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ドラム缶や水道管がバイオリンに!スラム街のゴミから作った楽器だけで演奏するオーケストラ「Landfill Harmonic」

Orchestra

こちらの一見、古びたトランペット。ちゃんと音は出るの?と不思議ですが、まずはこちらの動画をご覧ください。

そう、これ実は、すべてゴミから作られているんです。ゴミ山を歩く若者の姿と、美しい音色が相反して印象的ですね。「本当にゴミから作ったの?!」と驚いた方も多いのではないでしょうか。

彼らが暮らすのは、南米パラグアイのカテウラ地区、ゴミ埋立地にあるスラムです。毎日ここに大量のゴミが捨てられていきます。スラムの住民はそのゴミを分別し、お金になりそうなものを集めて売ることで生計を立てています。

cateura_slum

ある日、このスラムの住人であるニコラさんが、ゴミ山の中でバイオリンの形をしたものを見つけます。それを地区のリサイクルプログラムで働いていて聖歌隊のディレクターでもあったファヴィオさんに見せたのが全てのはじまりでした。

二人は本物の楽器を買うお金が無かったため、ゴミから楽器を作ることにしました。そして石油が入っていたドラム缶でバイオリンとチェロを、水道管とスプーンからフルートを、輸送用の木枠でギターを作り上げてしまったのです!そのひらめきや創造力、そして作り上げる情熱に脱帽ですね。

music_instrument

その後ファヴィオさんはスラムの子どもたちにその楽器を使って音楽を教え、ゴミから作った楽器だけで演奏するオーケストラ「Landfill Harmonic」を結成することになりました。先ほどの映像でも女の子が「音楽がなかったら私の人生の価値はない」と話していたように、子どもたちが夢や希望が持てるようになった瞬間です。

music

今、この活動は世界に飛び立とうとしています。カテウラと似た境遇にある世界中の町で同じような取り組みを普及させたり、オーケストラのワールドツアーを企画中。さらに映画の制作も決定し、より多くの地域でツアーを行い、映画を完成させるための資金をクラウドファンディングサービスKickstarterで募っています。

世界は私たちにゴミを送る。私たちはそれを音楽にして送ろう。
ーLandfill Harmonic

自分が生まれた境遇や直面している課題に文句を言うことは簡単ですが、きっと文句を言い続けていても何も変わらないのかもしれない。都市から毎日送られてくるゴミから、ファヴィオさんたちは美しい音色を奏でる楽器を世の中に届けました。身のまわりの課題から何を贈ることができるのか、ぜひ考えてみてはいかがでしょうか。

(Text: 中楯知宏)
[via treehunger]