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3 years ago - 2013.06.14

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パタゴニア × 白木夏子さん・鮫島弘子さん・三原寛子さんと語る「私たちがほしい未来」Vol.3

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(写真すべて:安彦幸枝)

アウトドアウェアブランド「パタゴニア」の女性スタッフさんとandu amet代表の鮫島弘子さん、HASUNA代表の白木夏子さん、そして、南風食堂主宰の三原寛子さんが出かけた女性ばかりの「おしゃべり登山」。

Vol.01では、それぞれの「仕事」や「ものづくり」のお話Vol.02では、「働き方」のお話に。そして、今回も、彼女たちが語り合ったたくさんの言葉をお届けします。

アテンドしていただいたのは、パタゴニア・アルパインクライミング・アンバサダーの谷口けいさんと、1% for the Planetアンバサダーの末吉里花さんです。

「競合」ではなく、「同じ想いを持つ人」

パタゴニアスタッフ(以下パタゴニア) みなさんがそれぞれの活動のフィールドを見つけられたきっかけはVol.1で伺いましたが、起業にはどんな準備があったんですか?

鮫島弘子/andu amet(以下鮫島) 実は私は、起業前に白木さんのもとでHASUNAの立ち上げを手伝っていました。友達から、「こんなジュエリーブランドを立ち上げようとしている人が、力になってくれる人を探しているみたいだよ。どう?」って聞かれたのがきっかけで。

三原寛子/南風食堂(以下三原) 白木さんを手伝ってみようって思ったのはなぜ?

鮫島 彼女の目指していたものが、私が目指したいと思っていたことにもすごく近かったから。応援したい気持ちもあったし、自分の勉強のためにも立ち上げに参加したいと思ったんです。

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話の尽きない夜。宿泊した宿「清泉寮」の暖炉の前で。

白木夏子/HASUNA(以下白木) この話をすると、同じ方向性のビジネスを考える人を受け入れることに抵抗はなかったのかと聞かれることがあるけれど、それはなかった。鮫島さんにはデザイナーやハイブランドでの経験があって、私にとって、鮫島さんがプロボノで手伝ってくれたのは本当に大きなことだった。

だからこそ、鮫島さんが描いていることも応援したかったし、いつも鮫島さんが自身のブランドイメージについて話すのを聞きながら、「早く実際に起業して、夢を追いかけてほしいな」って思っていましたね。

鮫島 でも意外とそういうことを気にされる方は多いよね。仕事の付き合いのなかでも、「競合だから」って言われることがあるけれど、その度に、みんなそれぞれビジョンがあるなら、そんなこと気にしなくていいはずなのにって思うんです。

三原 たしかに。私は食いしん坊だから、素敵なケータリングをする子がいると聞けばすぐにイベントなんかに行っちゃうけどね。同じ想いを持つ人に出会えたり、想いを繋げられるのはうれしいことじゃないですか。自分の考えがあれば、考えが同じ人でも違う人でも、一緒に組んで仕事をしてみることだって新鮮で楽しく感じられるはずだし。

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2日目の朝も軽快に登山を楽しむみなさん。

パタゴニア 自分の考え、ビジョン、つまり何のためにビジネスをしているのかってことですよね。パタゴニアに、そんなビジョンについての代表的なストーリーがあります。コットンをオーガニックに切り替えた時、それを見た各社がオーガニックコットンに注目し始めたんです。その時パタゴニアは、自らの製造方法を企業秘密とするのではなく、逆に積極的に取引先や農家さんを他社に紹介しました。

世間では、競争相手に手の内を教えるなんて信じられないかもしれないのですが、パタゴニア製品に使うオーガニックコットンの量は限られていて、パタゴニアだけが移行してもそれ以上のオーガニックコットンの普及には繋がらない。つまり地球規模で意味のある十分な変化を生むこともできない。だったら、他社にもその方法を共有していく方が意味があるし、需要が増えれば供給も増えて、価格も安定する。だから、苦労して開発したノウハウを公開したり他社の幹部の方々に向けて講演をしたりしています。

結果、世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートやナイキなどがオーガニックコットンを取り入れることになりました。そんな変化を見ていると、わくわくしますよね。

三原 すごい! そんな大手も一緒になってオーガニックコットンを取り入れたら、効果はどんどん大きくなりますね。私は、技術もどんどんシェアしていきたい方なので、料理が楽しめる場や時間をつくるためのスクールをやっていたことも。極端な話、わたしが料理をつくってなくても、みんながおいしくて楽しい場を自分でつくって、それぞれのやり方で楽しんでくれるのが一番だなあと思っていて。

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八ヶ岳中腹に広がる美しい平原で、ひと休み。

鮫島 物をつくることは、あくまでも手段ですものね。

パタゴニア そう。進むべき方向を示す先導者のような立場になっていくことも良いと思いますね。パタゴニアも自分たちが正しいと思うやり方を貫きつつビジネスを成功させて他の会社が真似してくれるような、他社に影響を及ぼしていける存在でありたいと思っています。

小さな工房から社会を変える

鮫島 andu ametは今、本当にスタートアップの時期で、日々ものすごいスピードで多くの選択を迫られる。そんななかで、この方向が本当に正しいのかどうかと不安になることがあります。

例えば、私は良いものづくりを追究していってその結果として「社会にインパクトを与える」ということができればと考えているけれど、より大きな影響を与えるためにもっと大きくスケールアウトしていかなきゃいけないんじゃないかな、とか。

白木 迷っているのは、どんなところ?

鮫島 本当に良いものを現地で作っていくことこそが一番のインパクトを持つはずという自分の確信のもと、今はとにかく品質向上を目指しているけれど、そうすると当然量産はできないし、何千人、何万人もの人々を雇用することはできないんです。

私の原点は大量生産へ疑問を持ち始めたことにあるので、自分ではそれで正しいと信じているけど、周囲から「それではたいしてエシカルじゃない」「ソーシャルインパクトが小さい」なんて言われると、そうか…って悩んでしまう。

パタゴニア その想いは、すごくわかる。規模が小さくても、大きくても。そういう選択のなかで、パタゴニアだって創業当時には間違いをおかしたことがあるんですよ。そして、家族のような社員を解雇するという身を切られるような思いも経験しました。

その失敗からパタゴニアには「スローグロース」という身の丈にあった堅実な成長を目指す考えが生まれたんです。もちろん社会に影響を与えるには企業規模が大きいほうが力はありますが、小さくても社会に波及効果を与えるモデルになることはできるのではないでしょうか。

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山の中腹での休憩に、コーヒーを淹れてくれる谷口さん。

鮫島 そう。私も限られた雇用と生産でも社会を変えるモデルはできると思っているんです。私が良いなと思うのはたとえば、イタリアの家族経営の小さな工房。ファッショニスタたちにも知られている革製品の高級ブランドが、実は本当に小さな工房で製品をつくり続けていたりする。小さいけれど、誰よりも確かな技術を持った職人さんたちが他の工房ではつくれないような良いものを一つひとつ魂を込めてつくっているんです。

私はエチオピアでそういうことをしたいと思うんです。今のエチオピアは、すばらしい素材を持っていながらも、産業が発展していないがために付加価値の低い原料の革の状態での輸出に依存していて、結局産業の発展にそこまで貢献できていない。でも、エチオピアで本当に良いものがつくれるんだって証明することができれば、私は今すぐに大きな工場をつくらなくても、社会の流れを変えることができると思うから。

企業同盟「1% for the Planet」

パタゴニア 他の企業に影響を与える行動は、ものづくり以外でも可能ですよね。2002年に「1% for the Planet」という名の組織を立ち上げたのですが、これは自らの売上げから1%以上を環境の保護や回復に取り組む人たちに寄付することを誓約した企業同盟です。

これもパタゴニアだけが取り組んでも、世界中の活動を支援することはできない。じゃあこれを企業同盟にして効果を向上させようと、さまざまな業種の企業がそれぞれの売上げの1%を寄付できるようにしたんです。加盟企業は、どんどん増えています。

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女性ばかりで語り合った山のなかでの2日間。

三原 そのお金は、どんなことに使われるんですか?

パタゴニア 寄付先は企業自らが決められます。環境団体の活動は、身近な川の環境保全から地球規模のもの、山、海をフィールドにしたものとさまざまありますから、自主的にどの団体に寄付をするかを検討し、その活動の成果を増大させるために支援するんです。

企業にとっては環境団体と一緒に活動していくことができるということも魅力だと思います。寄付の形でありがちなのは、一度寄付が完了するとそれで終わってしまうこと。でも、1% for the Planetでは、企業が環境団体の活動に参加して、自分たちの寄付が意味のある活動に使われているということを知ることができるし、このマークのついた製品、サービスを購入した消費者も活動に間接的に関われます。

鮫島 これから日本でももっともっと広がってほしい活動ですね。

パタゴニア そうですね。直接的にはたくさんの効果をもたらすことができなくても、そうやって変化が生まれていくと良いなって思いますね。たくさんの人と考えをシェアしながら進みたい。それは、きっとみなさんの活動でも同じですよね。同じようなミッションやDNAを抱く人にたくさん出会いたいですね。

白木 ですね。それから、みなさんともまた山に来たい! 会議室とは全然違うこんな話ができるなんて、とても新鮮でした。

鮫島 ほんとに! またパタゴニアさんのウェアを着て山に来て、今度は三原さんに猟をしてもらって、ごはんもつくってもらいたい。

三原 そしたら、鮫島さんに皮をあげるからバッグつくってね。

白木 じゃあ、角や骨は…白木さんにあげてアクセサリーをつくってもらおう!(笑)


1% for the Planet
アンバサダー 末吉里花さん

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「1% for the Planet」は、売り上げの1%を環境保護団体に寄付する企業同盟です。私は2012年からアンバサダーを務め、CSRへの取り組みを検討される中小企業さんも含めたたくさんの企業さんに取り組みを紹介させていただいています。

日本ではまだ少ないですが、海外では加盟企業の商品に1% for the Planetのロゴを見かけることができます。このロゴは、アメリカでは、すでに環境への取り組みにおいての絶対的な信頼を備えたマークになっていますね。そういったロゴを入れられることも加盟企業のメリットだと思います。

売上げの1%というのは、とても大きな寄付額ですが、日本でも50社ほどが加盟。そして、世界では、1000以上の企業が加盟し、認可された3000以上の環境団体への寄付を行っています。

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writer ライターリスト

柿原 優紀

柿原 優紀

柿原優紀(Yuki KAKIHARA)。エディター・プランナー。Glasgow School of Artを経て、京都精華大学芸術学部卒業。いくつかの出版社に勤務後、フリーランスとして活動。2011年10月にtaraxacum companyを設立。旅や食、地域文化、途上国支援を得意分野としてメディアプランニングや執筆を行う。また、「青空の下でウエディングをしよう!」をテーマにしたプロジェクトHappy Outdoor Wedding(H.O.W)も運営中。 taraxacum company http://www.taraxacum.co/ H.O.W http://www.happy-outdoor-wedding.com/ Twitter @yuukiburg

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