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「一人でも多くの人に、国境を超えさせたい!」自分たちだけのオリジナルツアーを作る「trippiece」[マイプロSHOWCASE]

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バックパックを担いでの一人旅、リゾート地への家族旅行、または仕事で行く研修旅行…。旅の形は数あれど、やはり格別なのは気の合う仲間と旅先で思い切り遊ぶこと。そんな「旅」の魅力を多くの人に味わってもらうために生まれたのが「trippiece」です。

一人でも多くの人がボーダーを超えれば、その分世界は平和になるんです。

そう語るのは代表の石田言行(いしだ・いあん)さん。彼の原動力となっているのは、子供の頃にお祖母さんから教えられた「ある言葉」。その言葉とは一体なんなのでしょう。そしてその言葉に秘められた思いとは?

活動の源…国境を超えた祖母

「trippiece」は、石田さんが大学3年の時に立ち上げた株式会社。ユーザーがFacebook上で実現したい旅を提案し、共感した仲間とともにツアーを立ち上げられるサービスを提供しています。企画されている旅の内容は実に様々。観光、サーフィン、ダイビングからラオスで象に乗る旅まで多岐に及んでいます。

国境って、揺るがしようのない境界だと思うんです。だから多くの人にその向こう側に行ってもらいたい。

国籍が違っても、人と人って直接会えば仲良くなれるんですよね。誰だって、気に食わない人もいるでしょうけれども(笑)、それはあくまでも個人の話で国境は関係ありません。そういうことって、国境を超えることで実感することができます。

だから一人でも多くの人に国境を超えてもらいたい。それによって世の中を少しでも平和にしていきたい。trippieceはそういうことを目指した活動なんです。

国籍という枠を超えたふれあいが平和をもたらす。そんな石田さんの考えが生まれた背景には、ある一人の人物がいました。それは石田さんのお祖母さん。お祖母さんは、アメリカ人と日本人のハーフである男性と結婚し、広島で被曝したという稀有な経歴の持ち主です。

原爆で身近な人を大勢失い、自ら被曝しながらも、原爆を落とした国民の血を色濃く引く男性と夫婦で在り続けたお祖母さん。石田さんは、その存在に大きな影響を受けていると語ります。

もし祖母が原爆を理由にアメリカ人とのハーフである祖父と結婚しなかったとしたら、私は生まれてません。私がここにいるということそのものが、祖母が国境を超えたからこそなんですよね。

石田さんの中にもわずかながら流れるアメリカ人の血。それはかけがえのないアイデンティティであり、誇りであり、そしてtrippieceの活動を続ける指針でもあるのです。

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渋谷にあるオフィスにて。閑静な住宅街にあり、内部は驚きの広さ。いわく「掘り出し物の物件」だったとか。

ビジネスマン学生の結論

石田さんは今も現役の大学生ですが就職活動はしていません。trippieceの活動に専念していく予定です。普通の就職をせず、自らの信念に基づいた生き方を選んだのには、かつて学んだある「教訓」があるためでした。

大学入学前、好奇心から様々なビジネスを手がけてたという石田さん。ウェブビジネスや音楽イベントの企画・運営などを手がけ、一時はかなりの収入を得るまでになっていたそうです。ですが石田さんはそれを「あまり誇れる過去ではないですね」と苦笑いで語ります。

確かにいろいろなビジネスに手を出しました。この頃からイベントを運営していたのも良い経験ではありますが、いま思うとわけも分からずにやってましたからね(苦笑)。この時に学んだのが「お金というのは人を動かすモチベーションとはなり得ない」、ということです。

お金ではなくなにかそれ以上にやりたいこと。それが自分にとって何なのかと考えた時に行き着いたのが、祖母に言われた「人を人として見なさい」という言葉だったんです。

「人を人として見なさい」。国籍や肩書きといった偏見にとらわれることなく、ありのままのその人自身に向かいあう。これはお祖母さんが自らの人生から学び、石田さんに伝えた言葉でした。石田さんが国境という枠を超えて人と人がつながる活動へと携わるようになっていったのは、この言葉があったからなのです。

学生NPO「うのあんいっち」設立

最初に石田さんが携わったのは、学生NPO「うのあんいっち」でした。主な活動は途上国の子供たちに写真を撮って送ってもらい、リアルな現地の様子を知らせてもらうというものです。

当初は海外で活動する団体に依頼し、企業に提供してもらった使い捨てカメラを現地に持参してもらっていましたが、「現像代がかかる」という理由から次第にデジタルカメラにシフトしていきます。

随時開催していた学生向けの関連イベントは次第に規模を拡大。まだTwitterは使われ始めた時期だったため、mixiや大学の掲示板、ちらし配りといった告知を通じ、やがて800人もの参加者が集まる大イベントへと成長していきます。

このイベントでは旅行会社HISのエコツーリズムと提携。イベントに刺激を受けた参加者が、スムーズに海外へと渡航できるような体制を用意しておいたのだそうです。それは多くの人に国境の外に興味を持ってもらい、実際に旅立ってもらいたい、という石田さんのアイディアによるものでした。

これがきっかけで何組か海外に出かけたと聞いてます。エコツアーを使った人もいましたし個人旅行の人もいたそうです。こうした活動を通じて、イベントを成功させるためにいかにして人の興味を惹きつけるかということが身についていきましたね。

こうして、うのあんいっちの幹部として充実した日々を過ごす石田さんですが、うのあんいっちはあくまでも学生NPO。いずれ後進に道を譲らなくてはいけません。そのため石田さんは大学3年生の夏で引退を決意します。

その時に思い立ったのがバングラデシュ旅行。ただの旅行にするのはつまらないと、当時2000人のフォロワーがいたというTwitterで呼びかけてみると、「一緒に行きたい」と、多くの反響があったのです。そこで石田さんはツアーを組んで、仲間とともにバングラデシュへと旅立ちます。この経験がtrippieceの設立へとつながっていきます。

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高所恐怖症のスカイダイビング

旅の魅力って、五感をフルに使う体験ってとこですよね。例えば普段飲んでいるお茶だって、外国で飲めば違う味に感じられるでしょう。こうした体験を共有した仲間とは特別な絆が生まれますし、共感できる仲間ができる。エコツアーでもなんでも良いんです。現地の人と仲良くなって、そこから新しい活動が生まれるかも知れません。こうしたことを全て含めた旅の魅力を皆で共有したい、というのがtrippieceを始めた理由です。

trippieceの主な活動は、ユーザー達が思いおもいの旅を提案し、仲間を見つける場を提供するというもの。現在はユーザー達が安心して参加できるようにとの理由から、実名登録制のFacebook上で展開しています。そこで提案される旅には「スカイダイビングツアー」なんてのも。

スカイダイビングなんて、誰が行くんだろうって思ったんですよ。私自身、高所恐怖症ですからね(笑)。そしたら企画者が「じゃあ15人集まったらイアンさんも来てくださいよ」って言うので、私も勢いで「いいよ」って答えたんです。そしたら驚いたことに50人も集まるという非常にまずい事態になってしまいまして(苦笑)。

50名という大所帯となったスカイダイビングツアーは、3グループに別れて行くことに決定。航空券もホテルもスカイダイビングの業者も参加者たちで話し合い、自分たちで決めたそうです。もちろん、石田さんもスカイダイビングツアーに参加する予定。うかつにOKしたことをいまだに悔やんでいるようで、「実は当日、雨が降ったりして中止にならないかな、なんて祈ってるんですよね」と、冗談交じりに語っていました。

自分のアイディアに共感してくれる人がこんなにいる!そういう体験ができるのも、trippieceでオリジナルのツアーを企画する楽しみの一つでしょう。

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進化し続ける「永遠のβ版」

石田さんが考える今後の課題。それはtrippieceのプラットフォームをより完成へと近づけることです。参加者たちが自由にツアーを組める場として、現在のあり方はまだまだ未完成なのだそうです。

現時点ではβ版のさらに前のα版という位置づけです。参加者が自由にツアーを組み、帰って来られるようになった時点でβ版。とはいえ、その時にはまた新しいことが見えてくるでしょうし、それに合わせて常に進化し続けていくつもりです。ですから、完成形というのはおそらくないでしょうね。かの大手SNSではないですが、「永遠のβ版」というのがふさわしいんじゃないかと思ってます。

進化し続けるプラットフォームを通じて、石田さんが願うのはやはり「一人でも多くの人に国境を超えてもらうこと」。trippieceでは、仲間を募って集まった人数に応じてツアーを企画できる、参加者先行型のツアーを組むことができます。これだと参加人数がはっきりするので、旅行代理店が参加者を募るタイプのツアーに比べて旅費をぐっと抑えられるのです。その上、かなり条件を絞って参加者を募ることもできるのも、利点の一つ。

例えば、幼ないお子さんがいる家族がツアーに参加しようとしても、つい他の参加者に気兼ねしてしまったりしますよね。そういう時は、子連れ限定のツアーを組めば良いんです。お互いに子供がいれば気兼ねせずに済みますし、ちょっとした時にフォローしあうことだってできますから。そういう風に、限られた共通点でつながった仲間って、帰って来たあとでも連絡をとり合ったりすることが多いんです。

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ボーダーを超えた先も活性化させられる仕組みづくりへ

人がボーダーを超えたその先の場所。石田さんはtrippieceの活動を、旅人だけでなく旅先の活性化にもつなげていきたいと考えています。

例えばツアー先で仕事を失っている人たちが、観光客相手のガイドのスキルを習得させられればどうでしょう。旅人にとっても、現地の人にとっても心強い存在になるに違いありません。また離島や過疎化の進む地域など、活性化のために旅行者を呼び込みたい土地の人達にツアーを組んでもらうことだってできます。

旅人が出ていく仕組みと、受け入れていく仕組みを構築する。そして国境を超えた人と人のつながりを作り、なおかつ双方を活性化させていく。そんな遠大な目標を掲げているからこそ、trippieceは「永遠のβ版」なのでしょう。

Facebookの限定グループでは随時、ツアー企画と参加者を募集中。目移りするほどにたくさんの、見たこともないツアーが提案されているので、ぜひ一度のぞいてみては?

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