ISSUE ☆日本と世界のソーシャルデザイン

3 years ago - 2013.03.03

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「未来キャンプ」でナカムラケンタさん、藤田ゆみさん、三木智有さんに聞いた「くらしのそばにしごとをつくる」ためのキーワードとは?

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熱心にメモをとる参加者のみなさん

「家庭と仕事の両立って大変…」と諦める前に、「くらしのそばにしごとをつくる」ことを考えてみる。そんな「これからの働き方」をテーマに、1月12日(土)・13日(日)の2日間、東京の八王子セミナーハウスで「未来キャンプ2013」という合宿が開催されました。

主催はタウンキッチン、共催は東京にしがわ大学で、多摩信用金庫CESAくにたちと、多摩エリアを拠点に活動するさまざまなステークホルダーががっつりサポートしているかたちです。

参加者は今の仕事に違和感があったり、新しいことに挑戦するフェーズだったり、変化のまっただなかにいる20〜30代の若者を中心とした約50名。プログラムは初日が、インスピレーションを得るためのトークセッション「くらしとしごとの未来を考えるトーク」と、それぞれが話したいテーマを出しあって対話をする「くらしとしごとのワークショップ」。あいだに熱気ムンムンの「オールナイト作戦会議」を挟んで、翌日には「くらしとしごと・プレゼンテーション発表会」で成果を披露し、「振り返り・ネクストステップ」を共有して終了です。

どんな成果が生まれたのかは東京にしがわ大学のレポートにゆずるとして、こちらでは、greenz.jp編集長のYOSHがモデレータを務めた「くらしとしごとの未来を考えるトーク」の様子を共有したいと思います!

greenz.jpにもご登場いただいた3名がゲスト!

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左からナカムラケンタさん、藤田ゆみさん、三木智有さん

当日のゲストは「日本仕事百貨」ナカムラケンタさん、「くらすこと」藤田ゆみさん、「tadaima!」三木智有さんととても魅力的な方々。まずは編集長YOSHのご挨拶から、はじまります。

 
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編集長のYOSHはモデレータを担当

YOSH 自分が何かのイベントに行ってよかったと思えるのは、だいたい”言葉のおみやげ”を得られたときなんです。そこで今回は参加者のみなさまに、ゲストの方々から”言葉のおみやげ”をお届けできればと思っています。

そこではじまったのが「曼荼羅トーク」。「くらしのそばのしごと」をテーマに、ゲストからそれぞれ3つずつ計9つの大切にしているキーワードを持ち寄っていただき、それについて話を進めるというものでした。今回はそのうち3つのキーワードをご紹介します。

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「いい予感を大切にする」

ナカムラさん 僕は「いまここにいること」を基本としています。未来を考えすぎたり、過去にとらわれすぎたりしないように。だからキャリアアップという言葉も苦手なんですよ。「いつあなたはそれで幸せになるんだろう?」という感じがして、なんかいまと未来が断絶しちゃう感じがするんです。

僕自身、10年ぐらい前に就職活動をしていたとき、世間体みたいな外部要因と自分の直感がごちゃごちゃになってしまってすごく悩んだんです。結局はいい予感をする方が自分の本音と近いはずなので、そっちを選ぶ方が個人的にはいいんじゃないかな。いい予感というのは直感的で自分の深いところから出てくるものだし、暮らしと仕事を連続的につなぐことができると思うんです。

YOSH いい予感がする方を選んでよくない結果になったとしても、自分自身と深くつながっていることの方が大事、という感じ?

ナカムラ そうですね、いい予感をする方を選んだ方が少なくとも納得できるし、そのあとの微調整も早い。たとえば、僕自身は建築学科を卒業して、最初は場づくりをしたいと思って建築業界に進んだんですね。建築の現場では敷地や用途が既に決められていて、それを形にするのが仕事なので、もっとプロジェクトの最初の方から関わりたいと思って不動産の会社に勤めたんです。

不動産会社では期待通りプロジェクトの初めの方の仕事に関わらせてもらってました。でもそこは数字がものをいう世界で、ちょっと違うなあと思ってまた悩んで…そのとき週6で大好きなバーに行ってたんですよ。どうしてこんなにバーに通っていたんだろうと思うと、バーテンダーに会いに行ってたんですよね。内装や食事よりも、バーテンダーの人がその場を作っていて、バーテンダーがいい人ならいい場になるし、そこにくる人は活き活きとする。

いい予感って、たとえると目をつぶって太陽の方に歩いていく感覚なんですよ。歩くときは歩くことに集中しているので忘れているんですけど、太陽と違う方向に歩いていると、「あ、違う方に来た」って微調整したり。

YOSH 「目をつぶって太陽の方向に歩いていく」ってよくわかる気がします。

三木さん 中村さんに聞いてみたいのが、あっちの方に光がありそうって思えるときと、全く暗中模索で真っ暗なときがあると思うんです。全く光が見えないときはどうしていますか?

ナカムラ そういうときはきっと、ただ選択肢がないだけなんだと思うんです。僕ならボキャブラリーを増やすことからはじめますね。たとえば小さな子どものほとんどがサッカー選手やお花屋さんになりたいって言うのは、生き方としてあまり職業を知らないからなんです。いろんな選択肢を知って、ボキャブラリーを増やすと、また光が見えてくるように思います。

YOSH 藤田さんは光が見えない時、どうされてますか?

藤田さん 私は本当にフリースタイルなので、やりたいことだけをやるだけですね。今のお店も、近所の40年ぐらいやってるおそば屋さんが「閉店します」と書いてあったのを見つけて、その場で「借りよう!」と決めました。振り返るといい予感に从って動いているなあと思います。

YOSH 予感に祝福されてるというか、流れに気持ちよく乗っていたら、たどり着くべきところにたどり着く感覚なのかもしれませんね。僕が思うのはそういうときって自分のなかに流れができてくるというか、自分を大切にすることから生まれるんじゃないかなと思うんです。次の一手で悩む人と「またきた!」って流れに乗れる人の違いはそこなんじゃないかなって。

ナカムラ そうかもしれませんね。

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「どしどし人に委ねる」

藤田 以前は雑誌の編集の仕事をしていたのですが、壁にぶち当たったときに自分が頑張ればなんとかなるって思う性格だったんです。「くらすこと」を始めて最初のころもそうだったんですけど、だんだん上手くまわらなくなってきて、体を壊したんですね。そのとき初めて、一人でできることなんてたかが知れてると思うようになった。

そこからは、人を信じて任せるようになりました。みんなの得意なことをどんどん任せていったら、一人ではできなかったようなことまで広がっていって。それからは自分も楽になったし、みんなで一緒に「くらすこと」をやっていると思いようになりましたね。

YOSH なるほど。一方で、任せ方もすごい難しいと思うんです。オーケストラの指揮者じゃないけど、50人が演奏していたらちゃんと聞き分けて、どのタイミングでふるかみたいな。人にお願いする時に大切にしていることってありますか?

藤田 どういうことが得意かはもちろん大事なんですけど、スタッフを募集するときは、仕事ができることよりも、その人と一緒に仕事がしたいかどうかを大切にしていますね。なのでパソコンが全然できなくても大丈夫で、心が優れているかどうかを見るようにしています。

YOSH 心が優れている、っていいですね。ナカムラケンタさんも、ひとりで書いていた頃からチームでコンテンツをつくるようになってきていますよね。ナカムラさんがつくってきた仕事百貨らしさをちゃんと伝えて、同じような心を動かす文章になっているのがすごいなあと。そのあたりはどうですか?

ナカムラ 僕も元々は自分でやっちゃうタイプなんですよ。その方が早いし。だけどそれは相手の能力が足りないのではなくて、僕の伝える能力がないからぱぱっとやっちゃおうみたいなことなんですよね。やっぱり、二人とか三人でやることは単純な足し算ではないし、予想外のいい結果がでることもある。だからどんどんお願いしています。あまり「こうしろああしろ」と言わないで、「こう思うんだけど、どう思う?」と言うようにしています。誰かにお願いできるようになるには、とにかくその人を信じられるかどうかなんでしょうね。

ひとつ思ったんですけど、力でぐっと引き寄せても人は寄ってこないですよね。従わせることは難しいので、基本的には共感してもらう方が大事なのかなって。藤田さんはいままでいろんなプロジェクトをやってらっしゃるじゃないですか。あれはどう始まったものなんですか?

藤田 写真館のプロジェクトはカメラマンの友達と一緒にやりました。雑誌だと写真が消費されるような気がするけど、家族写真だと飾ってもらえる。だから、そういう仕事をしてみたいという提案があったので、なら一緒にやろうって。

ナカムラ そういう提案があったときに、OKなときとそうじゃないときってありますか?

藤田 もちろんあります。コンセプトや大事にしているものがあるので、そこがぶれてなければどんなことをやってもいいと思っています。

YOSH 会社だと「やるべきこと」が明確に決まってて、人手が足りないときは命令をしてでもそれを達成しなくてはいけない。一方でマイプロジェクトのような思いが先になると、それぞれの「やりたいこと」をベースに予期せぬ方向へ広がっていく。このあたりはまだ教科書になりそうな本もあまりない、新しい領域なのかもしれません。

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「家の風通しを良くする」

三木 普段から「家の風通しを良くする」ことを意識して生活しています。きっかけは、tadaima!を始めるにあたって100人の家庭をインタビューしてまわったことでした。悩みのある家庭に共通していたのが、家庭という社会の最小単位の中のことだからこそ、外に出せない何かがたまってしまうということだったんです。

そこでうちでは仲のいい友達や友達夫婦・家族・お子さんもみんなが遊びに来てくれるような環境をつくることにしました。家に人を入れるようになると家の中って綺麗になるんですよね。やっぱり家を綺麗にしている人たちって、人を招くのが好きだったりする。だからインテリアを整えてから招くのではなくて、人を招くんだという意味で家の中を綺麗にできるし、そういう環境づくりを今後も大事にしていきたいなと思っています。

YOSH 三木さんは今日もご夫婦でいらしているんですけど、夫婦単位で同じ現場にいられることってすごくいいなと。”ワークショップデート”というか、仕事デートというか(笑)。一泊二日の合宿とかでもそうですが、すごく変化するじゃないですか。でも帰った後にこんな変化があったんだよって話しても、そのプロセスを共有できていないとすごく唐突に思えることもある。なので僕もなるべく夫婦で現場に行くことを大切にしています。三木さんご夫婦は仕事のテーマも近いので、”夫婦のあり方”としても、ロールモデルになる気がします。

三木 そうですね。自分たちがこれから子どもを育てていくとしたら、今やっていることはすごく直接的に暮らしと事業がつながります。やっぱり日常の会話でもそういうテーマが多くなりますし、自分たちがやっていきたいことが話によく出てくるんです。仕事だけじゃなくてもいいんですけど、共通の何かをもって話ができるということはすごく大事なことですよね。

YOSH 家族というのは本当にプライベートなものですし、考え方によってはあまり話さなくてもわかりあえるのを美徳とする向きもありますよね。でも、そろそろ家族のなかでももっと対話が増えてもいいような気がします。藤田さんはそのあたりどうですか?

藤田 本当は話さなくてもわかる状態に憧れていたんですけど、やっぱり具体的に自分や子どもがどういうことを考えているかをすりあわせていくのは大切なのかなって思ってます。ゴミ捨て誰がやるかとか細かいことから、自分たちはどういうことを大事にしていきたいかというようなことまで定期的に話すようにしています。自分の考えもどんどん変わっていきますしね。

YOSH ちなみに我が家では、けんかをしたらその日中に収束させるというルールがあって、寝る前に対話して4時ぐらいまで話し込むこともあるんです(笑)「けんかじゃない、これは対話だ」と。でもそれが日々結束を強めていると思います。これもうちの話なので、みなさんに真似してねと言うわけではありませんが。それぞれの家族にあった、「我が家の基本」のようなものがあれば面白いかなと。

ナカムラ 「風通しをよくする」っていい表現ですよね。僕はしゃべらなくても楽しめるタイプなんですけど、今日の話を聞いて少し考えてみたいなって思いました。

YOSH 僕の「しゃべらないとわからない」という原体験は、やっぱり話さないと自分に都合のいいように捉えてしまって失敗したことがあったからなんですよね。お互い話さないでいて、「こうだよね?」っていうと、「全然そんなこと思ってないよ」と言われたことがあったんです。

ナカムラ 仕事でもそんな感じがするよね。一緒に働いている人たちほど、やっぱり言葉を交わすということが大切なんだなあと思います。

 
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トークの最後には感想をシェアする時間も

(トーク終わり)

自分の直感を信じること、家族や仲間と対話をすることの大切さを改めて感じたあっというまの2時間。トークセッション後、参加者の一人はこんなことを語ってくれました。

「対話をすることの大切さ」が強く印象に残りました。

普段は仕事と家庭のバランスがすごく難しいなと思っているんですけど、もしかしたら家内は一戸建てが欲しいと考えている可能性もある。でもそれは自分がいいように捉えているだけで、もしかしたら働いて一戸建てを持つのはいいけど、もっと二人の時間を大切にしたいと思っていて違うものを求めている可能性もある。

やっぱり対話しないとわからないので、ちゃんと話さないといけないなと思いました。家とか車とかの話じゃなくて、もっと大切な根本的なことを話さないといけないかもしれないと思いましたね。

いい予感を大切にしながら、自分一人で抱え込まずにどしどし人に委ねる。そして家では対話をすることで、風通しをよくする。「くらしのそばのしごと」は一見大変な道のりに見えるかもしれませんが、自分らしい自分のあり方を見つけていくワクワクするプロセスだと思います。

このトークに出てきたキーワードのどれかひとつでも、みなさんの働き方に参考になると幸いです。

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「くらすこと」 / 「tadaima!」

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