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4 years ago - 2012.02.29

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“SAY”から”DO”へ!「AQUA SOCIAL FES!!」の仕掛人、岸勇希さんに学ぶソーシャルキャンペーンの秘訣とは? [What’s CSV?]

greenz/グリーンズ AQUA SOCIAL FES!! Student Camp トップ

先日greenz.jpでも取り上げたTOYOTAが本気で取り組むソーシャルキャンペーン「AQUA SOCIAL FES!!」、3月からいよいよ本格的な活動がスタートします。

「企業と社会と生活者が垣根を超えて成長する“共成長マーケティング”」と謳うからには、これからの社会をつくっていく学生たちの力が欠かせません!そこでグリーンズでは、このAQUA SOCIAL FES!!とThink the Earthと共同で「AQUA SOCIAL FES!! Student Camp」を開催することとなりました。キャッチコピーはズバリ「マイプロジェクトをつくれるひとになろう!」です。

今回はそのStudent Campに講師として参加する電通の岸勇希さん、Think the Earthの上田壮一さん、グリーンズの鈴木菜央の打ち合わせにおじゃまして、「AQUA SOCIAL FES!!!」を通じて仕掛け人たちが大切にしていることについて、お話を伺って来ました。

キャンプ当日でも聞けるであろう熱い思いをひと足早くお届けします!

from “SAY” to “DO”

岸勇希さん

岸勇希さん

コミュニケーションをデザインするための本』の著者でもある岸さんは、コミュニケーションデザイナーとして多くの話題の広告キャンペーンを手がけています。

岸さんが手がける広告が、何だか新しい感じがするのは何故なのでしょうか?そのキーワードが「from “SAY” to “DO”」でした。

僕は最近「from “SAY” to “DO”」ということを盛んに言っています。これは広告のあり方についてなんですが、これまでの広告というのは「どう言うか」という”SAY”の方法を追求してきました。でもこれからは”DO”、つまり振舞いを変えていくことが大事なんです。だから、広告を提案するときにも企業の振る舞いを追求するような提案をするようにしています。

広告というのは「広く告げる」と書きますが、広く告げてさえいれば売れた時代にはこれでよかったんです。だから「みんなに知ってもらうにはどう言うか」というのが広告屋の仕事になったわけです。この時代が長く続いたことで、本来手段であったはずの「広く告げる」ことが目的化してしまいました。

今は広げるためのチャネルも多様化し、消費者側にも情報が行き届いています。どういう経営者がどういう思いで取り組んでいるのかがつつぬけなんです。だからこそ広告業界も新しい時代に合わせた役割を果たさなくてはいけません。

“日本のものづくりを見捨てない”という”TOYOTAのメッセージ


「TOYOTA AQ CM Made in 岩手編 90秒」より

岸さんは、「”共感”は大事だけど、”共感を集めること”そのものがまた目的化してしまっている」と危惧しながら、次のようにつづけます。

ここで大事になるのがフローからストックへの変化です。キャンペーンのようにただ流れていくのではなく、誠実なメッセージを伝え続けることで共感が醸成されていく。ここで大事のは企業の振舞いであり、実際の行動という”ファクト”なんです。今回のAQUA SOCIAL FES!!のポイントはまさにそこにあります。

まず、CMでは岩手工場で生産していることを謳っていますが、この岩手工場で作るというのは”TOYOTAは日本のものづくりを見捨てない”というメッセージなんです。経済的に言えば、岩手工場で作るメリットはほとんどないのに、雇用を生み出すために敢えて岩手で作っている。

言ってみればこれはTOYOTAにとってのマイプロジェクトなんです。もちろんその背景には、その担当の方にとっての「自分ごと」としての熱い思いがあります。TOYOTAが本気で社会問題に取り組もうというしているという姿勢=DOを、誇張ではなくたんたんと見せていく。そうすると、車に乗らないという人でも共感しれくれるかもしれません。消費者が「この企業姿勢なら応援したい」と思ってもらえれば成功なんです。

「AQUA SOCIAL FES!!」をモデルケースに!

ここで、AQUA SOCIAL FES!!で現地の団体とのコーディネーションを行なっている、Think the Earthの上田さんにもお話を伺いました。

上田壮一さん

上田壮一さん

日本の場合、有能な人材がほとんど企業に流れているからこそ、企業が変われば社会が変わると信じて、CSR活動などに関わって来ました。だからこそ今回の「AQUA SOCIAL FES!!」は本当に画期的だと思っています。CSR予算ではなく企業のプロモーション予算で、社会的な課題を解決できるというプロジェクトは、日本ではまだほとんどないのではないでしょうか?これは本当に企業が変わってきたということじゃないかと思っています。

岩手工場のこともそうですが、大事なのは継続していくことです。そのうちトヨタの本当の凄さが醸し出されてくると思います。CSV(Creating Shared Value)という言葉もありますが、これからは企業にとっても社会的課題を「自分ごと」化し、大きな予算で解決していくような姿勢が大事だと思います。この「AQUA SOCIAL FES!!」がひとつのモデルケースになるといいですね。

“共感づくり”から”ファクトづくり”へ

これを受けて、岸さんもこうつづけます。

広告屋としては、これが成功してすべての企業がこういう方法論に気づいてくれれば最高ですね。先ほども言いましたが、これからは共感を”つくる”のではなくて、まず”ファクト”をつくることが大事だと思います。だからこそ「川がきれいになった」という事実が一番大事なんです。

そういう強い”ファクト”があれば人は振り向いてくれるし、それが共感につながれば関わり続けてくれるようになる。企業でも学生でも誰でも、マイプロジェクトをまずはじめて事実を積み重ねていくこと。それがこれからの時代に求められることなんじゃないでしょうか。

海や川でのレジャーが趣味である岸さんにとっても、「AQUAの案件はクライアントのためのお仕事であると同時に、マイプロジェクト的な思いもこめて関わっています。」と言います。みんなの本気が重なり合っているところが、気持ちいいソーシャルキャンペーンの秘訣なのかもしれません。

最後にグリーンズから学生へのメッセージ!

3月2日、3日に開催される「AQUA SOCIAL FES!! Student Camp」のコンテストから生まれたグッドアイデアは、greenz.jpで紹介するほか、具体化のためのサポートも行う予定です!

あしたの「いいね!」を作るために、まずはマイプロジェクトを実践し、”ファクト”をつくってみる。それがいま未来を担う学生に求められていることなのかもしれません。参加者の方は金曜日にお会いできるのを楽しみにしています!

マイプロジェクトをどう始めたらいいの?

writer ライターリスト

石村 研二

greenz シニアライター 東京生まれ。大学の法学部を卒業するも、法律に向いていないことに気づき、長いモラトリアム期間を過ごしながらひたすら映画を観る。 2000年にサイト「日々是映画」を立ち上げ、書くことを仕事にすべく駄文を積み重ねる。現在、ライター/映画観察者。greenz.jp以外には六本木経済新聞、WIRED.jpなどに出没。暇なときはSFを読んで未来への希望を見出そうとし、世界は5次元だと信じている。 日々是映画-ヒビコレエイガ http://www.cinema-today.net/

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