ISSUE まちづくり

3 years ago - 2013.02.04

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友人や仲間と住む!シェアするという豊かな暮らしを提案する「北海道エコビレッジ推進プロジェクト」

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突然ですが、家族以外の友人や仲間と一緒に住んだことはありますか?

最近では、シェアハウスやコワーキングなど、ひとりではなく、みんなと一緒にシェアすることで生まれる楽しさやアイデアなどが注目され、そんな暮らし方、働き方を耳にする機会も増えてきました。

また、ネット環境が整ってさえいればどこででも仕事が出来る人をはじめ、都会を離れて自然の環境に近い中で野菜などを作りながら暮らす人も多くなりました。

そんな中、コミュニティの中で農業などを行い、友人や仲間と楽しさをシェアするエコビレッジという住まい方が注目されています。環境負荷を考慮した持続可能な暮らしを志向するエコビレッジ。その取り組みが、今、北海道でも始まっています。

顔の見える暮らしの豊かさ

空気の澄んだ北海道。仲間とする田植えの楽しさに笑いがこぼれる。
空気の澄んだ北海道。仲間とする田植えの楽しさに笑いがこぼれる。

コミュニティを作って集まって住むと言えば、以前greenz.jpでも「里山長屋」や「グリーンズ森の家」をご紹介してきました。都心の集合住宅などに住んでいると、お隣さんの顔もわからないということも珍しくありませんが、顔の見える繋がりのある暮らしは、日々の生活に豊かさが生まれます。

NPO法人「北海道エコビレッジ推進プロジェクト」を立ち上げ、現在、札幌市近郊の町・余市町でエコビレッジの建設に取り組む坂本純科さんも、そうした暮らしに魅せられたひとり。

ヨーロッパのエコビレッジに行ったときのこと。そこでは食べ物とエネルギーが自給されていて、学校もあり、さらに福祉の環境まで整っているのを見たんです。まさに“ビレッジ”でした。人間が幸せになれる条件が揃っていて、こんな場所を自分たちの手で作るということができたら最高だなって思ったんです。

田舎での農的な暮らしという観点で語られることも多いエコビレッジですが、個人の農的な暮らしへの欲求を満たすというだけでなく、いくつもの社会問題を解決する手段にもなっていたことに感銘を受けたと言います。

雨水の利用も環境に負荷をかけない暮らしの智恵のひとつ。

雨水の利用も環境に負荷をかけない暮らしの智恵のひとつ。

建築、農、エネルギーを学ぶ体験塾を開催

4年間の構想を経て、今年から来年にかけていよいよ本格的に取り掛かるという北海道でのエコビレッジの建設ですが、これまでは、「自給的な暮らし」の実践体験と環境に配慮したライフスタイルの為の知恵・技術を学ぶエコビレッジライフ体験塾を開催してきました。

講師には、里山長屋の山田貴宏さんや、年間120種以上もの種を自家採種する畑の講師 坂本一雄さんなどを招き、建築から農、エネルギーまで、エコビレッジを構成する要素を総合的に学びます。

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みんなで作ったものをみんなで食べる。シンプルながらも、だからこそ豊かなひととき。

体験塾の中でも盛り上がるのはやっぱりお米の収穫祭やぶどう祭り。自分たちで手をかけてきた想いのこもった作物を収穫して、体を動かしたあとはみんなで食事をともにします。

食べものを作ること、一緒に食べることが人を繋ぐ力って、本当にすごいと感じます。高齢者の施設で芋を植える作業をしたときにもおじいちゃんに子どもたちがよく懐くのを見て、こうやって一気に交流が進むのは、やっぱり食べもの作るという行為の持つ力なんだと思いました。

「自分で作るようになって、旬でないものを食べたいと思わなくなった。頭で考えるのでなく、体が欲しがらなくなる」と坂本さん。

「自分で作るようになって、旬ではないものを食べたいと思わなくなった。頭で考えるのでなく、体が欲しがらなくなる」と坂本さん。

北海道でエコビレッジを作る理由

世代を超えて人が繋がると、それが文化を繋ぐきっかけにもなっていきます。また、夏に開催しているワークキャンプには学生が遠く東京からも参加しているそう。

東京の学生は、ここなら大きい声で叫んでも大丈夫とか簡単な農作業でも面白いとか、ちょっとしたことでも感動してくれるんですよね。でも、プログラム終了後に一番印象に残ったことは?と聞いたら、「涼しかったこと」って。(笑)

確かに、関東など夏に熱い地域に比べ、北海道は過ごしやすいのも事実。涼しさに魅力を感じて移住する人も昔から多くいますが、坂本さんはなぜ北海道でのエコビレッジを構想したのでしょうか。

最初は自分の出身でもある関東も含めて検討したのですが、土地の広さなどのスケールを考えた場合に、食とエネルギーの自給が現実的なのは北海道だろうと思ったんです。

また、北海道は新しいことをする人に寛大。普通なら農村地域によそ者が入ってきて“エコビレッジを作りたい”なんて言ってもなかなか難しいでしょうから。

そう話す通り今では協力者にも恵まれ、北海道らしい広い土地で、田んぼ、畑、果樹の栽培も行なっています。体験塾やイベントに参加する人も増え、コミュニティの輪も年々広がりを見せています。

「完全自給自足は目指さない」地域に根ざしたやわらかなエコの形

北海道エコビレッジ推進プロジェクト代表の坂本純科さん。
北海道エコビレッジ推進プロジェクト代表の坂本純科さん

繋がりやコミュニティを大切にし、食べ物やエネルギーも作る。海外には500人規模の大きなエコビレッジもあり、その中で循環する生活が実際に行われているところもあります。

私はもっと小さい規模のものを作って、既存の村や地域全体が“エコアップ”するというのが理想的かなと思っています。完全自給自足だと周りから孤立してしまうし、地域の人と一緒にやるというのが日本の農山村には合っているでしょうね。自分のところだけでは作れない食べ物の交換も楽しいですし。

日本の風土や気質に合ったオリジナルなやり方を、実践とともに楽しく模索している様子が伝わってきます。

また、震災以降、省エネやエコの観点から、ソーラー発電マンションや省エネ家電などがあらためて注目されましたが、そうしたハード系ではなく、繋がりを大切にしたソフト系からのアプローチがあるということにも改めて考えさせられます。お金がある人だけができるエコではなく、地域に根ざしたやわらかなエコの形。

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社会課題と個人のライフスタイルの問題、その両方を解決する

坂本さんがはじめにエコビレッジに興味を持ったきっかけについて伺ってみました。

大学生のときに寮に住んでいたり、その後も友人と一緒に住んだりと、共同生活が経済的ですごく楽しかったというポジティブな思いがまずありました。

その後、市役所で環境の仕事に就いたのですが、たとえば公園の中だけ100%バリアフリーにしても、そうした人はまず公園に来ることが出来ない。部分的に最適なものを作っても人は幸せになれないんです。エコビレッジなら、福祉も、食も、エネルギーの問題にだってまとめて取り組むことが出来る。

社会課題と個人のライフスタイルの問題、その両方を解決するエコビレッジの取り組みは、今後さらに注目されることになるかもしれません。そうしたことをふまえて、エコビレッジに住むということを自分ごととして捉えた場合、どのような関わり方が出来るのでしょうか。

夏の暑いとき、場所を問わずに仕事出来る人が2拠点居住的な使い方をする。または、家賃、光熱費、食費を抑えて農的な暮らしをしながら、それ以外の収入をフリーで稼ぐ人がいてもいい。こういうふうに、暮らし方や働き方の選択肢が増えたら今よりもっと楽しいなって思うんです。

エコビレッジという自由な発想は、“暮らす”ということを必ずしも決まりきった考え方で選ばなくてもいい、という勇気を与えてくれます。日々の暮らしの中に、お金では買えない“シェアする喜び”を求める人が増えてきた今、シェアハウスやエコビレッジに住む選択をする人がさらに増えていくのかもしれません。北海道エコビレッジ推進プロジェクトの取り組みに、暮らし方の未来を感じました。

北海道エコビレッジ推進プロジェクトでは、果樹や畑の農園管理やグリーンツーリズムを企画・運営してくれる仲間を募集しています。活動支援金の支給もあります。詳しくはこちらをご覧ください。

writer ライターリスト

磯木 淳寛

磯木 淳寛

greenz シニアライター 食と地域を耕す編集者/プランニングディレクター 自然と共生する価値観と地域の可能性をテーマに取材・執筆・企画。2013年から現場に身を投じるべく、海と里山のある千葉県いすみ市に在住。地域の営みを観察し未来をつくる書き手を増やすための合宿型ライター・イン・レジデンス「ローカルライト-地域の物語を編む4日間」を主宰し、全国で開催中。※参加者の原稿はgreenz.jpをはじめ、いくつかの媒体でも掲載されています(開催地域も常時募集中)。石巻市復興まちづくり情報交流館コンテンツ編集デスク。 ライターとしての執筆媒体は、ソトコト、Be-Pal、NORAH、季刊自然栽培ほか。季刊自然栽培「見えないものを見る」連載中。 グリーンズではスクールのファシリテーターも努めています。 【Facebook】磯木淳寛 【WEB】SLOW MODERN FOOD ■『“地方で書いて暮らす”を学ぶ4日間』FBページ ■ライター・イン・レジデンス『ローカルライト』

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