ISSUE エネルギー

4 years ago - 2012.02.04

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日本初!水と太陽の光でクルマを走らせる「R水素ステーション」がいよいよ埼玉県庁に! [R水素アクションNOW]

建設が進むのは、約10kWのソーラーパネル、ソーラー電力で8時間に0.5kgの水素を製造し350気圧まで昇圧する装置、約800リットルの水素を貯めておくタンクと、その水素を燃料電池自動車に充填する装置です。価格は秘密ですが、「大型商用ステーションに比べたらべらぼうに安い」とのこと。保守管理・運営費用もあまりかからず、ランニングコストは電気代・水代だけ。

建設が進むのは、約10kWのソーラーパネル、ソーラー電力で8時間に0.5kgの水素を製造し350気圧まで昇圧する装置、約800リットルの水素を貯めておくタンクと、その水素を燃料電池自動車に充填する装置です。価格は秘密ですが、「大型商用ステーションに比べたらべらぼうに安い」とのこと。保守管理・運営費用もあまりかからず、ランニングコストは電気代・水代だけ。

2011年11月、日本で初めて、水と太陽の光で車を走らせる「R水素ステーション」の建設が始まりました。HONDAが10年にわたり米国カリフォルニア州で研究開発を行ってきた技術の実物が、3月末に埼玉県庁に登場します。

事業性・勝算より日本の将来

HONDAはこのソーラー水素ステーションをどう売っていくつもりなのか?事業としての勝算はいかに?担当部署である環境安全企画室・篠原道雄室長に、いささかゲンキンな質問をぶつけてみました。

現時点で、最初から最後まで完全にCO2ゼロで、これまで『クルマ』が果たしてきた役割を全うする方法はこれしかない。そういう技術があるのだから『まだまだ実験的』と逃げるのではなく、やれる限りやるべきです。

返って来たのはまさにThe Power Of Dreamsな答え!篠原さんが語るように、水と自然エネルギー電力で水素をつくり、できた水素で発電して走るクルマ(燃料電池自動車)から出るのは水だけ、というこのシステムは、すべてのプロセスにおいてゼロエミッションです。

また、関連省庁と恊働して、いくつも重なった法規制の壁をひとつひとつくぐり抜け、開発部門と共に着工にこぎ着けた立役者のひとり落合さんは、

化石資源やウランに頼り続けることは、エネルギー調達を外国に依存し続けること。ここで、純国産のエネルギー技術の実現と進展を阻む法の壁に風穴を開けておかなければ、日本の将来に禍根が残ると思っています。

と、いち自動車メーカーにとっての利益追求を越えた視点で、このプロジェクトの価値をとらえています。

ちなみに、このソーラー水素ステーションが従来のガソリンスタンドにとってかわるとは考えていないそう。

ガソリンスタンドという概念を解体し、小規模分散型の燃料補給設備という新しい概念でとらえています。ガソリンスタンド級の規模の商用水素ステーションよりずっと小さくて安いので、燃料電池車と追いつけ追い越せで、スピーディな普及が期待できます。(篠原さん)

※このプロジェクトは、公益性の高さにより、環境省の「平成23年度 地球温暖化対策技術開発等事業」に採択され、公的資金による助成を受けています。

実物&世論の後押しでコストが下がる

さて、現実にこの技術が普及して行くためには、既存の法制度の枠組みを編集し直す必要があります。それには世論が不可欠なのだそう。このプロジェクトには、その世論を呼び起こす役割も期待されているようです。「実物がなければ世論が、世論がなければ法制度見直しの機運が高まらない。機運が高まれば、法規対応にかかるコストが下がります。モノ自体のコストも人気が出てたくさんつくれば下がっていきます」と篠原さん。

「エコカー」でひとくくりにできないEVとFCV

同じことがクルマにも言えるとか。

バッテリーに電気を積んで走る電気自動車と、水素と燃料電池(水素発電機)を積んで走る燃料電池自動車。エコカーでひとくくりにされがちですが、性能にはかなりの差があります。

例えば、電気自動車が無充電で走り続けるのは210kmが限界。多くの場合、出かけて帰ってくると電気が残っていないことが想定されます。充電にも時間がかかるので、そこから家庭用の電力を取るより先に、何時間も充電しなければなりません。

一方で、燃料電池自動車は無充填で620km走ります。電気自動車の3倍余力があるので、家に帰った後は家庭用の電源として使うことも十分可能。しかも、3~5分で満タンになります。

3〜5分で満タンに。満タンにすれば620km、充填なしで走り続けます

3〜5分で満タンに。満タンにすれば620km、充填なしで走り続けます

つまり、近所でシェアするソーラー水素ステーションがあり、自宅に燃料電池自動車があれば、クルマが移動手段・約10kW(※)の自家発電機・エネルギー貯蔵庫の3役をこなし、地産地消のゼロエミッションエネルギーで生活ができるのです。さらには、数台〜数十台の燃料電池自動車を電力を融通しあうマイクログリッドで紡げば、ゼロエミッションな自然エネルギーでの100%”地”給”地”足も夢ではありません。

こういった違いを理解し「新しいエネルギー社会を実現するクルマが欲しい!」と望む大衆の声が、市場と行政を牽引するのです。

インフラが先?クルマが先?

ところで、「水素で走る燃料電池自動車がいい」というと、「インフラがまだ」といわれ、「なぜインフラができないか」というと、「クルマが普及していないから」という堂々巡りが始まります。ニワトリが先かタマゴが先かの終わりなき水かけ論の着地点を、史実に求めてみましょう。

Question ガソリンとクルマ。どっちが先に普及した?

答えは、クルマなのだそうです。

T型フォードがガソリンより先に爆発的に普及してしまい、どうしたか? 幌馬車に樽入りのガソリンを満載して、グロサリーストアとか暖房用の燃料店に配って歩いて、ガソリンは樽で売られていたんです。つまり、燃料は馬で運んでいたわけです。T型フォードの発売が1908年、現在のガソリンスタンドという概念のガソリン販売業が始まったのは、なんと12年後の1920年からなんですね。(篠原さん)

T型フォードがもたらすうれしさと、それを欲しがる人々のパワーが、理屈を一蹴したのです。

「よけいなことを考えないで、走れば勝手に世の中がついてくる。」

既成概念を切り裂きながら、エネルギーシフトの先頭を走るHONDA。燃料電池自動車の一般向け販売開始は2015年の予想。国産の高級車と同程度の価格帯で発売されるとされています。

グッドアイデアとそれを形にするテクノロジーとパワーに敬意を表しつつ、HONDAが起こすエネルギーシフトの波に乗り遅れないよう、一緒に走っていきたいですね!

※HONDAの燃料電池自動車に搭載される燃料電池(水素発電機)は、実際には100kWの発電能力を持っていますが、10kW以上を外部出力して発電設備として利用すると、電気事業法の上での扱いが事業用電気工作物(10kW未満なら一般用電気工作物)となり、有資格者による電気主任技術者の配置が義務づけられるなど、さまざまな規制を受けることになります。

「R水素」のことをもっと知ろう!

writer ライターリスト

浅倉 彩

フリーランス編集者・ライター。エネルギー問題をメインテーマに取材・執筆・講演・企画など行う。NPO法人R水素ネットワーク コアメンバー。この他、「シマリタ」や「イオンカ」など、オルタナティブを提案するプロジェクトを仲間とともに進行中。沖縄在住歴1年とすこし。twitter : @ayaatagrica

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