ISSUE インクルーシブ

4 years ago - 2012.06.11

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“3/4”は魔法の数字!廃材を利用し、障がい者が製造するこだわりのバッグ「4bunno3 BAG」 [マイプロSHOWCASE]

スタイリッシュなバッグが並んでいます。オシャレなお店に置いてありそうなですが、実はただのバッグではありません。これはある価値観が体現されているのです。

まずバッグの素材をみてみましょう。

こちらの白くて丈夫な生地は、デパートなどによく掛かっている垂れ幕の印刷工場でゴミとして捨てられていた端切れなのです。その分耐水性に優れていて、真っ白な素材なので絵を描いたり飾りをつけたり、オリジナルバッグをつくれるというのも特徴です。

次に、持ち手の部分を見てください。

こちらも、廃車業者さんで再生されずに捨てられていたシートベルトを寄付してもらい使用しています。人の命を守っていたものなので、こちらもとっても丈夫です。このように廃材を再利用してバッグをつくっているのが「4bunno3 BAG」です。

バッグの作り手は障がい者の方

デザインはデザイナーが担っていますが、製造工程のよんぶんのさんは障がい者が担当。現在は長野にある社会福祉法人夢工房福祉会の作業所でつくられています。また売り上げのよんぶんのさんを収益とし、残りは寄付しています。

バッグの名前もズバリ「4bunno3 BAG」 。この数字に込められた想いとは何なのでしょうか。このバッグを手がける「Real Fantasy」代表の北村尚弘さんにお話を伺いました。

“よんぶんのさん”は魔法の数字!

北村さんは社会のある価値観に対して疑問を抱いています。

拡大成長を求め続けた資本主義社会の時代は、頑張ること、努力すること、100%以上の力を発揮することが求められました。

この価値観がダメだとは思いませんが、これしか認めないという価値観の偏重は、環境破壊をもたらし、経済を破綻させ、人を疲弊させ、多くの不幸に繋がっているように思えます。人に対する優しさ、モノに対する愛着、地域とのつながりなど、本当に大切なものを私たちは置き去りにしてしまっているのではないでしょうか。

また100%を目指すことは、障がいのある方などの社会的弱者といわれる人々が、社会から隔離されてしまうことの原因だとも思います。あたりまえですが、障がい者だって力を発揮することができる。1人で100%以上出さなくても2人で支え合えば、それ以上の価値をつくることができるんです。

「人こそ一番の資産」と誰もが言います。であれば、彼らの能力を社会的価値に変換できる仕組みをつくってあげることが大事だと思うんです。


北村尚弘さん

そこで私が広めたいのが”よんぶんのさん”の価値観です。それは100%を追求しすぎない、たりたいくらいがちょうどいいという感覚です。例えば 「足るを知る」 だったり 「腹八分」 の心意気ですね。

“自分の期待を相手に押し付けない”で”相手のありのままを受容れる”視点を持ち、”足りないのであればお互い手を差し伸べ合い”、”絆や連携”を大切にすることで、”近道をしなくてよかったと思えるような人生”を楽しむことを指します。

誰もが自分の価値を発揮して仕事ができる社会へ

北村さんが“よんぶんのさん”の価値観に出会ったのは、どんなきっかけがあったのでしょうか?

もともと、1日20時間、6ヶ月間休み無しで平気で働くような人間でした。その頃は、100%以上、もっともっと多くのことをすることが大切だと考えていましたから、それについてこれない人は、落後者だと思っていました。そのときは、障がい者を巻き込む仕組みをつくろうなんて考えは無かったと思います。

では、障がい者に関わる事業に挑戦しようと思ったきっかけは一体何だったのでしょうか。

企業で働いた後、経営コンサルタントとして独立しました。その際、たまたま障がい者専門の人材会社から経営に参加するお話があり、障がいのある方の雇用創出に関わっていく中で、 多くの企業では“採用すること”だけがゴールになってしまっている現実を知ったんです。

現在「全従業員の1.8%は障がい者を雇わなくてはならない」という法律があります。障がい者雇用自体が進むことは嬉しいのですが、反面、お客さん扱いされ、仲間として受け入れてもらえず、結果的にやりがいを感じられずに離職する方がたくさんいるのです。

「働く」というのは本来自分の持っている価値を発揮して社会に貢献し、感謝され、その対価としてお金を貰うということですが、このような働き方ができている障がい者は少ないです。この現状に違和感を抱き、障がいのある方が活躍できる場づくりをしたいと思うようになりました。そして、世の中のあらゆる人に価値があるということを社会に伝えていきたいと考えました。

憧れモデルを目指す!

障がい者が活躍できる場とはどのようなところなのでしょうか。

ひとつには障がい者が働いている福祉施設があります。そこではビジネス視点が欠けているケースが見られます。生み出す商品は障がい者がつくっていることを全面に出し、クオリティも低くなりがち。買い手も「障がい者がつくっているからこの程度でも仕方ない」と感じながら購入することもしばしばです。

そこで思ったのは、「え?これ障がい者がつくってるの?」と驚かれる商品をつくりたいということです。福祉的視点ではなく商品自体に魅力や価値があり、ビジネス視点で評価される“憧れモデル”を。これにたくさんの人が反応してくれて障がい者だって“僕たちと何も変わらない”という考えが普通に広まっていくことを目指しています。

その”憧れモデル”のデザインとして考え出されたのが 「4bunno3 BAG」です。ですが、ここまでの道のりは大変だったそう。

デザインを完成するのに約1年半かかりました。見た目のデザインだけでなく、障がいのある方につくれて、生産量もある程度見込め、かつご購入者の方に満足価値を提供できる理想のデザインに辿りつくまで、多くの紆余曲折がありましたね。

事業がもたらした素敵な変化

目標に向かって皆で頑張ったことにより、少しずつ成果が出てきました。北村さんは続けます。

製造に参加してくれている方は、今まで靴下を裏返したり、飴を袋に入れるお仕事などをされていました。これらも立派なお仕事ですが、僕はもっと働くことの楽しさも知って欲しいと思っています。

例えば部分的な作業ではなく、商品が完成する全体の流れまでの関わることもそうですし、購入者のメッセージや写真が届き、自分たちがつくったものを使っている人の反応を知ることも、やりがいにつながります。

また、周りでサポートするスタッフにも意識の変化が現れるようになりました。以前はできそうな人だけに作業を任せる傾向がありましたが、最近では「この人にもきっとできるはず!」と挑戦させる機会が増え、それに作り手のみなさんが応えてくれることで、できることの幅がグンと広がったのです。

夢工房のみなさん

夢工房のみなさん

“障がい者”という言葉を無くす

障がい者にとってのやりがいを生み出しながら、周りの意識も変えていく「4bunno3 BAG」。最後に、今後の展望についても伺いました。

今僕は自分のことを”障がい者活性化デザイナー”と名乗っていますが、将来的にはそれが古くさいと思われるようになりたいですね。“障がい者”と位置付けられている全ての人が自分の価値を発揮出来るようになり、“障がい”という言葉が無くなることを目指したいと思います。

「100%以上を目指していた」という北村さんのお話に、心当たりがある方もいると思います。完璧を追求して生きることはもしかしたら、自分にとっても辛くなるし、さらに周りにも完璧を求めてしまって、相手を受け入れられなくなってしまうことにつながるのかもしれません。

どんな人もお互いに支え合って、認め合える社会をつくるヒントが、”よんぶんのさん“という言葉に隠されているのです。

4bunno3バッグについて詳しく知ろう!

他にもこんなプロジェクトがあります。

writer ライターリスト

森近 恵梨子

森近 恵梨子

1990年ニューヨーク生まれ。上智大学大学院社会福祉学専攻1年。福祉のイメージをオシャレに変えるフリーペーパー「Wel-bee」を発行するサークルの発起人。若者を巻きこんだクリエイティブな福祉をデザインしている。

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