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「本屋さんから日本の離島を活性化したい!」リトケイの新たな試み「島Booksプロジェクト」READYFOR?に登場! [READYFOR?]

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「離島から日本に灯を灯す」をコンセプトに、日本の離島のすてきな人やモノ、コトに関するニュースを発信している離島経済新聞社(以下、リトケイ)。2010年設立以来、WEBマガジン『離島経済新聞』や、タブロイド紙『季刊リトケイ』を通し、全国の島人や島好きに向け、リアルな島の姿を届けています。

greenz.jpでも以前取り上げましたが(過去記事)、今年6月より、1メディアであったリトケイがWEBや紙を飛び出し、全国の本屋さんを巻き込んで大掛かりなプロジェクトを始めました!その名も「島Booksプロジェクト」です。

島に関する本や雑誌、フリーペーパーを置くための”島本専用本棚”を制作し、全国の本屋さんに設置することで、これまで埋もれがちだった島の情報を見つけやすくし、全国の人々に今以上に島のことを知ってもらうきっかけをつくりだそうという試みです。

デザインと編集で、離島から日本に灯を灯す『季刊リトケイ』

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離島の情報を集めたタブロイド紙『季刊リトケイ』。離島を盛り上げる注目の若手島人のインタビューや、『島を想う』『島で働く』などのテーマに沿った特集、島社会の未来を想像させるグッドニュース、島人・島好きの生の声を集めたコラムなど、さまざまな角度から全国の島々の素敵なヒト・モノ・コトを取り上げています。

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日本には約430島の有人離島があり、それぞれ島独特の文化や豊かな自然、人やモノなど、素敵なものがたくさん詰まった”宝島”です。しかし、いずれの島々も一つ一つの規模が小さいことから、情報も埋もれがちとなり、スポットが当たりにくい状態にありました。また、見た目には近所の島でも、管轄する自治体ごとに情報がバラバラなため、まとまった場所から情報を得ることもできませんでした。

そんな風に、今まで手に入りにくかった離島ならではの生の情報や、それを伝える事がその島のためになるニュースを集め、デザインと編集によってより伝わりやすくすることで、全国の島人・島好きたちに届けたい。離島の情報発信とコミュニケーションをより良くし、島々の魅力や課題を知ってもらうことで、島の経済をまわすお手伝いになり、宝島を未来につないでいくための糸口になれたら、と。

こう語るのは離島経済新聞社の鯨本あつこ編集長。

先日発表された2012年度の『ロハスデザイン大賞』では、ヒト部門にて鯨本編集長が大賞を受賞するなど、 離島と本土、つまり地方と都市のコミュニケーション・デザインの成功例として、今非常に注目されている媒体です。

クラウドファンディングで始める「島Booksプロジェクト」

そんなリトケイが、6月1日より、クラウドファンディングサービス「READYFOR?」に新たな試みを掲載し、その運営資金の募集を始めています。

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島Booksプロジェクト」は、島のことを知りたい人々がより簡単に島の情報をキャッチできるよう、日本の離島に関する本を一箇所に集めた『島本専用本棚』を制作し、全国300箇所の書店に設置するプロジェクト。ジャンルや出版社に関わらず、島に関する良質な本を並べられるコーナーを作ります。

例えば、Amazonで『離島』で検索すると、約3,400冊の和書がヒットします。ジャンルもガイドブックから写真集、エッセイ、コミック、雑誌までとさまざま。発行部数は少なくても、島を愛する著者や地方の小さな出版社によって作られた、多くの良い本があるんです。

しかし、実際にそれらを書店で探すとなると、ジャンルごとに棚が分けられており、どこに行けば手に取れるのかはわかりづらいもの。さらに特定の島に関する本となると、そこは日本に約430島もある有人離島のこと、とても見つけやすいとは言えません。

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また、瀬戸内海の島々を取り上げた雑誌『せとうち暮らし』や長崎県・五島列島を愛する人たちによって作られた『五島ZINE』など、ディープな情報が満載の島のフリーペーパーも存在するものの、配布場所を知らないとなかなか手に入りづらいのです。

島々を大切に想う作り手の気持ちがたくさん詰まった『島本』たちを、本屋さんで一箇所の棚に集め、ジャンルや出版社の壁を越えて『島』という新たなカテゴリを提示することで、島の情報を手に入れたい本土の方々や島人たちに届きやすくする。それが今回のプロジェクトの目標です。

島本棚の制作は、greenz.jpはもちろん、世田谷ものづくり学校LLPスケットなど、島人や島好きなど多くの人がサポート中です。気になった方、詳しくはこちらへどうぞ!

出版業界の壁を乗り越え、リアルの場で情報をデザインする

これまで出版業界は版元や流通の壁が高く、書店に専用の棚を作ったり、新しいジャンルを提示したりといった試みは、フェア以外では非常に実例の少ないものでした。更に、それを一版元、しかも設立2年未満の小さな出版社が行うのは前代未聞です。

リトケイは決して、前例がないことをしたい訳ではないのですが、私たちが扱っている島情報のように“小さくても良いもの”を届けていく方法として、一番良い方法を探した結果が島Booksでした。もちろん、難しいと言われることもありますが、リトケイの読者をはじめ書店や流通業界の方にも共感してくださる方は多いので、そういった方々とみんなで実現していきたいです。

リトケイが今回このプロジェクトを行う意味、それは、これまで自分たちの制作物の上でしか情報のコントロールができなかったメディアが、自社媒体のワクを越え、編集とデザインのノウハウを活かして「本屋さん」というリアルな場に直接働きかけること、他社の出版物も含めて、情報の流れを全体からデザインしてゆくことにあるのではないでしょうか。

ソーシャルデザインが話題となる昨今ですが、「こんな方法で、地方と都市の関係を変えてゆくこともできるんだ!」と驚かされます。一出版社が単独で行うには難しくても、ソーシャルメディアの力を使えば、地方・都市に関わらず多くの人や書店、出版社を巻き込んで、「出版流通」という情報の流れの全体像を作り替える事も、実現可能なのかもしれません。

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書店は情報の宝庫。そこに眠る素敵な、島好きや島人の想いのたくさん詰まった書籍や雑誌、フリーペーパーを集め、多くの人に届けてゆく。情報発信という、これまで地方が得意ではなかった分野を、メディアとリアルな場、両方からのアプローチで変えようとするリトケイの試みは、新しい「地域活性化」のアプローチ方法としての試金石になるかもしれません。

「READYFOR?」への掲載は7月12日(木)の午後11時まで。 みなさん、リトケイの挑戦に、ぜひエールを!

READYFOR?「島Booksプロジェクト」を支援しよう!