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ネパール女性の自立を支援する、ナチュラル化粧品のブランド「Lalitpur」が Coffret Projectから誕生!

Laritpur(ラリトプール)

世界には今でも、親に売られて強制労働を強いられる少女たちがたくさんいます。そうした彼女たちが、自分の人生を自分で選んでいいんだという気持ちを持つことができるようにと、女性の自立を支援するナチュラル化粧品ブランド「Lalitpur(ラリトプール)」を立ち上げた向田麻衣さん。

向田さんは家で眠っているコスメを途上国に届け、現地でメイクのワークショップを行う「Coffret Project(コフレ・プロジェクト)」を展開しています。これまで何度か活動をご紹介してきましたが、今回は新たにコスメブランドを立ち上げることになった経緯を伺いました。

美しくなりたいという女性の気持ちは世界共通

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「コフレ」とはフランス語で宝箱、大切なものをしまっておく小さな箱を意味すると説明してくれた向田さん

世界中どこにいても、美しくなりたいという女性の気持ちは共通のものだと向田さんは言います。そもそも、こうしたネパールの女性たちの支援を始めた一番のきっかけは、現地の女性たちの声だったのだとか。

高校生の頃、ネパールに一ヶ月間滞在してつながりができたのですが、大学卒業後にアジア10カ国を巡るフィールドワークを企画し、女性たちに「何でもできるとしたらどんなことがしたいか?」と聞いてみたところ、教育、食料、雇用創出といった答えではなく「おしゃれをしたい、お化粧をしたい」という答えが多かったんです。とても意外なことでした。

女性として根源的な欲求なのかもしれない。そう感じて、日本の一般の女性たちから化粧品を寄付していただいて現地に持って行ってワークショップをする、という活動をスタートしたんです。

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ネパールで開催したメイクのワークショップ

こうした「Coffret Project」の活動を続けるなかで、まだまだ女性たちが自立できていないことを目の当たりにしたのだそう。

ネパールではまだまだ人身売買の被害にあう女性が多いんです。こうした女性たちを保護する施設を訪問して「Coffret Project」のワークショップを開催したのですが、例えばインドの売春宿に強制労働させられると、1日20人、多い人だと60人の客をとって、精神的に崩壊してしまった女性たちも多くいることが分かったんです。

また、ネパールで今必要なのは“仕事”だと向田さんは言います。

4年の歳月をかけて研究したのですが、やはり女性の自立のために、ネパール現地での仕事づくりは不可欠だと考えました。ネパールの失業率は40%を超えているんです。10人に4人は仕事をしていないということになります。国際機関などの支援援助金とネパールから海外へ出稼ぎに行った人からの送金で、なんとかしのいでいるといった状況なんですね。

そこで、現地の女性たちを雇用し、日本で販売する商品をつくろうと考えたのだそうです。

化粧品はすべてナチュラル&手づくり!

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ネパールの国を象徴するアンソポゴン(つつじ)の花と、家々にある飾り窓がロゴのモチーフに

こうして一年半の準備期間を経て立ち上がったのが、ネパールと日本を繋ぐナチュラル化粧品ブランド「Lalitpur(ラリトプール)」。ブランドネームはネパールの古都の名称で、サンスクリット語で「美の都」を意味するのだそう。

商品はすべてワイルドハーブや岩塩など
ヒマラヤ原産のナチュラルな原料が使用されています。農薬や化学薬品などは一切使用しておらず、日本国内の大手化粧品メーカーで30年以上研究開発を行っていた科学者の方も開発に参加していただいたのだとか。

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左から、Laritpurのフェイシャルソープ、シャンプーバー、マルチバーム、バスソルト

製造は、すべてネパール人女性の手で一つひとつ行われています。 現在、現地では5名の女性と2名のパートタイムスタッフが製造を行ってくれています。またパッケージの飾り紐づくりは、シェルターに暮らす身寄りのない子どもたちに依頼して、手づくりしてくれているんです。

女性たちは初等教育を受ける機会がなかった低所得者層ですが、今では朝の7時に通学して、10時から工場で働くというライフスタイルで、読み書きもできるようになったんですよ。

また、商品パッケージの製造は、人身売買の被害にあった女性たちに委託しています。

彼女たちは、国際NGO団体から保護され、社会復帰するまでの1年半の間、共同生活をしています。その女性たち向けにパッケージの製造を委託して、将来社会に出るための蓄えにしてほしいと考えました。

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ロゴとパッケージデザインには「SIRI SIRI」デザイナーの岡本菜穂さんが参画!

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サイトのブランドストーリーに使われている写真は、写真家の茂木大さんにご協力いただいたそう

ネパールと石巻、両方の女性たちとともに

さらに、日本での販売拠点は宮城県の石巻市と決めたのだそう。

石巻市では子育て中のママをスタッフとして雇用して、配送やコールセンターなどのお仕事をお任せします。本社を石巻に置くことに決めたのは、やはり震災です。震災後、3ヶ月間にわたって物資の支援を行っていました。

その後はネパールで行っていたようなお化粧のワークショップを、石巻を拠点に月に1回から2回のペースで開いてきました。そのときに、女性の方はみんな、心からの笑顔を向けてくださったんです。ネパールも石巻市も、双方の女性たちが、誇りある仕事を持って、彼女たちが自信を持って、自由に生きることができるようにと願いを込めました。

Lalitpurから売り上げの一部を「Coffret Project」の非営利活動に使っていきたいと言う向田さん。

ネパールの女性たちが生活の糧を手に入れることはもちろん、日本の女性たちにもヒマラヤの大自然の恵みや、世界に開かれた視点を提供できればと思っています。そのためにブランディング、商品を徹底して考えました。今後このプロジェクトが成長していく中で、より多くの女性たちに関わっていただきたいと思っています。

また、ボランティアをしたいというビューティシャンの方にたくさんお会いしました。こうした方と現地をつなぐプラットホームにもなっていけたらとも思います。

商品は、先行予約販売としてmotion galleryで発売中。Lalitpurのウェブサイトでは5月末の発売開始を予定しています。「Coffret Project」の今後も要チェックです!