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1 year ago - 2013.01.26

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女性の社会進出について真剣に討論。主催したのは、スタッフが全員男性の「グランマ」 [イベントレポート]

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昨年12月12日、東京・赤坂にあるミッドタウン・タワーのd-laboコミュニケーションスペースで「女性の社会進出?を、私たちなりに再定義!」というイベントが開催されました。

イベントの主催は株式会社グランマという小さなベンチャー会社です。グランマを構成するスタッフは全員が男性。なぜそのような男性スタッフばかりの会社が「女性の社会進出」なんてテーマのイベントを開催したのでしょうか。グランマの取り組みを軸に、当日のイベントの様子をお届けします!


グランマの活動については、以前「インドを拠点に奮闘する、世界的に有名な起業家・ムルガナンサムさん。ニックネームは“生理用ナプキンを身につけた男”…!?」という記事でちょっぴりご紹介させていただいたことがあります。

インドの社会起業家ムルガナンサンさム

インドの社会起業家ムルガナンサムさん

グランマのメンバーはただいま、インドの社会起業家ムルガナンサムさんとともに、フィリピンのミンドロ島を舞台に、そこに暮らす女性たちへ生理用ナプキンを届けるプロジェクトに着手しています。

男性ばかりの会社だから、女性の知恵が借りたい!

フィリピンの女性のナプキン使用率は現在おおよそ30%ほどなのだそう。「もっと衛生的に過ごせる環境を多くの女性に届けたい──」ムルガナンサムさんとグランマのメンバーは、そんな想いを共有しながらこの新しいプロジェクトに挑戦しています。

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イベント会場には「女性の社会進出」に関心のある女性たちがたくさん集まりました。その女性たちを前に、ファシリテーターをつとめたグランマの熊坂惟さんはプロジェクトの意義とイベントの趣旨について説明してくれました。

ナプキンが普及していないことで、勉強や仕事をする機会を失っている女性が世界にはたくさんいます。衛生的なナプキンを広めることは、女性の社会進出を促すことになる、と僕たちは考えました。

でも、ふと気がついたのです。僕たちみたいな男性スタッフばかりの会社に、女性の何がわかるのだろうか…と。そこで、女性のみなさんにお知恵を貸していただこうと思って、今回のイベントを開催させていただくことにしました

グランマは小さな会社ですが、取り柄はこんなふうに自分たちの挑戦をオープンにすることで、まわりの人たちの共感を呼びこむところでしょう。スタッフ全員に「社会をよくしたい!」という強い熱意があり、「グランマが困っているなら一肌ぬごうじゃないか!」とまわりの人たちもついつい前のめりになってしまう、なんてことが度々起こります。

「女性の社会進出」に関心を持つ女性たちが集まりました

「女性の社会進出」に関心を持つ女性たちが集まりました

たとえば、このプロジェクトを推進するために、クラウド・ファンディングの「READYFOR?」で資金集めに挑戦したところ、目標金額の200万円に対して、集まったお金はなんと300万円以上。255人もの支援者を集めて、プロジェクトの推進力を手にすることになりました。今回のイベントにたくさんの参加者が集まったのも、「グランマがやることだから!」という背景があるような印象を受けました。

女性の社会進出を豪華メンバーが語り合う

また、この日のイベントには、豪華なゲストも集結。
大和総研 調査本部 主席研究員であり、NPO法人・社会的責任投資フォーラム代表理事・事務局長も務める河口真理子さんをはじめ、株式会社アバンティの代表取締役の渡邊智恵子さん、サントリーパブリシティサービス株式会社の取締役でありナレッジ開発部長も務める大村未菜さん、ダイバーシティの推進を軸にワールドワイドに活躍しているパク スックチャさん、ボストン・コンサルティング・グループ退職後にNPO法人クロスフィールズを創設したことで注目を集める松島由佳さん。「女性の社会進出」を語るうえで、かなり重要なメンバーが顔を揃えました。

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イベントではゲストの5名を中心になって「女性が置かれている現状について」「女性の社会進出を阻んでいるものとは」「女性の社会進出が意味することとは?」など、さまざまな議論が活発に交わされました。

世界135ヵ国のなかで日本の順位は98位……

河口さんは、グローバルな見地から、ダボス会議に提出されたレポート「ジェンダー・ギャップ・インデックス」についてこんな話をしてくれました。

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「ジェンダー・ギャップ・インデックス」では、世界135ヵ国の男女間格差を調べているのですが、日本は何位だと思いますか?答えは総合で98位なんですね(※2011年度のランキング)。また、アンケートを取ると、学生時代は70%の女性が男女間格差を感じていなかったのに、社会に出るとその割合が30%にまで減ってしまいます。大学を卒業して社会人になっただけで、どうしてこんな違いがでてきてしまうのでしょうか?

メンバーの中で若手代表といったようすの松島さんも、

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同世代に結婚や出産する人が増えて、子どもを預ける保育園についてや育児によるキャリアの中断について、といったことが身近な話題になりました。社会システムだけが問題ではないと思いますが、改善すべきところもあると感じています。なにをどう変えればよいのか。そんなことを考えることがあります。

と、身近なところから感じられる問題意識を話してくれました。

いまの社会システムと戦うことが社会進出じゃない

会社や政治といった領域はとくに男性目線のシステムで動いているところが大きく、女性の社会進出というテーマを掲げざるを得ない状況を招いているように感じられました。しかし、そんな状況に関して大村さんは、こんな話をしてくれました。

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たとえば、大企業で部長や課長になっている女性の割合はとても少ないものです。でも、そこで男性に戦いを挑むことが女性の社会進出ではないと思うんですね。いまの制度の中で立ち向かっていくのではなく、よりよいシステムを提案して、実践していくことが必要なんじゃないかと感じています。

さらに、パクさんは、

ダイバーシティを研究している私の立場からすると、そもそも人がふたり以上集まれば、そこには異なる個性の共生というテーマが生まれるものなんです。女性が、男性が、という視点ではなく、幅広い視点での共生を考えていくことが重要なのではないでしょうか。

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というまた新たな視点の提供を。
女性の社会進出というテーマに向けて、幅広い、奥深いアプローチが必要であることだけは、はっきりとみなの共通認識として広がりました。

渡邊さんは、

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今日、ここに集まったみなさんは、これから夢や希望を持って生きていかれるのだと思います。ただ、そのときに、自分の命がなんのために授かったのかを考えてほしいです。人には4つの命があります。ひとつは宿命、ひとつは運命、ひとつは使命、ひとつは天命です。一人ひとりの真剣な生き方が、これからの社会をつくっていくことを覚えておいてください。

半年後、もう一度、このテーマでイベントを開きます!

ゲストトークの後には、参加者の質問コーナーなども設けられました。また、ファシリテーターの熊坂さんによる「今日、数は少ないですが男性の参加者もちらほら。ここにいる男性は全員が“女性の社会進出”についてこれから真剣に考えて、普及させていく任務を背負うのだろうと思いますので、要望をどんどん出してくださいね」というあおりによって、参加者同士の意見交換も活発に。女性たちからの鋭い質問に、汗をかきかき返答する男性参加者の様子に会場が盛り上がりました。

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最後に、グランマの代表である本村拓人さんがこのイベントの次なる展開を紹介しました。

今日は聡明なみなさんからさまざまなご意見をいただいて、とても参考になりました。女性の社会進出を真剣に考えたとき、やはりそれはとても難しいテーマで、もしかしたら僕たちはフィリピンの女性に生理用ナプキンを届けるというプロジェクト自体も見直したほうがいいのかもしれないとも考えました。本日のイベントで、なにか答えが見つかったとは思っていません。

そこで、半年後と、まだ先の話ではあるのですが、僕らがフィリピンである程度活動をしたあとに、もう一度、この「女性の社会進出」というテーマでイベントを開きたいと思っています。そこでまた、問題意識などが共有できればうれしいです。この「女性の社会進出」をテーマにしたイベントはこれからも継続的に行い、日本でも議論の場を広げていきたいと思っています。

また、フィリピンでもこういったイベントを主催してくつもりです。ゆくゆくは、日本、そしてフィリピンの二ヵ国をまたにかけながら、女性の社会進出を切り口に、両国を議論で結んでいければいいなと思っています。今日は本当にどうもありがとうございました!

●syuugou

女性の社会進出とひと言で言ってみても、問題は多岐にわかり、切り口も多様なことがわかりました。まずはそれが共有できたことだけでも、大きな収穫があったと言えるのかも。イベントが2度3度と開催され、男性の参加者もどんどん増えていけば、「ジェンダー・ギャップ・インデックス」の評価も、少しずつ上がっていくことでしょう。そんな気持ちを共有できたイベントでした。

1月31日(木)にも対話の場を開催

writer ライターリスト

井上 晶夫

フリーランスのエディター&ライター。編集プロダクションや出版社を経てフリーランスとして活動開始。企業コンテンツや雑誌、ウェブの記事などを手がける。今、テーマとしているのは“対話”。

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