国と国は難しくても、人と人ならつながれる!”熱い思い“で日本と中国をつなぐ「日中市民社会ネットワーク」[マイプロSHOWCASE]

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やりたいことが共通する者同士の集まりって、初めて参加する場所でもものすごく盛り上がったりしませんか?中には長年の友人だったかのように、すぐに打ち解けてしまうという方もいるかもしれません。

それが、今熱い想いを持って取り組んでいるマイプロジェクトだったらなおさらのこと。ワクワクする出会いは一気にプロジェクトを加速させてくれます。

そんなワクワクする出会いの場を提供することで、日本と中国をつなげる「日中市民社会ネットワーク」という団体があります。共通するのは「ソーシャルイノベーションを起こして、世の中をもっと良くしたい」という想いです。

「日中市民社会ネットワーク」のおこなう架け橋事業

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スタディ・ツアーの様子

架け橋となる事業の柱は「スタディ・ツアー」。同じ儒教文化の国である日本の経験を学ぶことを目的として、日本のNGO・社会的企業を訪問したり、日本人専門家の講義をうけたり、という学びと交流の場を提供しています。もちろん日本人が中国に学びに行くツアーもあります。

先日は「持続可能な社会」をテーマに、デザイナー、ジャーナリスト、出版社の編集長などさまざまなバックグラウンドを持つ中国人が、日本に訪れました。3月10日から17日にかけて行われたこのスタディ・ツアーの日程を聞くと、朝から晩まで盛りだくさんのプログラム!

ちょうど中国からツアー参加者が来日したのは3月10日。そこで3月11日に日比谷公園で行われた東日本大震災追悼イベント「Peace On Earth」に参加することから、スタディ・ツアーを開始しました。夜は、宮城県で冒険教育を行う団体の代表と交流会を行い、翌日は、富士山の麓でホールアース自然学校の樹海洞窟探検に参加したりと、文化的な交流を含めつつ、環境教育分野のイノベーションついて学んだそう。

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「持続可能な社会」をテーマにしたスタディ・ツアーの訪問先

たとえば「高齢者サービス」では、訪問者は高齢者サービスを行っているサンフォーレユーミーケアに訪問。実は中国では社会福祉が経済発展に追いついておらず、日本以上に急速な高齢化が進んでいます。そこで、中国の政府が対応しきれないニーズに対して民間から動き出そうとしているのです。

このスタディ・ツアーの一例を見てもわかるように、「日中市民社会ネットワーク」では、参加者の希望にあわせて柔軟にプログラムを組み、幅広いネットワークを使って訪問先を探しています。そして、実際に活動をしている様子を見たり、意見を交わしたりと、熱い学びの場を提供しています。

「研究者によるサービスの提供」が最大の特徴

「こんな過密スケジュールでは、きちんと学べないんじゃないの?」「2〜3時間程度の見学だけでわかるのかしら?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、そこは心配ご無用。事前学習ができるように、スタディ・ツアーのテーマ内容に詳しい「日中市民社会ネットワーク」の研究者が、資料を用意してくれます。そして実際の見学時にも、単なる通訳ではなく深い知識をもって解説しながら通訳を行ってくれるから、しっかり学ぶことができるのです。

CSnet代表の朱 惠雯さん

CSnet代表の朱 惠雯さん

私たちは日本と中国に、様々な社会分野で活躍している団体や専門家のネットワークを持っています。彼らと組んでスタディ・ツアーを行うことで、単なる視察ではない実りのあるツアーになるのです。

と語るのは、代表の朱惠雯(しゅ けいぶん)さん。「受け入れ側の日本人も訪問する側の中国人も、共通して”持続可能な社会”に関心が高い」とつづけます。

ツアーを行うなかで改めて実感したのは、共通の感心ごとがあると、国籍に関係なく話が非常に盛り上がるということです。友達というよりも”仲間”に近いかもしれません。ここでの出会いが、新しい仕事につながることもあります。

一度の集まりで解決できるような社会問題などありません。ただ単にイベントで交流するのでは不十分なのです。しかし、仲間になってしまえば継続的に交流できます。そこから生まれるものがとても大きいのです。

同様に日本人のための中国でのスタディ・ツアーも行っています。希望として多いのは、中国に進出したい日本企業や団体からのもので、中国における労働問題を学ぶためのツアーとのこと。この場合にも、希望にピッタリあうようなツアープログラムを編成します。

スタディ・ツアーの様子
スタディ・ツアーの様子

日本に寄せる想いと、幼い頃の経験

朱さんがこの取り組みを行っているのは、朱さんの幼い頃のできごとに大きな関係があります。

私が生まれたのは1973年で、日本と中国の国交が回復した翌年のことでした。その頃、中国のテレビでは山口百恵さんの歌が流れたり「おしん」が放映されたり、ちょっとした日本ブームだったのです。今より中国と日本は仲が良かったといえるかもしれません。小さい頃に親しんだ日本文化の影響で、日本という国はずっと身近な存在でした。

加えて小学校のときから、「社会のために良いことをしましょう」と教えられてきました。日本でいう学級委員長や児童会長だった私は、率先して道の掃除などのボランティア活動をみんなに働きかけてやっていました。「みんなが生きやすくなるための活動」をやることが楽しくて好きだったんです。

幼い頃からの日本好きと、社会貢献好き。この二つの原体験が今の朱さんの活動に結びつくのは、二つの大きなきっかけがありました。

一つ目は、大学を卒業してから、China Europe International Business School(CEIBS)というビジネススクールを運営する仕事についたこと。交換留学プログラムや学術交流活動などの運営を行いながら、中国で活躍している起業家の方々に会ったのです。さまざまな仕事を行っている方がいましたが、中国で活躍する起業家全員に共通していたのは「社会を良くしたいという志があること」でした。

ちょうどその時期「グローカル化」という発想に出会っていた朱さんは、国際協力、国際貢献に興味を持ち始めます。

二つ目は、先ほどの仕事にひと区切りをつけて来日し、ICU(国際基督教大学)の大学院で学んでいたときでした。修士論文でNGOのリーダーシップについて研究していた縁で、Global Links Initiativeという日本、中国、英国の社会的企業の交流プログラムに出会います。最初は通訳として参加していましたが次第に運営面まで携わることになり、そこで中国と外国の社会的企業を結びつけることに興味を持ったとそうです。

「人がつながっていく感じが楽しい」と語る朱さん

「人がつながっていく感じが楽しい」と語る朱さん

同じ想いを持つ人同士が、国籍を超えてつながっていくことがうれしい

国と国がつながることは、簡単ではありません。しかし、人と人とはつながりやすいのです。志が同じ人が実際に会えば、きっとすぐに良好な関係が作れます。違う環境で、違う文化で生きてきた人でも「つながり」ができていく。その様子を見ているのが、とても嬉しいです。

と朱さんが言うように、スタディ・ツアーで培った「つながり」から、再起では日本企業による中国でのCSR活動を支援したり、研究活動をサポートしあうような動きも見られるようになりました。「日中市民社会ネットワーク」でも、今後、日本企業による中国でのCSR活動の支援に力を入れていくようです。

Untitled by *嘟嘟嘟*, on Flickr

Untitled by *嘟嘟嘟*, on Flickr

今、”国際化”の方法は変化のまっただ中にあります。かつては、賃金を支払う国が、相手国に自国のやり方を押し付ける方法で行ってきました。しかし、それではいずれ頭打ちが来る、とすでにグローバルに活躍する人たちは気づいています。お互いのキャラクターの違いを知り、よいところを吸収しながらお互いを高め合う、まさに「日中市民社会ネットワーク」が仕掛けるような国際化が必要とされているのでしょう。

企業だけではなく、建築家やデザイナー、NPOなどさまざまな仕事をしている人たちが熱い眼差しを向ける中国ですが、「環境」、「高齢化社会」、「防災対策」など、日本と同じ課題を持っています。共通する熱い「想い」で日本と中国がつながれば、世界はもっと小さく、そして楽しくなりますね。

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