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3 years ago - 2013.07.06

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途上国貧困層に教育支援を!READYFOR?で4回目のチャレンジに挑む「五大陸ドラゴン桜」 [クラウドファンディングのその後]

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みなさんは、クラウドファンディングサービスを利用したことはありますか?

次々とウェブサイトが開設され、たくさんのプロジェクトが資金調達に成功するなど、クラウドファンディングが浸透していく一方、「寄付したおカネはどう活かされているの?」とか「資金調達に成功した人たちの、その後が知りたい!」など、いろいろ気になっている方も多いかもしれません。

そこでグリーンズでは、クラウドファンディングで資金調達に成功したプロジェクトの「その後」を追跡してみることにしました。今回は、日本初のクラウドファンディング「READYFOR?」において、過去3回、クラウドファンディングに挑戦、見事、3回とも資金調達に成功。現在4回目に挑戦している「5大陸ドラゴン桜」の税所篤快(さいしょ・あつよし)さんをご紹介します。

バングラデシュではじめた「奇跡の授業」

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アジア最貧国ドラゴン桜

税所さんが最初にREADYFOR?のクラウドファンディングで資金調達に成功したのは、2011年6月23日のことでした。目標金額200,000円を大きく上回り、394,000円(197%)を獲得したのです。

プロジェクトの内容は、バングラデシュの貧困層の高校生に優れた教育を支援するというもの。そのために、「優秀な教師の授業を映像に収めて、最高レベルの授業を見せてあげるといいのでは?」と思いついたのだそうです。

そのアイデアの種は、ご自身の大学受験の成功体験からでした。偏差値28から予備校のEラーニングで早稲田大学に合格。それなら、途上国でも同じことをすれば、貧困層の若者も大学に進めるはず、と考えたわけです。

そして映像教材を携え、現地の大学生とチームを組んで、バングラデシュの農村部の高校生30人を集めて、最高峰のダッカ大学受験に挑戦します。その結果はなんと1人がダッカ大学に、その他の生徒も続々と国立トップ大学に合格したのです。なんと全体の7割の生徒が大学に合格し、現地の新聞に「奇跡の授業はじまる」と掲載されました。

バングラデシュでは自分たちで教室を借り、そこに生徒を集めて、パソコンで受講してもらいます。マヒーンという現地パートナーを中心にスタッフ5人ほどで、自主的に教室を運営しています。

大学の先生が学術的に研究したいということで、去年は東京大学から、今年は京都大学から予算をいただき、財政的なバックアップもしてもらっています。今は、教室も4つに増え、200~300人の生徒に対して、映像授業を提供しているそうです。ちなみにその半分は女性で、バングラデシュの教育界にもインパクトを与えています。

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現在の教科は、英・国・社・会計・マネジメントの5教科です。授業の映像もたまっていて、累計では150時間近くになります。ただ、生徒たちが学ばなければいけない授業時間は1科目20時間ほどで、だいたい週3回、5か月ぐらい続けてもらっています。

教室は40人くらい入れるのですが、時間制の入れ替え式にしています。希望者は500人近くいるのですが、さすがにそこまでは受け入れられないので、その中から300人程度に教えているといった状況ですね。去年の大学進学者は100人程度。プロジェクトを立ち上げた4年前は10人くらいだったので、10倍になったことになりますね。

今振り返ると、READYFOR?の約40万円は、大きかったです。あの資金のおかげで、ダッカ大学合格者や大学進学の結果を出すことができ、東大や京大の先生方の支援を受けられることができたし、ここまで広がりを見せることもなかったでしょう。だから、最初のころの支援者をとても大事にしないといけないなと思っています。

パレスチナ難民キャンプでの壁

2回目のクラウドファンディング挑戦は、翌2012年6月。今回は、ヨルダンのパレスチナ難民キャンプの高校生を、同様の映像授業で支援するというものです。こちらは目標金額500,000円に対して、928,000円(186%)を達成します。

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パレスチナ難民キャンプ版ドラゴン桜

そこでも、伝説的な数学教師・ムハマドサーレ先生に出会います。サーレ先生は、ヨルダンでは有名な数学の巨人で、圧倒的に分かりやすい授業は「歌うような数学」と言われているのだとか。ふだんは一部の富裕層しか授業を受けることができない人気の先生ながら、ご自身が難民キャンプ出身のため、「パレスチナの子どもたちのためならば、おカネなんていらないよ」と協力してくれたのです。

さらに現地のアルバカー女子高等学校の協力で、45名の高校3年生の生徒に実施するとこになりました。ところが、このプロジェクトは2年目にちょっとした困難に出会っています。

ヨルダンの場合は、授業を現地の高校で行ったのですが、この高校から授業の運営フィーを初年度から要求されました。初年度は、実績づくりだと思って運営フィーをお支払いしていたのですが、次年度以降、支払う気はありませんでした。高校側は、やはり運営フィーを要求してきたので、いったん、ヨルダン・プロジェクトは休止しています。

もうひとつ、ヨルダンの場合は、バングラデシュのマヒーンのような素晴らしいパートナーを見つけられなかったことですね。現地での「エンジン」が欠けていました。そのせいで、日本の担当者が帰ってしまい、そこでプロジェクトが止まってしまいました。

イスラエル・ガザ地区での新たな挑戦

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巨大刑務所!?封鎖都市ガザ版ドラゴン桜

3回目の挑戦は、イルラエルの封鎖地区ガザ。2012年9月に目標金額1,000,000円に対して、1,089,000円を達成。今回は、高校生への映像授業ではなく、ガザ地区の子どもたちの多くがその苛酷な環境のため学習障害に陥っているとの現状から、その学習障害に対処できる先生を増やすためのプロジェクトです。

収録する授業にはヨルダン大学の学習障害の第一人者の先生が協力してくれました。さらに、現地パートナーは、ガザの国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)に勤務する大澤小枝さん。国連のバックアップがあったので、プロジェクトは非常に順序だって進められたそうです。

ガザの中に特別支援の先生が17人いて、彼らのミッションは、自分たちのナレッジを普通の先生たちに伝えることなのです。ですから、僕らが収録したヨルダンの先生の授業を、彼らが伝道師となって10~20人のワークショップを開いて、どんどん最新のナレッジとしてシェアしていくんです。今は、彼らがコーディネーターとなって、各地で普通の先生に対してシェアしてくれています。

ただ、僕がやりたかったのは、ヨルダン大学の先生の授業をガザの先生全員の研修に使いたかったのですが、そこまでは、今のところいっていません。しかし、今、早稲田大学の先生の協力を得て、新たな学習障害の映像授業を取り終えて、アラビア語に吹き替えています。この教材は、もっと広く、ガザの先生に見てもらいたいですね。

4回目の挑戦となる舞台はヨーロッパ・ハンガリー

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税所さんは、今、4回目の挑戦の真っ最中。あと2日を残して、見事、目標金額に達しています。

今度は、ハンガリーの最貧層ロマの子どもたちへの教育支援です。ロマは、ヨーロッパでは歴史的に迫害され、第2次世界大戦では、ドイツ・ヒットラーによる大虐殺にもあっています。

今回もエメザさんという素晴らしい小学校の女性校長先生に巡り合うことで、このロマの子どもたちの教育支援の映像授業の収録は順調に進んでいるそうです。

税所さんの「映像授業の技術で貧困地の子どもたちに最適な教育を受ける場を届ける」という熱い情熱は、とどまるところを知らず、教育で世界を変えるチャレンジは続きます!


※Readyfor?では「ジプシー」という言葉を使用しており、この記事でも同じ表現をしていましたが、差別用語にあたるため「ロマ」と表記を修正させていただきました。



(READYFOR? コメント)
今やREADYFOR?の代表プロジェクトにもなっている税所さん率いるe-education、ドラゴン桜プロジェクト。私たちもこのプロジェクトを2年間追ってきて、プロジェクト内容の斬新さもさることながら、税所さんの実行力には圧倒されています。世界中にインパクトを起こそう本気で願い、頑張る姿は人々に勇気を与えると思います。彼の行動をみて、READYFORの他の実行者も自分も頑張ろう!!と思えた人は多かったのではないかと思います。彼の様な世界を変えることにひたむきな人がさらに出てくることを切に願っています。(米良)



(Text:高馬卓史)

高馬卓史(こうま たかし)

東京都新宿区新大久保生まれ。
月刊誌『選択』編集長を経て、フリーランス・ジャーナリストに。一方的な批判記事や後ろ向きな記事に飽き足らず、もっと未来に希望が持てるソーシャルビジネス(ソーシャルデザイン)や、企業の積極的な社会参加であるCSR(企業の社会的責任)、あるいは、環境問題関連を中心に、いくつかの雑誌、書籍で取材・執筆の日々です。

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Readyfor? プロジェクトページ

writer ライターリスト

高馬卓史

高馬卓史

ジャーナリスト。月刊誌『選択』・元編集人。『オルタナ』編集委員。…ソーシャル・デザインを勉強中です。よろしくお願いします♪

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