12週間で社会を変えるアイデアを形にする「BREAKER」のデザイン教育プログラム

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これからデザインを学ぶと聴いたら、どんなことを想像しますか?

グラフィックデザインですか?プロダクトデザインですか?

ニューヨークのブルックリンに本拠地がある「BREAKER」は、社会を変えるという「変化」のデザインを学ぶ教育&起業家育成プログラムです。

このBREAKERのミッションは、”Redefining Education. Creating Entrepreneurs. Designing Change.”(教育を再定義し、起業家を生み、変化をデザインする)。

プログラムの期間は12週間。様々な分野から集まってきた18歳から24歳の若者15人が、プロフェッショナル(プロジェクトビジョナリーと呼ばれます)のサポートを得ながら地域や世界で課題になっているテーマに挑みます。

最前線の組織やプロジェクトに関わるビジョナリーたちとともに、課題解決のデザインプロセスと起業ビジネスを学びながら、アイデアを実際のビジネスに変えていく力を身につけていくのです。

リアルなプロジェクトに取り組む

breaker
ウェブサイト http://www.projectbreaker.org/

2011年の夏にパイロットプロジェクトとして始まり、現在3期目が進行中のBREAKERの特徴は、リアルに課題解決プロジェクトに取り組んでいるところです。

プログラムは、学生のアイデアコンペではなく、実際にビジネスとして成り立たせることを意識して設計されています。これまで取り組んできたテーマは「本の未来」、「都市型小規模農業」、「市民参加のテクノロジー(現在進行中)」です。

サポートやアドバイザリーとして入っているビジョナリーたちの顔ぶれも豪華です。昨年夏に行われた「本の未来」プロジェクトでは、Google Creative LabのTom Uglow氏や、アル・ゴア氏の「私たちの選択(Our Choce)」の電子書籍の製作も手掛けているMelcher MediaのMelcher氏がビジョナリーとして参画しました。

今年1月〜4月に行われた「都市型小規模農業」プロジェクトでは、Greening the getto(ゲットーを緑化しよう)のTEDトークでも知られる、Majora Carterのグループが参画しています。

5月から現在進行中の市民参加のテクノロジープロジェクトでは、Local ProjectsのJake BartonやAvaaz.orgの共同設立者である、JEREMY HEIMANSなどがビジョナリーとして参画しています。

プロセスでありプロダクトでもあるBREAKER

BREAKERの設立者である、ジュリエット・ラモンターニュさんは、TED x NYEDのトークの中で

いろんな人から、BREAKERはプロセスなのか?プロダクトなのか?と聴かれることがあります。それは、本当に、どちらでもあります。

と語っています。

プロダクトというゴールを意識しているので、課題の設定も明確です。本の未来プロジェクトでは、リテラシー(識字)と貧困の明らかなつながりを意識し、中学校の年代のリテラシー向上を目指したサービスづくりが課題でした。

このプロジェクトで生まれたアイデアが、MoBoというサービスと、Unboundというサービスアイデアです。12週間のプロジェクトが終わった後も、このアイデアを本当にビジネスにするために引き続き取り組んでいるチームメンバーもいるそうです。

都市型農業プロジェクトでは、コミュニティガーデンや地域でのオーガニック農業に取り組む人を増やすためのプロダクトやサービスづくりが課題でした。このプロジェクトは、Kickstarterでも出資を募り、Farm Blocksというサービスアイデアを生み出しました。

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Some rights reserved by Breaker Project / 農業プロジェクトの様子

現在進行中の市民参加のテクノロジープロジェクトでは、地域コミュニティの参加や熟議を深めるためのアイデアを人間中心デザインでつくることが課題になっています。Twitterでも進行状況を発信しています。

プロジェクトベースの学びとデザイン思考、そして社会的起業をうまくブレンドした教育プログラムが、BREAKERです。アイデアをだし合うだけではなく、現実に地域や世界で課題となっているテーマに、本気で取り組むことほど、参加メンバーの意欲をかきたてるものはないでしょう。

先ほど紹介したTED x NYEDのトークの最後に、ジュリエット・ラモンターニュさんはこう言って、プレゼンテーションを締めくくりました。

すべての現場に合う方法などありません。BREAKERは、ひとつのオルタナティブな学びのモデルにすぎません。私は、他にも多くの、本当に多くのプログラムが出てくることを願っています。