ISSUE エネルギー

4 years ago - 2012.04.01

SHARES  

いよいよ”人工光合成”が実現!?「水+太陽光+粉=R水素」が、これからのエネルギーの方程式だ!(前編) [R水素(再生可能水素)アクションNOW]

Some rights reserved by rachel_thecat

Some rights reserved by rachel_thecat

水と太陽と粉だけで、クリーンでオールマイティなエネルギー源「水素」を手に入れる技術があります。

ここから先は、エネルギーにまつわる「常識」をスクラップして、アタマの中を一度、更地に戻してからお読み下さい。

中編・後編も合わせてお読みください。
 中編 大発見するも、学会が「ありえない」!? ほか 
 後編 カリフォルニア工科大学が人工光合成の研究センター ほか

「次代を創る100人」にも選ばれた工藤昭彦教授

東京理科大学理学部応用化学科の研究室で、黙々と実験装置に向かう20人あまりの学生たち。彼らが探しているのは、太陽の光で水から水素を取り出すための触媒。研究室を代表する工藤昭彦教授は、日経ビジネス誌(2011.10.31号)の「次代を創る100人」にも選ばれた、人工光合成研究の第一人者です。

東京理科大学理学部応用化学科 工藤昭彦教授。東京・神楽坂の研究室にて

東京理科大学理学部応用化学科 工藤昭彦教授。東京・神楽坂の地で地道な研究は進む

触媒による水分解の反応がなぜ「人工光合成」と呼ばれているかは後半にゆずるとして、まずは研究の概要をひも解いてゆきましょう。

水の中に酸化チタンの電極を沈めて太陽光をあてると、水(H2O)が分解して水素が発生することが発見された、これが1972年に発見されたホンダ・フジシマ効果です。今、私と研究室のメンバーは、これよりも速く、多くの水素を発生させる粉の物質(光触媒)を探しています。

これまでの研究の成果で、すでに水の分解反応を起こす物質のリストができています。反応のメカニズムの解明が進み、開発の方法論も確立されてきました。私が初めて見つけた物質は、紫外光でしか分解が起きなかったのですが、今は可視光を使える物質も見つかっています。

最適な物質を探し当てるためのアクションが、日々重ねられています。

最適な物質を探し当てるためのアクションが、日々重ねられています。

ひとつひとつハードルを越えながら着実に進む研究ですが、ある日突然、常識を打ち破る高活性の物質が見つかる可能性もあるのだとか。「非連続のブレークスルーが期待できるのが、この研究の面白さです」。

企業が動き出すラインまで、あと5年〜10年で達成したい

ちなみに、太陽光で水から水素を取り出す方法には、すでに実用化されている太陽電池を利用する「太陽光電力による水の電気分解」があります。これに比べると、太陽光から水素への変換効率が約0.2%というのが現在値。(太陽光電力による水の電気分解は、約10%と言われています)

ただし、変換効率の低さにがっかりするのは早計です。そもそも太陽光は、ゴビ砂漠に太陽光パネルを敷き詰めれば全世界のエネルギーをまかなえる(※1)というほど、無尽蔵のエネルギー源。どんなに効率が低くても、海底油田やオイルサンド、シェールガスなどから地下資源を絞り取るよりは、自然の摂理にかなっているような気がしますが?

これについて工藤教授は、「0.2%という変換効率では企業は動かない。企業が動き出すラインと考えられる5%を、あと5年〜10年で達成したい」という現実的な数値目標を見据えています。

“水素多様性”の時代

また、工藤教授が光触媒を研究しているのは、大量普及を前提に評価したときに、電気分解よりも優れた点があるからです。

もちろん、自然界から水素を得る方法は、光触媒だけではありません。太陽電池を使った水の電気分解やバイオマスから取り出すなど、“水素多様性”があっていいと思います。

いろいろある中で、光触媒を利用する一番のメリットは、コストのかかるエネルギー変換設備が水と太陽光と粉だけだということ。太陽光はエネルギー密度が低く、利用するには広い面でキャッチする必要があるので、設備は簡単であるほどいいですから。

実用レベルの物質は見つかる?それとも見つからない?読者の方々は、どう思われるでしょうか?次回の記事では、確率論を語る前に、見つかったときのインパクトについて、もう少し話を進めてみたいと思います。お楽しみに!

※1 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 よくわかる!技術解説「太陽光発電」より

R水素についてもっと知ろう!

writer ライターリスト

浅倉 彩

フリーランス編集者・ライター。エネルギー問題をメインテーマに取材・執筆・講演・企画など行う。NPO法人R水素ネットワーク コアメンバー。この他、「シマリタ」や「イオンカ」など、オルタナティブを提案するプロジェクトを仲間とともに進行中。沖縄在住歴1年とすこし。twitter : @ayaatagrica

partner パートナーリスト

R水素ネットワーク

R水素は、水の中にある水素をパートナーにすることで再生可能エネルギーのポテンシャルを高める、持続可能なエネルギーのかたちです。 NPO法人R水素ネットワークの公式ウェブサイトはこちら

AD

infoグリーンズからのお知らせ