天然の保湿クリーム”シアバター”で、日本もアフリカもHAPPYにする「アフリカ工房」[マイプロSHOWCASE]

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アフリカと聞くとどんなイメージが思い浮かびますか?黒人、治安が悪い、紛争、貧しい、植民地など、あまりよいイメージがないかもしれません。

実は私もアフリカへ行ったことがなく、持っている知識も断片的です。国を聞かれても、どこにあるのか、どんな食べ物や人がいてということをほとんど知りません。多くの人にとって、どこか遠い国のように感じられるアフリカの魅力を伝えるにはどうしたらよいのでしょうか。

今回は”シアバター”の販売を通じて、日本とアフリカをつなぐ「アフリカ工房」の前田眞澄さんにお話を伺いました。

シアバターとは?

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市場でシアバターを売る女性

「アフリカ工房」の主要商品であるシアバター。前田さんの活動フィールドでもあるガーナ北部のズオ村で栽培されている、シアの実から採れる植物性オイルです。食用のほか、傷の治療薬や肌に塗るクリームとして使われています。

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シアの木 Some rights reserved by Marco Schmidt

シアバターの原料となるシアの木は、ガーナの北部にたくさん自生しています。ズオ村にはシアバターづくりを得意とする人が多く、オリジナルでシアバターをつくり、フェアトレードで販売するというモデルに取り組んでいます。

高校生の頃の原体験

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「アフリカ工房」代表の前田眞澄さん

前田さんが「アフリカ工房」の活動を行なっている一番の理由は、そこにいる人に惚れ込んだから。そして村人たちもやる気にあふれ、一緒にビジネスをつくりあげていくことにやりがいと感じているそうです。一年に一度はズオ村に訪れますが、普段の売買、仕入れなどは村のインターネット事情はよくないので、携帯電話を使って行なっています。

でもどうしてシアバターにたどり着いたのでしょうか。その原点は、高校生の頃までさかのぼります。

アフリカに行きたいという思いが芽生えたのは、前田さんが高校生の時に、たまたま街で黒人の方を見かけたことがきっかけでした。「肌の黒い人とは分かり合えないのではないか」と、高校生ながらに強い印象を抱きながらも、なぜかとても興味を惹かれていたというわけです。

同じ頃、板垣真理子さんという女性カメラマンの写真集に前田さんは出会いました。そこに出てくるアフリカ人女性の原色の美しさに魅了されて、アフリカへの思いは増す一方。

強い思いは行動につながります。父親が大学の先生だった関係で、バングラデシュ人やガーナ人と出会い、話をしていくうちにガーナ大学を目指すようになります。

ガーナ大学に通う学生は、自国の発展のためにどう貢献できるかを真剣に考えている人ばかり。学生生活で異なる国の人と触れ合うことで、「肌の黒い人とは分かり合えない」という最初に抱いた感覚は次第に消えていきました。

ズオ村との出会い

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前田さんとズオ村の女性たち

ガーナ大学を卒業後は青年海外協力隊の一員となり、そこでズオ村に赴くことになりました。村の人に村の問題点などを聞くと、「学校がない」「お金がない」といったことから、「カヤエイ(出稼ぎ)にいかなくてはならないこと」まで、さまざまな問題が浮かびあがってきました。

ちなみに、カヤエイとして都市に出稼ぎに行くのは、イスラム女性が結婚式で使用する鍋や服の生地などの購入資金を稼ぐため。その中心は村の少女たちで、家族や知人のつてもないまま600kmほど離れた首都アクラまで身一つで出稼ぎに行くのです。

寝る場所もなく、店の軒先で寝ることになるから、レイプの危険が常にあります。大学の授業では知っていた話が協力隊として関わることで、現場で実際に起きていることだと実感することになりました。そこで、村の人たちが持っている能力や資源を活かして「何かできることはないだろうか」と考えはじめます。

大切なのは押し付けをしないこと。そこで50人くらいのおばちゃんたちに、得意なことを聞いて回ることにしました。そこで上がってきたのが、シアバターづくりだったのです。

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ズオ村の女性のシアバターづくり!

「それを現金収入とすれば、生活はよくなるのではないか」と考え、シアバターを使って石鹸をつくり、現地の市場やホテルなどで販売するという取り組みを始めました。

しかし協力隊の時期が終わると、活動もいったんペンディングすることに。帰国後、別のプロジェクトでガーナ北部の村に関わりましたが、前田さんにはやり残した感が残っていました。

その後、協力隊で出会ったパートナーと出会い、ズオ村への思いがよみがえります。「シアバターの販売を通じて村の生活や文化を日本に伝えたい!」そこで立ち上げたのが、「アフリカ工房」だったのです。

生きるエネルギーに満ちているアフリカの人々

「人を大事にすること」など、アフリカの人たちが生きていくうえで大切にしていることは、”教育”というものがなくても、口伝や村の教えという形で残っているのだそうです。

だからこそ「アフリカに根付いている文化そのものを、シアバターを販売することで伝えていきたい」と前田さんは言います。

穏やかな人柄や手仕事の深み、村の中で循環する生業…シアバター作りもそうですが、素敵なものがいっぱいあるんです。アフリカはもっと面白いということを伝えたいし、イメージを変えてゆけるといいですね。

シアバターの原料となるシアの実 Some rights reserved by Marco Schmidt

シアバターの原料となるシアの実 Some rights reserved by Marco Schmidt

前田さんがある時、ガーナを訪れた際のエピソードがあります。

みすぼらしい格好をしたオレンジ売りのおばちゃんが、乗合バスの乗客に窓越しでオレンジを売っていたんです。お客にオレンジを剥いて渡すということをしようとした時、信号が青に変わって、バスが発車しちゃったんです。

「オレンジどうするんだろう?」と思ったら、必死になっておばちゃんがバスを追っかけてきたんですよ。その必死さが伝わって来ました。他の人が聞いたら、なんともない話だと思うかもしれませんが、私は「生きるエネルギーが、あふれているなあ」と思ったんです。

ちなみにガーナ人はストレートに感情を出すんですけど、私が人生で初めて怒りという感情を認識したのも、ガーナ人に対してでした(笑)でも決して悪気があってやっているわけではないんですね。「正しいのは自分」じゃなくて、文化が違うだけ。そう思うと、いろいろな事に寛容になれて、ガーナという国がもっともっと楽しくなってきました。

アフリカ、ガーナの生活の一部に焦点を当て、その解像度を上げていくと、キラリと光るエピソード、魅力がたくさん出てきます。それは地図上やニュースで知るアフリカとは全く別ものの、ホンモノのアフリカなのかもしれません。

例えばズオ村最高齢のフィシャタおばあちゃん。80歳くらいの産婆さんだったのですが、私たちが日本から来たといってもどれくらい遠いか分からないんです。かろうじてガーナの首都は聞いたことがあるから、「そっちに帰るのかい?」という感じ。そういうおばあちゃんが生きてきたという村の暮らしがそこにあるんです。

手仕事の豊かさを伝えてくれる「アフリカ物語」

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縄作りをするズオ村のおじいちゃん

手仕事には作り手の思いがこもっているからこそ、使う方も粗末にしないもの。そこで大きな温もりを与えてくれるのがひとつひとつのストーリーです。そこでシアバターを購入いただいた方には、「アフリカ物語」という冊子を同封しています。

その中の「村の手仕事のぬくもり」と題した物語では、縄づくりをするおじいちゃんが取り上げられています。家自体もそのまま自然に還るという豊かな暮らし。自然の恵みから生活のための道具を生み出し、自然と共に生きてきた村の人々がよく現れています。

また「仕立屋アブデラさんの心意気」と題した物語では、ガーナ北部の町タマレに暮らす仕立屋さんが登場。そのアブデラさんはズオ村の少女達にボランティアで洋裁を教えており、その甲斐あって、生徒も増え、また少女達が立派に洋服を作れるようになったそう。お金持ちなわけでもなんでもない、街の仕立屋のアブデラさんの行動は、小さなことかもしれない。しかし、確実に自分たちが住んでいる街を良くしようという人がいることが伝わってきます。

シアバターを通じて、アフリカも魅力を伝えたい

「アフリカ物語」をはじめ、前田さん、そしてパートナーの大蔵さんのお話を伺っていると、アフリカはもっと彩り豊かで、”貧しい”というのはほんの一面に過ぎないことがよくわかります。アフリカ全体を知るというのはなかなか難しいですが、縁あって出会った顔が見える人々の人生物語を通して、少しずつアフリカを身近に感じることができるのかもしれません。

日本にいる人で、アフリカの人たちが貧しいとかかわいそうとか思っている人たちにこそ、シアバターと一緒にアフリカの魅力を届けたいんです。もちろん実際そういう面もありますが、もっと違った面がたくさんある。シアバターもただの化粧品というのではなくて、ズオ村の人たちを思い浮かべながら使って欲しいですね。

そんな思いが込められたシアバターから、見えてくるものがきっとあるはず。”アフリカ”という言葉が少しでも身近になってくれたら嬉しいです。

(Text:大橋弘宜)

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