ISSUE 健康

4 years ago - 2012.06.10

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生活習慣病の予防は健診から!”健診弱者”の健康と幸せを守る「チャリティー健診」 [マイプロSHOWCASE]

みなさんは「自分は健康!」と胸を張って言えますか?症状に現れていなくても、もしかしたら生活習慣病に関連する疾患があるかもしれません。

日本人の死亡原因の実に6割が生活習慣病によるもの。また国全体の医療費約30兆円のうち、その3割の10兆円を生活習慣病が占めています。生活習慣病は現代の日本が抱える、深刻な社会問題なのです。

それを予防するためにも、自分のからだについて定期的に知る機会となる健康診断を受けることはとても重要です。しかし受診率は何と全体の6割にとどまるのだとか。残りの4割の中には、経済的理由により健診を受けられない、いわゆる”健診弱者”の方も含まれています。そんな方々を対象に健診の機会を提供しているのが一般社団法人「健診弱者を救う会」の「チャリティー健診事業」です。

チャリティー健診とは

健診弱者には、具体的にはホームレスの方々、東日本大震災の被災者の方々、授産施設で働く障がい者の方々などが挙げられます。そんな健診弱者の方が健診を受けることができるように、「チャリティー健診事業」では、企業および個人から健診費用の寄付を募っています。

米粒大の血液を指先から採る自己採血方式で採血を行うため、医師が不在でも健診を行うことができ、通常より低コストでより多くの人々に健診の機会を提供することが可能になっています。結果がその場で分かり、看護師のアドバイスを受けられるのも魅力的です。

寿町でのチャリティー健診の様子

寿町でのチャリティー健診の様子

これまでgreenz.jpでも以前紹介した「コトラボ」の舞台でもある横浜市の寿町で、ホームレスを対象にチャリティー健診を実施しました。
血液検査(血糖値・総コレステロール・中性脂肪)の3項目のうち、28名中27名が「要注意」または「要受診」と診断されました。

震災後は、宮城県石巻市・南三陸市・気仙沼市・登米市の避難所、その後に福島県南相馬市の避難所にてチャリティー健診を実施しました。避難所では、総コレステロールの”要注意”以上が約7割という結果に。主に避難所生活が続き、お弁当を食べる機会が多いことが原因として考えられています。

石巻市でのチャリティー健診の様子

石巻市でのチャリティー健診の様子

チャリティー健診の結果をもとに、必要な方には南相馬市立病院で通常の健診を受けてもらいます。健診を受けた方からは「病院に行って相談してみるよ」「生活習慣なおします」といった反応があったそうです。実際に自分の健康について客観的に眺めることができる、大切なきっかけになっているんですね。

糖尿病患者との出会い

この「チャリティー健診」はどのような思いで始められたのでしょうか。「健診弱者を救う会」代表の志賀大(しが まさる)さんにお話を伺いました。

代表 志賀大さん

志賀大さん

高校生の時に、患者の一番近くにいて、人の役に立っていると実感できそうな看護師になりたいと考え、大学の看護学科に入学しました。その実習中に、とある患者さんの担当になったんです。

その方はトラックの運転手の中年男性で、糖尿病を患っていました。状態としてはかなり悪化していて、結果として失明してしまったんです。失明してしまうとトラックの運転ができないので、必然的に失業してしまいました。

その後看護計画を立てていたときに、その方には家族がいないことも知りました。今後その方が辛い思いをしながら生きていくことは想像できたのですが、同時に自分ができることはほとんどないという無力感を抱いたんです。

健診の持つ可能性

志賀さんはこの原体験から今ある課題に気付きます。

その方のように糖尿病が原因で透析を受ける方は、毎年新たに約1万6千人いらっしゃいます。たまたま出会った患者さんのような状況になってしまう方がたくさんいることを知ったとき、どうしたらこの悪循環を絶つことができるのかを考えました。

透析を受ける方の医療費は、一人当たり年間約500万円。このままだと超高齢社会とともに医療費はかなり拡大してしまいます。こうなると、国の財政が悪化し、医療従事者の待遇が悪くなり、医療の質が落ちてしまうことも考えられます。

この悪循環から抜け出すためには、健診の受診率を上げることが必要だと思ったんです。例えば、健診により200人に1人糖尿病の末期症状となり透析を受けるのを防げたとしたら毎年年間500万×80人=4億円の医療費削減につながり、10年間累積で220億円の医療費削減になります。

健診をすべての人へ

そんなことを思っていた時に、自分のやりたいこととぴったり合致していた「ケアプロ株式会社」と出会います。(greenz.jpでの過去記事はこちら

ケアプロは“ワンコイン健診”という、予約無し保険証無しで1項目500円から受けられ、その場で結果がわかる気軽な健診事業を行っている会社です。医療財源を使うことなしに、疾病予防にもつながっているので、まさに自分のやりたいことだと感じ、在学中にインターンをすることを決め、その後就職することになりました。

そして、ケアプロで仕事をする中であることに気付きます。

ビジネスとして健診事業をおこなう中で、経済的事情などでワンコインでも健診を受けるのが難しい方もいるのではないかと考えるようになりました。そして、そのような方にも健診を受ける機会を提供していきたいと思い、非営利活動団体を立ち上げました。

病院内の仕事や普段の仕事以外にも様々なことに挑戦してみたいと考える看護師、医師、システムエンジニア、新規事業のプロ、学生などが仲間として集まり、現在参加者は8名です。関わってくれる仲間を大切にして頑張っていきたいですね。

すべての人へ健診を!

すべての人へ健診を!

チャリティー健診は今後どのような方に提供されていくのでしょうか。

授産施設等で働く精神障がいのある方々向けに、チャリティー健診を提供したいと考えています。また、彼らのご家族も障がいのある家族のことばかり考えていて、ご自身の健康について気にかけられていない現状があると思います。そこで、ご家族の方も一緒に健診が受けられる仕組みをつくれたらと思います。

健診ポータルサイトを立ち上げ中!

チャリティー健診以外にも、未受診の方を減らすことを目的としたポータルサイトの立ち上げ準備中です。

健診を受けない方の理由には「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」「めんどうだから」「毎年受ける必要性を感じないから」「費用がかかるから」などが挙げられます。これらの意見から、健診を受けたいと思える啓発と健診受診のハードルを下げる必要性があると思いました。

ポータルサイトの1つめのコンテンツが「健診シミュレーター」。簡単な質問に答えるだけで、危険度の高い疾患が分かり、さらに医療費を試算することができるなど、その後の人生をシミュレーションできるコンテンツです。2つめは「健診役場」。行政の健診案内では分かりにくい場合があるため、5つの質問に答えれば自分が受けることができる行政の健診がすぐ分かる優れものです。

自分のからだのことって意外とよくわからないもの。でも一度自分の状況をわかることができれば、事前に防げることはたくさんありますし、結果的に自分や家族など大切な人が悲しい思いをすることも減らしていくことができるはずです。

誰もが健康診断を受けることができるこの取組みは、日本の将来を明るくするための大事な一歩といえるでしょう。

活動内容を詳しく知ろう!

他にもこんなプロジェクトがあります。

writer ライターリスト

森近 恵梨子

森近 恵梨子

1990年ニューヨーク生まれ。上智大学大学院社会福祉学専攻1年。福祉のイメージをオシャレに変えるフリーペーパー「Wel-bee」を発行するサークルの発起人。若者を巻きこんだクリエイティブな福祉をデザインしている。

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