震災から1年後の一日を描いた「Japan in a day」など、今年の東京国際映画祭はドキュメンタリーに注目!

『Japan In A Day』 © 2012 FUJI TELEVISION NETWORK, INC., JAPAN IN A DAY FILMS LTD.

『Japan In A Day』 © 2012 FUJI TELEVISION NETWORK, INC., JAPAN IN A DAY FILMS LTD.

今年で25回目を迎える東京国際映画祭。「有料試写会」などと揶揄されたのも今は昔、昨年コンペティション部門サクラグランプリを受賞した『最強のふたり』はその後、世界各地でヒットし、日本でもヒットするなど「映画を発掘する」という映画祭の役割を果たすようになってきています。

今年も10月20日から始まるこの映画祭、今年は注目のドキュメンタリー作品も多くラインナップされているので、そのあたりを中心にgreenz.jp的な見所をご紹介します!

まずは、特別オープニング作品として上映される『JAPAN IN A DAY』に注目。この作品は巨匠リドリー・スコット率いるスコット・フリーが、世界中の一般の人々からある一日の動画を募集し、その動画を編集して制作した『LIFE IN A DAY』の日本版として、フジテレビと協力して作った作品です。

今年の3月11日の映像を世界中から広く募集、世界12カ国から集まった300時間もの映像から「ある1日」を構成した物語です。東日本大震災からちょうど1年後のその日を、世界中の人達はどんな思いで過ごしたのでしょう。

この作品については東北大学 青葉山キャンパスと六本木ヒルズをつないでパネルディスカッションを行う上映企画も行われる予定(19日まで参加者募集中)で、震災について考える大きな機会になるのではないかと思います。

『南の島の大統領―沈みゆくモルディヴ』 &copyl2011 AfterImage Public Media

『南の島の大統領―沈みゆくモルディヴ』 ©l2011 AfterImage Public Media

そして、以前からレッドカーペットではなくグリーンカーペットを行うなど、環境面にも力を入れている東京国際映画祭。今年も環境系の映画を集めた「natural TIFF」部門で8作品が上映されます。

この中での注目は温暖化によって沈みゆく国モルディヴの若き大統領モハメド・ナシードを追ったドキュメンタリー『南の島の大統領―沈みゆくモルディヴ』です。長く独裁政治が続いたモルディヴでようやく実現した民主的な選挙で選ばれた大統領でもある彼を通して、環境問題だけでなく、国際社会が抱えるさまざまな政治的な問題が見えてきます。

『フラッシュバック・メモリーズ』 ©SPACE SHOWER NETWORKS.inc

『フラッシュバック・メモリーズ』 ©SPACE SHOWER NETWORKS.inc

コンペティション部門では『トーキョードリフター』などの松江哲明監督が、事故で高次脳機能障害を負ったディジュリドゥ奏者 のGOMAさんを追った3Dドキュメンタリー『フラッシュバックメモリーズ 3D』に注目です。ドキュメンタリーで3Dという目新しさだけでなく、GOMAさんの症状の一つである「フラッシュバック」を映画で表現する事によって、変化する人と人との関わり方や社会のあり方をアーティスティックに表現している点も非常に興味深い作品です。

©ballooner

『サンタクロースをつかまえて』 ©ballooner

毎回、日本映画の新たな才能を発掘している日本映画・ある視点部門では『サンタクロースをつかまえて』という作品をピックアップ。この作品は被災地仙台が迎えた震災後はじめてのクリスマスを仙台出身の岩淵弘樹監督がを映し出したドキュメンタリーです。震災から9ヵ月後のクリスマスの日を仙台の人たちはどのような思いで過ごしたのか、震災を扱ったドキュメンタリーであっても深刻になりすぎず、心があたたまる瞬間を味わえるはずです。

©2012 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

『インポッシブル』 ©2012 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

さて、個人的に毎年楽しみにしているWORLD CINEMA部門には今年も面白そうな作品が目白押しですが、どうしても震災や津波に意識が行ってしまう中で注目せざるを得ない作品が『インポッシブル』です。この作品は2004年のスマトラ沖地震で巨大津波に遭遇したスペイン人一家の体験をナオミ・ワッツとユアン・マクレガー主演で描いたヒューマンドラマ。ドキュメンタリーではないですが、スペイン人一家の実際の経験をもとにしたドラマで、生々しい津波の映像は今見るのは非常にきつく、万人のオススメできるわけではありませんが、壮絶な経験の中でこそ見えてくることを学べる貴重な機会にはなるはずです。でも本当に感受性の強い人は観ないほうがいいと思います。

最後に、greenz.jp読者向けのちょっとマニアックな関連企画として、27日に行われる「Green Energy Festa in TIFF」をご紹介。こちらは資源エネルギー庁が主体となって行う再生可能エネルギー普及のためのイベントということで、「どうなんだろう?」という気も少ししますが、ショートフィルムを通じて再生可能エネルギーを紹介しようというなか、基調講演では「秘密結社鷹の爪による解説アニメ」が使われるんだとか。また、パネルディスカッションには映画監督の行定勲さんが参加。いったいどんな話が展開されるのか興味津々です。

greenz.jpでもいろいろな映画を紹介していますが、紹介しきれない素晴らしい映画も世の中には無数にあるわけです。特に映画祭のように数多くの映画が一度に上映される場では、思わぬ「いい映画」に出会うことが多く、そこから新しい発見をしたり、これからの人生のヒントを得たりすることが起きることがままあります。

今回紹介した映画は上映される作品のほんの一部、公式に上映されるだけでも109作品にも及ぶプログラムを見て、ピンと来る作品があったらぜひ観に行ってみてください。その映画とはもう二度と出会えないかもしれないのですから。

東京国際映画祭で映画を見よう!