日本って本当にカラフル!伝統工芸の彩りを日常のワードローブにするブランド「KARAFURU」 [マイプロSHOWCASE]

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歌舞伎は本当にカラフル。私は豪華絢爛な色づかいのものが好きなので、まずその鮮やかな世界に魅せられました。他ではぜったい見ることができない衣装の色の組み合わせ。はるか昔からこんなきれいなものがあったのかと思うと、本当にすごいなと思いました。

日本の伝統工芸を反映したプロダクトにはシンプル・ミニマル志向のデザインが多いのですが、色の名称の多さといい、色の重ね方でセンスを見せる平安の着物文化といい、そして歌舞伎の色鮮やかな舞台衣装といい…日本の文化は本当にカラフル!

日本文化の色彩豊かな部分から着想を得た商品で元気を与えたいというブランド「KARAFURU」のディレクター・黒田幸(ゆき)さんと、日本の伝統工芸の「これから」を考えてみました!

古(FURU)いものから(KARA)着想を得る

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伝統の染め技法をモダナイズ!

「KARAFURU」というブランド名には、「古(FURU)いものから(KARA)着想を得る」という意味も込められています。「KARAFURU」では、着物やかんざしなどの伝統の雑貨など、伝統工芸の職人たちの技術を現代に使えるようアレンジした雑貨・アクセサリーを展開しています。

黒田さんは大学を卒業後、編集者としてモノ系情報雑誌の編集に携わります。その後、もっといろんなものを見たいとの思いから2004年、単身イタリアへ。各州にあるイタリア人の友人たちの実家を毎月訪問しながら、昔ながらの工房を訪ねたり、仕事で北イタリアはコモ周辺のシルクテキスタイルの工房、中部のトスカーナはコットンテキスタイルの工房なども訪ねたそう。

編集の仕事をする中で、ものの後ろにいる人や歴史に興味を持つようになりました。でも日本の良さを特に意識し始めたのは、イタリアに行ってからですね。

イタリア人は、本当にみんなイタリアが大好き。世界でいちばん良い国はイタリア、イタリア料理がいちばんおいしい、と話してくれます。そして自分の出身地がイタリアの中でも一番と、みんな言うんです。

自国の文化に誇りを持っているイタリア人と接する中で、日本の良さを考え始めました。

そこでみたイタリアの伝統工芸は状況は、継承が危ぶまれる日本の伝統工芸とは違っていたそうです。

日本の伝統技術が衰退した大きな理由に、服装や生活様式の大きな変化があります。日本は戦後、和装から洋装へ、畳からフローリングへと変化しました。かたや、ヨーロッパは継続して洋装で、住まいも昔の家をそのまま使用しています。両者の、過去から現在の間にあるギャップの大きさが違うんです。

だから、昔からある技術に対して、日本のような意識の隔たりも少ないです。私がイタリアに行ったときには、イタリアの経済も全体的に疲弊していました。どの産業も経済活動の影響を受けますが、伝統工芸の工房も当然その一部なので、ほかの企業・産業と同じように煽りを受けます。日本のような、特別な理由があるようには感じませんでした。

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黒田幸さん

帰国後は、映画・歌舞伎の興行会社に入社し、新規事業開発を担当。その一環で歌舞伎に関する商品やメディアを立ち上げることになった、というのが歌舞伎と黒田さんの出会いです。たくさんの職人を取材する中で、歌舞伎にとどまらず日本のものづくりにどんどん興味を持つようになったそう。

誇りを持ってものをつくる職人さんの姿や言葉に感銘を受けることが多々ありました。しかし、「もうこれをつくれる職人はいない」「素材がないから、もうつくれない」「後継者がなかなか見つからない」といった言葉をどの現場でも耳にして、貴重な文化が失われつつあることに危機感を覚えるようになりました。

「新規事業の一環で何かできないか?」と歌舞伎のエッセンスを詰め込んだブランドの立ち上げなどを企画したのですが、私が勤務していた会社では製造・小売を行っていませんでしたし、何より自分に経験がない。実現は難しく、そのときは悔しかったですね。

「KARAFURU」の構想を持ちつつ、3年の勤務を経て企業を退社。意味のあるものづくりについて考えているとき、アメリカの「FEED Project」や「OmniPeace」という意味のあるファッション消費のかたちを実現するブランドの日本展開について話があり、取り組むことになります。

その中で、ファッションという感情に訴求するコミュニケーション方法は、意味のあるものづくりと相性がいいと確信。日本の伝統的な職人技をファッションの中で提案し、日本人として誇れるものを作りたい、と「KARAFURU」を始動しました。

これまで出会った職人さんのつてをたどり、京都、東京の職人さんと協業している黒田さん。例えば、京都は”鹿の子絞り(かのこしぼり)”という絞り染めの職人の方がいます。

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「鹿の子絞り」のワンピース

鹿の子絞りとは、模様が小鹿の背のまだらに似ていることから来た名前。中でも京都で生産される絹に鹿の子を施したものは「京鹿の子絞」と呼ばれ、国から伝統工芸品に指定されています。

「KARAFURU」では、京鹿の子絞りの中の「石掛け絞り」と呼ばれる技法を用いていますが、それは生地を手で寄せ集め詰め込んだ上に小石を敷き詰め、じょうろで染料を流し込み染色すると、細かな色の濃淡のむらのある文様になるというもの。しかしこの技法も、継承という意味では難しい状況にさらされているそうです。

石掛け絞りを染められる職人さんは何人かいらっしゃいますが、最近廃業された方もいらっしゃり、一定の技術力で仕上げられる職人さんは数人しかいません。その中でも、「KARAFURU」が求めるアレンジを施すことができる人は一人だけです。

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将来への不安を抱えている業界なので、いっしょに試行錯誤してくださいます。

職人さんは生粋のクリエーター。出来上がってくるものがイメージと違うことも多々ありますが、良いもの、新しいものを作りたいという思いが強いので、同じ方向を向いてものづくりができていますし、逆に教わることが多いんです。

商いを何代も継いでこられている職人さんに、「商売はじっくりやったほうがいいんだよ」と諭されたりしたこともありましたね。

二人三脚で歩みを進める生産サイドですが、販売サイドには次のような課題があるそうです。

バイヤーさんたちに見せて「これ、プリントでも表現できるよね」と言われてしまうことがありました。また「お客さんというものは、ストーリーを考えずに見た目がきれいだから買う。同じ見た目をプリントで作れるのに、手染めだからというだけでは値段が高い理由にならない」と言われたこともあります。

プリントの技術も高いので、似た表現をすることは確かにできますし、そういった方も少なくないでしょう。しかし、「お客さんが見た目の綺麗さだけで買うか?」と言うと、決してそうではないと思っています。

日本の職人技に誇りを持って日常に取り入れていただけるように、工夫を重ねるのが自分の役割なんでしょうね。

確かに一筋縄ではいかない問題ですが、価値観の違いだからといって諦めたくはないところ。売ってくださる人がいなければ、消費者に届けられません。販売サイドに伝統工芸の魅力を伝えることも、黒田さんの大切な役割なのです。

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歌舞伎の髪飾りを作る職人さんとつくるピアス

最後に、今後の展開についても、伺ってみました。

伝統文化を現代に合わせて継承していきたいと思って始めましたが、やればやるほど、その技術が最も活かされるのは着物だと感じるんですよ。それならば、着物文化の継承もやればいいと思い、着物文化を受け継いでいける環境も生み出したいと計画しています。

私が生まれた頃、着物は2兆円規模の市場でした。でも現在は3000億円ほどに縮小しています。今はあまり売れていませんが、かつて買われた着物はみなさん大事に取っておかれているはずなので、たんすの中に眠ってしまっている”休眠着物”がたくさんあると思うんです。それを若い世代の方に受け渡せるようなイベントをしていきたいですね。

「今の生活に沿ったもの作る」ことと「従来からの “きもの”のファンを増やす」。この2つを軸に活動を進め、職人の技を継承していきたいと思っています。

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「着物は常に変化しているんですよ」とも教えてくれた黒田さん。

例えば帯締めも、実は昔はなかったものだそう。廃刀令により、侍が刀に付けていたふさの需要がなくなることを懸念して、組紐のお店が始めたことなのだと、エピソードを紹介してくれました。

このように、時代に合う必要な変化を加えられるのは、その文化の「良い受け取り手」がいるがゆえではないでしょうか。しかし、「着物が好き、歌舞伎が好き、なくなるなんてもったいなさすぎ!」と笑う黒田さんを見て、「好き」という気持ちがなによりも大きな受容体になるのだろうと思うのです。

一人ひとりの「好き」という気持ちが、また新しいプロダクトを生み、新しい彩りを生むのでしょう。「好き」になるきっかけがそもそも失われかけている今ですが、ファッションが好きなあなた!まずは「KARAFURU」で伝統工芸の色鮮やかな世界に触れてみませんか?

クローゼットに1着、日本の伝統を受け継ぐ服を。

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