ISSUE 健康

3 years ago - 2012.06.04

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家族や友人を守るのはあなた。大切な人のこころの病を予防できる人を育てる「Light Ring.」 [マイプロSHOWCASE]

Creative Commons: Some rights reserved by mark sebastian

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病気になったら医者に相談するのが常識とされています。しかし、こころの病はどうでしょう。

気が晴れない時、友人や家族に悩みを聞いてもらいアドバイスを貰えただけで、すっかり元気になったという経験はありませんか。誰でも隣にいる人の「小さなこころの病」は和らげることができます。そして、それが「大きなこころの病」の予防につながっていくのです。

Light Ring.」は、そんな誰もが大切なひとに寄り添ってこころの病の予防ができるようにするために、精神科医や臨床心理士などの医療福祉分野の専門家と恊働しているNPO法人です。

聴くトモの養成・運営・サポート

第2期聴くトモ養成講座、実践編講座の様子
第2期聴くトモ養成講座、実践編講座の様子

現在「Light Ring.」が展開中または計画中のサービスは、「聴くトモの養成・運営・サポート」「プロモーション活動」の二本柱。

まず「聴くトモプログラム」では、養成講座を通してコミュニケーションと傾聴の訓練を受けたスタッフ=聴くトモが、心に不安を抱えた方と1対1になり、お話に丁寧に耳を傾けることで、気分を晴らすお手伝いをします。自分の力では支援できないとき病院に頼るという判断ができるようになることも狙いです。通常週3回実施している1対1の傾聴プログラムのほか、高校などの施設へ出向いて傾聴をする、アウトリーチ活動も行う予定です。

さらに、「20代のためのそばで支える力養成講座」も開講しています。これは、1日完結型のメンタルケア学習プログラム。8時間の講座を通じて、身近な人を支えるために必要な心構えや傾聴(聴く力)などについて学びます。近くに悩んでいる人がいて「何かしたい」と感じている方に、大切な人を支える力を身につけてもらう機会を提供しています。

また、講座を修了後、学校や会社、そのほか身の回りの方々向けに、個人で傾聴を行っていくことを希望する場合、個人活動のサポートやプロデュースのお手伝いも行なっています。

もうひとつの柱が、正しいメンタルヘルスの知識を広め、ともに学ぶプログラム。うつ病、依存症、パーソナリティ障害などについて正しい知識を蓄積し、社会で共有してゆくために、悩んでいる人を支えたい方の事例検討会「Light Ring Time」などを開催しています。


「悩みを聞いていて、どう答えていいか困ってしまった…」LRTでは、そんなあなたの経験をもとにみんなで一緒に考えながら、よりよいサポートを行うためのスキルアップをしていきます。

大切な人を支えあう輪をつくりたい

「LightRing.」をはじめたきっかけは何だったのでしょうか?代表理事の石井綾華さんにお話を伺いました。

石井綾華さん

石井綾華さん

私自身、小学生の時にあるこころの病で入院をしました。そこで経験したのは、毎日朝昼晩、大量の薬を飲むような治療です。「こんなに薬を飲んでいるのに、どうして一向に改善しないんだろう?」と、だんだん主治医や病院に不信感のようなものを抱いていきました。同時に、主治医がそうせざるを得ない理由が他にあるような気がしていて、もやもやしていたんです。

やがて「メンタルヘルスに関する病は明確な治療法が見つかっていない」という事実を知った時、「このまま一生治らなかったらどうしよう」と愕然したことを未だに鮮明に覚えています。

そんな状況から石井さんはどのように抜け出せたのでしょうか。

入院治療中に家族や友人が寄りそって話を聞いてくれ、「そんなに焦らなくていいんだよ」と声を掛けてくれたことが、自分にとって本当に大きな力になりました。凄く気持ちがラクになったんです。この経験から、自分のそばに居る人を気にかけることが、治療にも役立つことや予防にもきっと活きていくことを実感しました。

「あなたが居てくれて私は嬉しいんだよ」と伝えられるように私もなりたい。そしてそれを一人だけじゃなくて、そばで大切な人を支える仲間とともに伝えられる輪を広げていきたい。次第にそう思うようになったんです。

初めは調査から!

目標を持った石井さんはすぐに動き出します。

私が経験した薬治療によるもやもやは、「医療の構造自体に問題があるのではないか?」と仮定し、退院後に勉強をはじめました。精神科病院の経営者、医師、看護師、臨床心理士、精神保健福祉士など、医療・福祉分野の専門家の方々およそ50名にヒアリングをしたんです。

その結果、どの立場の人も、「こころの病は”予防”が重要」と認識していることが分かりました。けれども、「それぞれの仕事の範囲ではそこをカバーしきれない」と、多くの方がもどかしさを感じているということも分かりました。

 
色々な方に話を聞いてもらうことで石井さんのサポーターはどんどん増えていき、活動は加速してゆきます。

ヒアリングをさせていただいた専門家の方たちが、私の想いやその活動に協力して下さることになりました。「こころの病の社会問題」を予防の観点から解決するために、企業・政府・自治体・各専門機関の関係者を集めて、そばで支える支援者を相互協力しながら支えていくプラットフォームをつくりたい。そんな自分のアイデアは間違っていないと自信を持てるようになり、プロジェクトを始める決心ができたのです。

本格的な活動のスタート

専門家の方にサポートを受けながら、任意団体として活動がはじまります。

まず「そばにいるために必要な力って何だろう?」という問いについて、皆で考えるワークショップを開催。その場には学生や企業の社長や医師など様々な立場の方が集まってくれたそう。その後、月に1回参加者同士がお互いの話を聴き合う「COFREETIME」というイベントをスタート。そこは大切な人のこころを支える上で、必要な情報や支援する方の悩みの共有ができるような貴重な場となりました。

実技講師橋本博季先生による「自分のスタンス」を知る授業

実技講師橋本博季先生による「自分のスタンス」を知る授業

その後、受講生が「聴く力」を伸ばし、メンタルヘルスケアの知識を持てるような「聴くトモ養成講座」を開講。試験に合格した方がカフェで相談者のお話を60分聴く「カフェ聴くトモ」という実践の機会も提供しています。実際に大学生のこころの病の予防効果を発揮しているそうです。

「カフェ聴くトモ」は現在、渋谷をメインに、毎週火・木・土に実施。一回(1時間)あたりの利用料金は、1,500円+カフェでの飲食料金ほど。「身につけた知識やスキルを実践することで、自分の生活の場でも活用できるようになります」と石井さんは言います。

聴くトモカフェモデルの様子

聴くトモカフェモデルの様子

こうして着々とこころの病を予防するコミュニティを築き上げている石井さん。最後に、今後の展望についても伺いました。

身近な人のこころを守りたい仲間と、そばで支える力を高める仕組みを全国に展開していきたいと思っています。誰もが自分とそばにいる大切な人のこころの病を予防し、個人の価値観で考える幸せな人生を認め合えるような社会にしていけるといいですね。

もしかしたら、そばにいる人の悩みに戸惑っている方もいるかもしれません。「Light Ring.」のプログラムに参加することで、その方を大切にしたいという気持ちを「聴く力」に変えて、実際に自分とそばに居るひとの「健康なこころ」を守っていけるといいですね。
 

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writer ライターリスト

森近 恵梨子

森近 恵梨子

1990年ニューヨーク生まれ。上智大学大学院社会福祉学専攻1年。福祉のイメージをオシャレに変えるフリーペーパー「Wel-bee」を発行するサークルの発起人。若者を巻きこんだクリエイティブな福祉をデザインしている。

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