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3 years ago - 2013.04.28

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世界は水素の宝庫!R水素ネットワーク・江原春義さんが語る「自然エネルギーの可能性を広げるR水素」 [イベントレポート]

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こちらの記事でも紹介した国際水素展「FC EXPO2013」は、水素・燃料電池の研究開発や、製造に必要なあらゆる技術、燃料電池システムなどが出展されました。

その一画にある「アカデミックフォーラム」のステージでは、企業や大学などが30分刻みで登場しては、日ごろの研究成果を発表していました。スーツ姿が多くモノトーンに染まったその会場に、青地に白で「H」と大書きしたTシャツ姿で颯爽と現れたのが、グリーンズの共同創設者でもあるNPO法人「R水素ネットワーク」の江原春義代表です。

Tシャツは同NPOのオリジナルで、Hは水素の原子記号を表わしています。東京都市大学 総合研究所の水素エネルギー研究センターで水素エンジンを研究する山根公高准教授(肩書きは当時)が江原代表と一緒に登壇しました。タイトルは「自然エネルギーの利用可能性を広げるR水素」。

各種燃料の単位エネルギー当たりのCO2排出量を比較すると、ガソリンを1としたとき、天然ガスは0.8、ディーゼル(軽油)とメタノールは1、石炭は1.6、そして水素はゼロです。酸性雨や気候変動といった環境問題をこれ以上悪化させないためには、水素でなければダメなんです。(山根さん)

化石資源を追いかけると政治的、社会的な問題が生じ戦争が起こり、核兵器の現代では人類滅亡につながります。再生可能で枯渇しないR(Rnewable)水素にシフトすれば、その危機を回避できるはずです。(江原さん)

水素展に集う企業の多くは、天然ガスなどの有限な資源から取り出した水素を使っていますが、それは持続可能な水素ではありません。江原代表は敢えて水素展で「水素をどうやって作るかが大切です」と発言し、R水素にシフトする必要性を強調したのでした。

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以下、そこで江原代表が熱く語った内容を少し抜粋します。

台所のガスは北極ガスです。多大なエネルギーを使って遠くからやっとこさ日本に運ばれてきています。それに、石油やガスなど炭素と水素の化合物は、燃やすと必ずCO2を発生します。地球の氷の40%が既に溶けていると言われ、温暖化の問題は待ったなしです。

皆さんの中には戦争体験を覚えている方もいらっしゃると思いますが、化石燃料に頼り続けることが他国に貧困や争いをもたらしています。世界残酷物語です。ひとたび国境を超えたらオレたちのビジネスには関係ないというわけにはいきません。人さまに迷惑をかけないことが大事ではないでしょうか。

R水素は、再生可能エネルギーと水の中の水素をマッチングさせたものです。電気は無限にある太陽光や風力などで作ることができますが、自然エネルギーはエネルギー密度が低い上に変動するので、貯蔵で補う必要があります。そこに水素の出番があります。使い切れないエネルギーを多量に貯蔵するには、水素が適しているからです。

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世界は水素の宝庫です。陸の周囲には広大な海があります。川も水道も、水のインフラです。身の回りに豊富にある水を電気分解して水素をつくり、それを貯蔵しておくことは、商売にならないから利権も生みません。近所で電気をつくれるから、電力供給のためのメタボなインフラも要りません。R水素は、誰にでも平等なエネルギーになり得るのです。

水の電気分解も光触媒による水素生成も既に発見されています。しかし、石油産業に毎年200兆円(*)もの補助金が注がれ、ガソリンは飲料水並みのいつわりのコストで手に入るようになってしまっています。(* IMF(国際通貨基金)最新のデータによる)

安価で液体で扱いやすいガソリンに対して、水素はコストが高い上に気体で扱いにくいとされているのです。技術も知恵もそろっているのにR水素が普及していないのは、そのせいではないでしょうか。

山根准教授と江原代表が水素展会場で示したのは、「豊富な自然エネルギーを生かすR水素で世界のエネルギーの全需要を賄える」という可能性でした。しかし、その明るい見通しは、ただ待っていても実現しません。江原代表は、そこに向かって動く個人や団体のパワーを結集するために「R水素ネットワーク」を立ち上げたそうです。

スタッフは皆、本業を別に持つプロボノメンバーで、活動は国内外に広がっています。R水素のホームページFacebookには、世界の先駆例なども紹介されているので、興味のある方はぜひアクセスしてみてください。

(Text:瀬戸内千代)

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瀬戸内千代

瀬戸内千代

greenz シニアライター 東京生まれ。両親の故郷で瀬戸内海に親しみ海洋動物生態学者を志すも理系文系の橋渡しに興味が移り出版業界へ。2007年からフリーランスの環境ライターとして書籍・雑誌、ウェブに執筆している。プロフィール画像は伊豆下田でスケッチしたムラサキクルマナマコ。

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R水素は、水の中にある水素をパートナーにすることで再生可能エネルギーのポテンシャルを高める、持続可能なエネルギーのかたちです。 NPO法人R水素ネットワークの公式ウェブサイトはこちら

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