紹介する、インターン宮本くんのマイ企画です。今回は【ためる】プロダクト!

自然エネルギーの開発や普及は、この数年の間に目覚ましいスピードで進んでいます。しかしそれと同時に、自然エネルギーには依然として決定的な弱点があるのもまた事実。それは、気候や時間帯によって発電量が左右されてしまうこと。太陽は昼間の間しか顔を出さず、風は常に吹いているわけではないからです。

アメリカの起業家であり発明家の Bill Gray(以下 ビルさん)は、自然エネルギーという名の方程式を解くために必要な最後のピースは “エネルギー貯蔵” である、と考えます。

第2回目の [green power funding] では、ビルさんによる次世代エネルギー貯蔵システム「VELKESS(=VEry Large Kinetic Energy Storage System)」を紹介します!

なぜエネルギー貯蔵?

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ビルさん

なぜエネルギー貯蔵がそれほど大切なのでしょうか? VELKESS開発の理由を、ビルさんはこう語ります。

どうしたら自然エネルギーをもっと簡単に、より多くの人々が使うことができるんだろう、とずっと考えていました。問題は、使いたいときにいつでも使うことができないということです。私にとってその答えは、とてもシンプルなものでした ー エネルギーを貯めるのです。そうすれば必要なときに、いつでも使うことができます。

そのような想いから、「VELKESSプロジェクト」は7年前にスタートしたのでした。

次世代エネルギー貯蔵の技術は、フライホイール

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フライホイール

ビルさんがまず探さなければならなかったのは、環境にやさしく、低コストでエネルギーを貯める技術。エネルギー貯蔵と聞くとバッテリーを連想する方が多いかもしれませんが、ビルさんが目をつけたのはそれとはまったく異なる技術 “フライホイール” でした。

これは、レコードのディスクのように回転運動をする車輪のこと。まずソーラーパネルなどで発電した電気でフライホイールを回し、その後発電機を通して、貯めた運動エネルギーから再び電気をつくることができるのです。

フライホイールという言葉は聞き慣れないかもしれませんが、実は今までにもエネルギー貯蔵の技術として使われていたものでした。しかしビルさんが使うのは、ただのフライホイールではありません。

彼が注目したのは、その素材。従来のフライホイールにはカーボンファイバーという堅い素材が使われていたのに対し、VELKESSは “E-ガラス” というガラス繊維などにも使われる軟らかい素材で作られているのです。

これによりフライホイールをより安全・高効率・低コストのものにすることが可能になりました。費用に対する電気の貯蔵効率は、なんと20倍も上がったのだとか。

エネルギー貯蔵技術を低コストにすることで、個人でも独立してエネルギーを貯めることができるようになるのです。

とビルさん。

各家庭にVELKESSが普及したところを想像してみてください。昼間外出している間に太陽光から得られたエネルギーをVELKESSに貯めて、夜にその貯めたエネルギーで電気をつくることができたら、すてきだと思いませんか?

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昼の間にソーラーパネルからVELKESSにエネルギーを貯めれば

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夜の間にそれを使うことができる!

ちなみにこのプロジェクトのリターンのひとつは、VELKESSのミニプロトタイプ。プロトタイプと言えども、フライホイールがどれだけ回るのかがわかります!

クラウドファンディングの可能性

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ビルさんは米クラウドファンディングサイト「KICKSTARTER」によって$56,162(約550万円。目標金額の104%)の資金調達に成功!この資金を使って、今後さらなる開発を続けます。

次のステップは、現在までにつくった50個のプロトタイプを元に、340kgの実物大のVELKESSをつくること。この規模なら、15kWhの蓄電が可能になるそうです。

これは、企業が非常時の電源として用いる蓄電システムと同じ容量。夏の日中にエアコンを1時間使うのに必要な電力量が約0.5kWhなので(cf.uriba.jp)、家庭の電力も十分まかなえそうですね。

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クラウドファンディングの可能性に非常にワクワクしている、とビルさんは言います。

私のように大学を出ているわけでもなく、政府からのサポートがあるわけでもなく、ベンチャーキャピタルから援助をしてもらっているわけでもない起業家でも、こうして応援してくれる人々から資金を集めることができるんです。

エネルギー分野の技術開発には巨額の資金が必要ですが、クラウドファンディングを使えば個人の力でも夢を現実のものにできるということを、ビルさんは証明してくれました。またこれは同時に、僕たちもファンドという形で個人を応援することができることを意味します。
 
世界中から期待や応援の気持ちを集めるクラウドファンディング。あなたも誰かの夢を応援してみませんか?
 

 
(Text: 宮本裕人)

[via Velkess, KICKSTARTER, Phys.org, gigaom, gizmag]

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writer ライターリスト

宮本 裕人

宮本 裕人

greenz.jp ジュニアライター 1990年、神奈川生まれ。科学者になりたいと思って大学では生物学を勉強しましたが、いつの間にか編集者を目指していました。Always Be Curious. blog: miyamoto radio twitter: @yutomiyamoto

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