楽しく遊んで世界遺産の森を守ろう!パパと子どもの”コミュニケーションツール”をつくる「PaPaCo Yoshino」

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一見、木製タイルのようで、触ってみるとやわらかく、紙のように自在に形を変える。鼻を近づけると、まぎれもない、木のいい香り!こんな素材、目にしたことありますか?

きのかみ』は、 奈良県吉野の杉素材をそのまま活かした「木でつくられた紙」。捨てられた間伐材を薄くスライスし、紙に貼り合わせてつくられています。

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実はこれ、吉野の森を守るために、現地の環境NPOと広告代理店がタッグを組んで製作されたおもちゃであり、親子のためのコミュニケーションツールなのです。

吉野とは奈良県南部の別名です。昔から高級杉や檜の産地として知られ、日本の林業の発祥の地とされています。静岡県の天竜杉、三重県の尾鷲檜と並び三大人工美林に数えられ、2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として熊野と共に世界遺産にも登録されました。

しかし、ご存知のとおり輸入木材が市場をあっというまに席巻して以降、日本の林業は衰退の一途をたどっています。林業従事者の高齢化も進み、間伐されずに荒れてしまった山々が増えています。

林業発祥の地、吉野といえど何か手を打つ必要がありました。


パパと子どもで森を感じられるおもちゃをつくる

そこで立ち上がったのが吉野の林業を守り健全な森づくりを目指すNPO法人「Yoshino Heart」はと電通のクリエーティブ・ユニット「汐留イノベーションスタジオ」 が手がける「PaPaCo Design Project」でした。

この二つのチームががっつりタッグを組み、パパと子どもで森を感じられるおもちゃのブランド「PaPaCo YOSHINO」を立ち上げたのです。

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杉や檜の間伐材やあまった端材を使用したおもちゃは、五感で森を感じられるものばかり。パパと子どもが楽しく遊び、夢中で創作する中で、手触りや香りを通じて木に親しみ、子どもたちに森林を保護することの大切さを知ってもらうことを目的としています。

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実際に「きのかみ」を触ってみると、イメージしていた「折り紙」よりもずっと肉厚で、しっかりとした手触りです。どちらかというと紙よりも「クラフト」という言葉がしっくり来ます。

それでいて紙のように軽く、折ったり曲げたり自在に変形できるので、いろいろな用途が考えれます。これならパパのクリエイティビティも刺激されそうですね!

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間伐材を活かしたものづくりの試みは「和Re箸」など、これまでにもgreenz.jpで取り上げて来ましたが、「パパと子どものコミュニケーション」を育てるというコンセプトは今までありませんでした。

このプロジェクトを手がけた、「汐留イノベーションスタジオ」の武藤さんはこう語ります。

「イクメン」という言葉がブームになっていた頃、父親の育児参加がファッショナブルに語られることに違和感を感じ、「子どもにとっての父親の役割って何だろう?」と考えました。

自分の中での「父親像」は、自然の中での遊びを通じて、自然や地球のことを子どもに教えてくれる存在。そうしたことも父親の役割のひとつだ、と思い立ち、パパと子どものおもちゃ=コミュニケーションツールをつくるプロジェクトを立ち上げました。

親との会話や遊びの中から、小さなこどもたちの創造力や社会意識が変われば、未来もきっと変わっていく、と信じています。

そうした中、今回は「Yoshino Heart」の代表からお話をいただきました。現地にも出向き、実際に森に入ってみて、ぜひ一緒にやりましょう!ということになりました。

ー「きのかみ」を作る上で、工夫した点はなんですか?

木の無垢材は加工品になっても変化する素材。湿度が変わると乾燥し、折るときに割れたりするので、厚さのバランスを折りやすく調整するのにとても苦労しました。ネーミングも、覚えやすくも第1印象で「何これ?」という違和感を持たせるものにしました。

手に取られた方は、必ず、本物の木でできていることにびっくりされ、つぎに、手触りや香りを感じて「いいですね」と笑顔になります。

また、パリで開催されているジャパンエキスポに今年出展したところ、自然環境×日本文化という側面から、海外の方にも好評でした。国外での販売も検討中です。

これからも、「うたたね」代表山極博史さんと共同開発した「どうぶつドミノ」や、木工作家の松本和美さんとの「つみき」など、パパと子のコミュニケーションを育むおもちゃたちが発売される予定です。

ぜひ、日本の木の良質な手触りを味わってみてください!

NPO法人「Yoshino Heart
奈良県吉野地域の地域資源(木材、食材)を中心に奈良県の商材を全国にPRし、吉野地域の地域産業の活性化を目指すプロジェクト名です。

PaPaCo Design Project(※2)」
電通のクリエーティブ・ユニット「汐留イノベーションスタジオ」が手がけるプロジェクト。パパと子が楽しく遊び学べる・会話で盛り上がる・夢中で創作するおもちゃ(コミュニケーションツール)を開発することで、親子一緒にクリエーティビティとイマジネーションが高まるきっかけづくりを目指している。ほかにも、多摩美術大学との産学連携による「ワークセッション」を行ったり、パパイヤ鈴木さんと共同で、ダンスを楽しく学べるメソッド『カズフミくん』を開発するなどプロジェクト多数。