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(米) 国立燃料電池研究所、助教授のJack Brouwer Photo by: Steve Zylius
8月16日、カリフォルニア州オレンジカウンティーの中にあるファウンテンバレーで、R水素の画期的なプロジェクトがスタートしました。
地元テレビ局ABC localやロサンゼルスタイムスも報じたこのプロジェクトは、一つの施設で水素から電気と車の燃料をつくる世界で初めての実証実験です。
ユニークなのは、下水から取り出された水素であること。毎日のように流される生活排水は、オレンジカウンティー衛生管理区域(以下OCSD)にある下水処理施設に集まってきます。その副産物として常に放出されるメタンガスを利用しているのです。

Air Products 社のR水素ステーション Photo by: energy.gov
産官学連携のコンソーシアムが実施主体で、燃料電池メーカーのFuel Cell Energy社、水素ステーションを提供したAir Products社、カリフォルニア大学アーバイン校の国立燃料電池研究室、南海岸大気環境管理区域、米国エネルギー省、南カリフォルニアガス社が参加しています。
3年契約で行われる今回のR水素実証実験のポイントは、プロセスがすべて施設内で行われ、外部からの電力に頼らなくても、24時間安定的に水素の供給ができること。詳しく仕組みを分解するとこんな感じです。
(1)流れてきた下水は、OCSDの処理施設にある一時貯水タンクに。タンクに貯まっている間は常に下水から消化ガス(メタンと二酸化炭素が混ざったガス)が放出される。要するに24時間、毎日出ている!
(2)次に消化ガスからメタンを取り出す。このメタンガスから異物を除去し純度を上げる。
(3)純度を上げたメタンガスは、Fuel Cell Energy社製の300kW燃料電池に送り込まれる。この燃料電池には、なんと普通は付いていない水素発生装置付きで、一日に120kgの水素を生成する能力がある。(1kgの水素で燃料電池車は約100km走行できるが、120kgの水素だと約12,000kmも走ることが可能。これは東京〜大阪間の往復13回に相当)
(4)できた水素は同じ燃料電池の中で酸素と化学反応をおこし、電気と熱を出す。発電時には大気汚染となるNOxやSOxは一切出ない。
(※R水素の仕組みをもっと詳しく: 今さら聞けない”R水素”入門編! R水素が世界を変える10の理由とは)
毎日250kWh発電される電気は下水処理施設で使われ、熱は施設の冷暖房として利用が考えられますが、使い道は検討中とのこと。
電気として使われなかった水素は、近くのAir Products社が運営するR水素ステーション(ガソリンスタンドの水素版)にパイプで送られ、車の燃料となります。OCSDで毎日生成されるR水素は約25〜50台分を満タンにできるとされています。

Fuel Cell Energy Inc. 300kW燃料電池とUC Irvine 研究チーム Photo by: Los Angeles Times
クルクル回り続ける地域循環型エネルギー
生活をしている限りどうしても出てしまう下水にも価値を見だし、その副産物を上手く再利用をする。カリフォルニアの下水を活用したR水素プロジェクトは、「水素をつくる」から「水素を使う」までのすべてのプロセスを施設周辺で行う地域循環型エネルギーのモデルケースと言えます。まさに電気、熱、動力源のあらゆるエネルギーの地産地消です。
プロジェクトの予算規模は約1,090万ドル(約8億8400万円)。財源はアメリカのエネルギー省、カリフォルニア州大気資源局、南海岸大気環境管理区域からそれぞれ捻出されています。
エネルギー省の Steve Chalk はプロジェクトの役割をこう語っています。
こうしたイノベーションと戦略的投資が、水素と燃料電池産業のブレークスルーを促進させるカギとなる。そのことを証明するプロジェクトだ。
注目すべきR水素モデルはまだまだ世界に沢山あります。次回のレポートをお楽しみに!
カリフォルニアのR水素アクションを動画で見よう!(英語)
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