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エシカル発祥の地から日本のブランドが誕生!新エシカルブランド「INHEELS」の二人が語る、本場のエシカルファッションとは?

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Who Said Ethical is Not Sexy?(エシカルがセクシーじゃない、なんててどこの誰が言ったの?)」と掲げ、本日、ローンチパーティを行う新進エシカルブランド「INHEELS(インヒールズ)」。

エシカル発祥の地・ロンドンで修行を重ねた大山多恵子さんと岡田有加さんによるクール&セクシーなエシカルブランドです。

岡田さんが渡英から立ち上げの現在まで更新しているブログ「YUKA@エシカルファッション」での奮闘ぶりを見ていた人も、中にはいらっしゃるのではないでしょうか?エシカルファッションブランドを立ち上げるまでの悩みやぶつかった壁も赤裸々に書かれているので、ぜひチェックしてみてください!

さて、今回はお二人に、エシカルファッション発祥の地・ロンドンならではのエシカルファッション事情を聞いてみました。ロンドンで二人が感じたエシカルファッションとは、いったいどんなものだったのでしょうか?

完璧ではなくても、ベターな選択を

伊藤 岡田さんはイギリスで、People TreeEnvironmental Justice Foundation(以下、EJF)といったエシカルブランドで働いておられましたが、その中での印象的な学びは何でしたか?

岡田さん(以下、敬称略) People Treeでは欧州全域での卸業務、EJFではTシャツプロジェクトのマネジメントを担当していました。エシカルであることは付加価値にはなるけれど、それだけでは絶対にブランドとしてやっていけないということです。

ビジネスとして成功させるために一番大事なのはデザイン。次に価格、フィット、そして最後にエシカルであるということなんです。実際、日々の業務を行う中では、エシカルブランドであるということはほぼ感じず、カスタマーサービスや販売促進等、一般的なブランドと同じ業務を行っていました。

もちろん、生産者の話などをオフィスで聞くと、「そうだ、私たちはこんなに意義のあることをやっているんだ!」と感じていましたけど。

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(左)岡田有加さん、(右)大山多恵子さん

伊藤 Ethical Fashion Forum(※)のトレーニングプログラムにお二人で参加されたそうですね。同プログラムには世界中のエシカルファッションスタートアップが集まるようですが、このプログラムではどんなことを学ぶのでしょうか?

岡田 エシカルファッションで既にビジネスをしている方々や各分野の専門家による素材の調達、セールス、マーケティング、法律、財務、資金調達等に関する講習を受けたり、参加者どうしのディスカッションをしたりします。

エシカルファッションは実際に、社会的にも環境的にも万々歳のものなのか?といえば、そうでもない。プログラムを通じて、「完璧なものなんてない」ということを感じましたね。

例えばオーガニックコットンも、オーガニックでない畑からオーガニックに移行した場合、最初の数年間は栽培のために大量の水を使うため、きれいな水が十分にない場所では難しいのです。また、その頃私たちが注目していたバンブー(竹)素材も、素材自体は環境負荷が低くても繊維に加工する段階では化学的な処理を施すので、思っていたほどエコなものではない…。

そうした事実を知った時は、目からうろこが落ちる思いでした。とはいえ、大量の農薬を使って育てた非・オーガニックのコットンや、石油由来のポリエステルなどに比べれば、それらは格段にエコ。完璧ではなくても、かなりベターな選択と言えます。

※Ethical Fashion Forumとは、エシカルファッションに携わるサプライヤー、ブランド、小売、メディアのビジネス的成長をサポートする団体。イギリス国内外に幅広いネットワークを有し、エシカルファッションシーンの興隆を図る。

ロンドンでの「エシカル」

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伊藤 ロンドンのエシカルシーンは今どうなっているのでしょう?

大山さん(以下、敬称略) 今はちょっと小康期といったところじゃないでしょうか。2005年頃から一時ブームになって、今は少し落ち着いたところ。

岡田 だから、一から全て説明する必要はない程度にはみんな知っています。エシカルと言ってピンと来なかったら、オーガニックとかフェアトレードって言えば、すぐ理解してくれます。

大山 スーパーにもオーガニックないしフェアトレードの食材だけのコーナーがあって、なぜオーガニックなのか、フェアトレードなのか?ということが書かれてある。日常的に考えるきっかけがあるのだと思います。でも、それはロンドンだからなのかもしれない。地方のほうへ行けば、また違うのかも。

伊藤 ファッションでいうとどうでしょう?

岡田 ロンドンファッションウィーク(LFW)中に、エシカルブランドを集めたThe Good Fashion Showというファッションショーが開催され、行ってきました。正直な印象は、まだまだ伸びる余地がある…というところじゃないでしょうか。

大山 ロンドンでさえ、まだまだ「競争」が足りない。エシカルというだけでメディアなどでも取り上げられるから、洗練されていないものも多々あります。もちろん、中にはエシカルという枠を抜けだし、ファッションのメインストリームでファッション性に注力して健闘しているブランドも多々ありますよ。

岡田 私たちも、メインストリームで戦わなければいけないと思っています。

伊藤 エシカルなファッションビジネスってどういうことなのでしょう?お二人の経験から紹介してもらえますか?

大山 エシカルっていろんな定義があるけれど、日本でも地域に密着して地域の技術と雇用を守りながら生産する企業・ブランドがたくさんあります。地域の生産者と消費者を結ぶ活動なので、エシカルと公言しないだけで、十分エシカルだと思います。私たちはそれらの点をグローバルにつなぐという感じです。

岡田 透明性ということも一つエシカルの重要な定義だと思うのですが、私たちも、生産者を公表するかどうかというところで議論しました。公表すれば真似されるリスクは大きくなりますが、生産者を公表しなかったら何がエシカルなの?と。実際に生産者に確認をとる人・企業もあるんですよ。

大山 真似されたら真似されたでそれは大きく捉えると社会的にプラスになりますよね。私たちが提携する良質な生産者にオーダーが増えることのほうが大事!

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買うときにちょっと立ち止まる習慣を持つ

伊藤 イギリスと比較して、日本のファッションシーンを見ていかがでしょう? どんな違いを感じますか?

岡田 雑誌やメディアの流行をプッシュするパワーが強いと感じましたね。「これを着たらクール!」「誰それの真似をしたらかわいくなれる!」と宣伝する力が強い。一度流行るととにかく大勢の人がその波に乗る感じがしました。

大山 ロンドンにはいろんな人がいて、アメリカに比べても人種が多様。白人の方に似合うものが必ずしも黒人の方に似合うわけではないですし、髪の質も人種によって違います。流行っているものが必ずしも自分に似合うわけじゃない、人の真似をすればかわいくなれるわけではない、というのをみんな肌感覚で分かっているんだと思います。あまりにも、多様な人種がいるから。

岡田 そういった意味では、日本の女性のファッションに掛けるパワーってすごい。髪を染めて、つけまつげをつけて、元からどんどん離れていく…(笑)。でも、そうでもしないと差別化できないっていうのがあるかもしれません。何もしなければ、一律、「日本人の典型的なルックス」になってしまうからなのかも。

ただ、自分のスタイルを持って流行に流されない、というのも一つのエシカルファッションのかたち。服の寿命ってほつれや毛玉などの物理的な要因よりも、「飽きたから」「もうはやりじゃないから」という感情的な要因のほうが大きい。

私たちのブランドが目指したいのは、買うときにちょっと立ち止まる習慣を持ってもらうことなんですよ。本当にそれは自分の好みに合うものか?ずっと長く着たいと思うものか?安いものを買うのでも、なぜ、これがこんなに安いのか?とか。ちょっと立ち止まって考えると、世界は本当につながっているということを感じますよ。

(対談ここまで)

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