ISSUE☆おすすめの連載! a Piece of Social Innovation

3 years ago - 2013.04.22

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女子大生が社会課題の解決に挑む!地域の人とアイデアを形にし、未来をつくる「ハナラボ」

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特集「a Piece of Social Innovation」は、日本中の”ソーシャルイノベーションのカケラたち”をご紹介するNPO法人ミラツクとの共同企画です。

周囲の女性がみんな専業主婦になっていく…。出産を機に、それまで積み上げてきたキャリアを捨てて家庭に入ってしまう女性が、みなさんの周りにもいませんか?実際に、出産を機に仕事を辞めてしまう人は6割以上。正社員で仕事を継続する人はさらに少なくなります。辞める理由の多くは、子育てに専念したい、もしくは子育てをしながら仕事を継続する環境がないということ。

社会で活躍できる女性はもっといるはずなのにもったいない。そこで角めぐみさんが立ち上げたのが、「NPO法人ハナラボ」です。

女子大生と考える、地方の未来

ハナラボとは、要約すれば、「社会課題についてのワークショップを通して、女子大生が社会や組織を変革する力を身につけることを目的に、地域のみなさんと一緒に課題を見つけ、解決のアイデアを提案、実施までやってしまおう!」というプロジェクト。つまり、女子大生と地域の二つの課題を、同時に解決しようとする取り組みです。

依頼主は、地域や団体などさまざま。毎回ひとつの社会課題をテーマに、その原因を探り、解決につながるアイデアを、地域の人と一緒に、かたちにしていきます。

例えば、島根県隠岐郡の海士町では、こんな婚活プロジェクトを行いました。

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過疎に悩む、海士町。この町を舞台に、恋が生まれ、やがてこの町に暮らす人を増やしたい…。役場の方からの依頼で始まった婚活プロジェクトでは、「恋札」を制作。恋が生まれるきっかけづくりをつくることができました。

また山梨県北杜市では、「未来シナリオプロジェクト」に取り組んでいます。

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観光資源も農村資源も豊かな北杜市。一方で、高齢者が60%以上で、耕作放棄地や空き家が多く、人口減少が続く地域もあります。2012年3月に1週間の合宿を行い、北杜市の未来シナリオを作成しました。そこで生まれたアイデアを実現するため、一年間東京と北杜市を行ったり来たり。

その結果、地域の高校生と東京の大学生、地域の大人たちが未来について語り合う「ほくとラボ」や、食と職の地産地消をテーマに商品化をしたお弁当の販売、農村ホームステイや修行ツアーなど、町の未来に向けて様々なプロジェクトが生まれました。2年目の今年は、日本の未来を考える年間ワークショップもスタートします。

プロジェクトは、女子大生たちの共感力や発想力を活かしながら、専門家の指導も交えて進んでいきます。現場に足を運んで、考え、そして行動することによって、都市と地方、または人と人をつなぐコミュニティデザインがつくられていくのです。

2013年6月からは、横浜市からの呼びかけでスタートした「ヨコハマハコ入りムスメプロジェクト」もスタート。

港の見える丘公園にある「大佛次郎記念館」舞台に、ハコもの(施設)の活性化に挑むプロジェクトです。ハコもの(施設)と箱入り娘をかけて、「ハコ入りムスメプロジェクト」です。こうした文学館は日本中に点在しますが、その多くは来場者数の減少に悩んでいるんです。立地も建物も悪くない。作家の魅力は現代にも通じる。でも…、ということで、アイデアを生み出して、それをカタチにするところまでやっていきます。

と角さん。施設からは一番遠い存在とも言える女子大生がアイデアを出して、どう施設を地域に開いていくのか。ぜひご覧ください。

社会に出る前に、可能性を広げてほしい

今でこそ日本各地でプロジェクトをおこなっているハナラボですが、はじめは就活応援サイトとしてスタートしました。

「NPO法人ハナラボ」代表の角めぐみさん
NPO法人ハナラボ代表の角めぐみさん

社会に出る前の女子大生にもっと可能性を広げてほしいと考えたんです。学生たちと話をしてみたら、一般職にしようかな、総合職にしようかなと迷っている。びっくりしたんですよ。私が学生だった15年くらい前とまったく同じことを言ってる!今、まだそんな時代なの?って。男女の格差もなく自由に働ける時代になっていると思っていたのに、学生たちの意識や悩みは変わっていなかったんです。

周囲の女性たちがみんな、出産を機に専業主婦になってしまうのは、こうしたところに課題があるんじゃないか、本当にもったいないなと思いました。

それは本人にとってももったいないし、日本社会にとってもすごくもったいないこと。そう考えた角さんは、女子学生のための就活応援サイト「ハナジョブ」を立ち上げます。

まずウェブサイトを自分でつくっちゃったんです。最初は自分で企業に取材に行ったりしていて、そのうちに女子大生も一緒に行くようになって。だんだん女子大生が学生記者となって、自分で取材ができるようになっていきました。

でも、つくったのはいいけど、正直どうしたらいいのか分からなくなってしまって。かかる費用もすべて持ち出しですしね。そんなときに助けてくれたのも、ひとりの女子大生でした。私がこうしたい、ということを汲み取って、彼女がすべてを組み立ててくれたんです。そうして立ち上がったのが「ハナジョブ」です。

ハナジョブでは、“学生と社会人の女子会”というワークショップが始まったのだそう。

そこは、女性同士が本音で話し合う場です。普通、就職のセミナーというと、社会人が少しいて、学生がたくさん。どうしても距離があるんですよね。学生と社会人という垣根を取り払った状態で話す、ということをやりたかったんです。

実際に、何も垣根はないと思うんですよ、学生と社会人って。でも、何か勝手に世の中が垣根をつくってしまっている。そうした垣根を取り除けば、就職活動だって特別なことではなくなるかなと。そもそも働くことって、別に特別なことじゃないですよね(笑)。普通の、延長線上にあるものなんだということ、大人だって学生と同じように悩みながら生きているんだってことを、理解して欲しかったんです。

ハナジョブのワークショップは、大人が主催で学生は参加するだけ、という場ではなく、社会人と学生が一緒につくっていく場。これも学生からの提案で、前に大人しか立っていないとどうしても受け身になってしまうということで、社会人と学生が共同で運営するというスタンスを大事にしているのだとか。

社会人も女子大生も、同じ目線で共同で運営するって意味のあることだと思うんです。学生は、教えてもらうだけというところから一歩、踏み出して欲しいと思いますし、社会人は初心を取り戻すことができたり、自分のやっていることに肯定感を持つことができて、横のつながりもできていく。世代を超えた交流が生まれていくんです。

こうして女子大生と話していくうちに、「何か活動したいけど活動できる場がない。周りの子もみんなそうだ」という意見をたくさん聞いたという角さん。

今これからの時代、価値観が多様化した社会のなかで、何かに直面したときに対応できるチカラが問われると思うんです。みんなそういうチカラを持っているはずなんです。それを活かす場をつくりたいと考えて、「NPO法人ハナラボ」を立ち上げました。

ハナラボとは、ハナジョブ×イノベーションラボを意味しています。その時も、女子大生が社会課題を解決するプロジェクトをやりたいって言ったけど、何から手をつけていいか分かりませんでした。でも、アイデアを出してほしいという団体から声を掛けてくださったんです。こうして、ハナラボがスタートしました。

女子大生と考える、地方の未来


現場に足を運んで、考えることを大切にしている

女子大生と一緒に活動するなかで、彼女たちの潜在能力の高さには気づいていたんです。共感力や発想を広げる力が豊かで、常識がない分、柔軟性も高い(笑)。だから、ひとつの社会課題に対して、アイデアを練り、実行する。その一連のアクションが、就職後のキャリア形成に大きく役に立つのではないかと思ったんです。

また、プロジェクトについては、長いスパンで捉えているのだそう。

よそものから始まった取り組みは、地域に根付くまで5年はかかると言われています。だから、最初は池に小石を投げて波紋が広がるくらいでもいいと思っているんです。最終的には、私たちの活動をきっかけに、1,000個の地域プロジェクトが動いているまちになったらいいなと思っています。

同時に、女子大生たちも、物事を深く追求する力、アイデアをかたちにする力がついていく。彼女たちには、未来は自分で切り開くんだという強い意思を持って、仕事に就いてほしいなと思うんです。

女子大生たちが、その自らの強みを認識できていなければ、社会に出ても宝の持ち腐れになってしまうかもしれない。学生のうちに、行動し、気づくこと。その力はきっといつか、社会や組織を変革する力になるのだと角さんは言います。

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アウトプットは学生基準では済まされない。やりきることで力がついていく

こうした活動は一見華やかに見えるかもしれませんが、実は結構地味なことばかりなんですよね。しかも、アウトプットは学生基準では許されない。いろんな大人たちに、いろんなことを言われながら、心が折れそうになりながらも必死に頑張る。でもそうして“乗り越えることができた”という体験は、自信につながって、いろんなことを乗り越えるチカラの基礎になると思うんです。

共学の学校だと、何かアクションを起こしたとしても、やはり男子がリーダーになりがち。ディスカッションをしても、女子が発想を膨らませても、男子に論理的に何か言われると、そこで発想がストップしてしまったり。でも、女子だけだと、発想を広げるチカラって結構あるんです。もちろん、追い詰めるように、とことんやらないといけませんけどね(笑)。

私は、信じているんです。彼女たちは、女子大生のうちにいろんな経験ができれば、社会に出てから自分の仕事に誇りを持つことができて、いろんな社会課題が自分ごとになって、変革を起こすチカラになれるって。

日本にはイノベーターがいないと言われますが、角さんが女子大生に対して気がついたような「共感力、発想力、柔軟性」はイノベーションに必要な能力。男女に限らず、その力を活かせる社会になれば世の中が少しずつ変わるのかもしれません。「ハナラボ」の今後の活動に注目です。

ハナラボをもっと詳しく知ろう!
ウェブサイト

writer ライターリスト

増村 江利子

増村 江利子

greenz シニアエディター/シニアライター 国立音楽大学卒。Web制作、広告制作、編集を経て現在はフリーランスエディター。一児の母。主なテーマは、アート、建築、暮らし、まちづくり。八ヶ岳の麓の賃貸トレーラーハウスで、“小さく暮らす”をモットーに、DIY的暮らしを実践中。 facebook:http://www.facebook.com/e.masumura twitter:https://twitter.com/eriko_n

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ミラツク

ミラツクは、対話を通じて、異なるセクター、異なる地域、異なるステークホルダーの間に協力を生み出し、より良い社会に向けたイノベーションを生み出すことに取り組むNPOです。 ミラツクが応援するのは、未だあまり知られていない社会を良くする取り組みとそこにいる”人”たちです。1人の人が生み出す未来の可能性を世の中に伝えていくことで、また新しい次の未来の種が生まれる。そんな未来をつくるサイクルを共につくっていければと思います。 ⇒ 特集「a Piece of Social Innovation」ミラツク×グリーンズ対談!Facebookページ

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