ISSUE エネルギー

5 years ago - 2011.10.28

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自然エネルギーが世界に「革命」をもたらしうる理由とは? エネルギーの分散化で世界を変えるドキュメンタリー『第4の革命』

greenz/グリーンズ 第4の革命 メガソーラー

東日本大震災から半年以上が過ぎたものの、福島第一原発を巡る状況は予断を許さず、私たちはこれからどのような社会を作っていけばいいのか宙ぶらりんなままに置かれています。原発もなくしたい、でも化石燃料への依存もやめなければいけない、かと言って停電や節電が経済に与える影響も無視できない。そんな悩みをみんなが抱えていると思います。しかし、このエネルギーの問題に特効薬はなく、閉塞感が漂ってきている感じもします。うーん困った…

こんな時は、先行事例から学ぶのが一番!ということで、今日はドイツの自然エネルギーの状況を描いたドキュメンタリー映画『第4の革命』を紹介します!

この映画は簡単にいえば自然エネルギーについての映画です。ドイツ国内で資源(化石燃料)の枯渇やCO2排出への対策として進められている自然エネルギーの現状を描き、同時に小規模であるために電力を利用できない途上国で利用しやすいエネルギーとしても自然エネルギーの現状を紹介しています。

日本と同じ先進国であり、しかも福島第一原発の事故のあとすぐに脱原発を打ち出したドイツの現状がまずは気になるところですが、この映画で面白いと思ったのはむしろ途上国での活用という部分でした。

ドイツという先進国での事例というのは、ほとんどが日本でもすでに知られている、あるいは知ろうと思えば知ることができる事例です。日本でも始まるはずの全量買取制度だとか、自然エネルギー発電所の地域オーナー制度だとか、これをやれば少しずつではあるけれど自然エネルギーは普及していくはずだという事例が紹介されていますし、それを阻んでいるのはコストや環境問題ではなく、今の体制から利益を得ている抵抗勢力なのだという主張もすでにおなじみのものです。

こういう事はもちろん知らない人もいるので、周知させることも必要だし、知っている人にとってもいまそれがどのような状況にあるのかを整理してみせてくれるのはありがたいわけですが、この映画が教えてくれるのは、それ以上のことであり、それを考える材料は途上国での動きの方にあるのです。

この映画の主要人物の一人がマリで小規模な太陽光発電システムによる電化のプロジェクトを進めているイブラヒムです。彼はこちらも映画の主要登場人物であるデンマーク人のメゴーさんのもとで自然エネルギーについての知識を得て、母国のマリでプロジェクトをスタートさせます。そのプロジェクトというのは非電化地域の診療所などにソーラーパネルを取り付け、診療に必要な灯りを供給するというもの。学校や役所にも応用が可能で、もちろん一般家庭でも使えます。そして、このプロジェクトを進めるためにバングラデシュに赴いてグラミン銀行総裁でノーベル平和賞受賞者のユヌス氏と面会、同じようにミニソーラーシステムで電化を行なっているバングラデシュの農村の事例を学び、グラミン銀行の融資を得てマリでの活動を進めるのです。

greenz/グリーンズ 第4の革命 ソーラー

このイブラヒムの活動は、先進国のエネルギーの転換とは全く別のものです。電気がなかったところに電気をもたらし、しかもそれがその地域の資本によって達成されるということ、それによって地域は自立したまま発展できるのです。このような自然エネルギーによる地域の独立が先進国の都市部ではもはやほとんど不可能であることは、ここに登場するスペインのメガソーラーを見ればわかります。都市部の電力を賄うためにはどうしても自然エネルギーの施設も大規模にならざるを得ず、そこには資本の集中が生じます。

この映画は集中から分散へという動きも視野に入れてはいるように見えますが、それを実現するには、都市への人口集中やそれをもたらす私達のライフスタイルといったエネルギー問題よりはるかに大きなシステムの変化を必要とするのです。そこをどう変えていくのかはこの映画では示されていません。

むしろ、マリの事例のように地域から動きが起こり、その分散型の社会が集中型の社会よりも「いい」ことが明らかになることによってしかこの集中型の社会は変わらないのではないかと思えます。

この映画のタイトルである「第4の革命」は、自然エネルギーが“IT革命”に続く「第4の産業革命」であるとの考え方から来ています。“第1”の産業革命はもちろんのこと、IT革命も産業の革命でありながら世界中の人々の生き方をも変える「革命」でした。自然エネルギーが集中型社会から分散型社会への変革を世界規模で起こしえたら、それは本当に「第4の革命」たりえるのです。

みなさんも世界をより良くする「革命家」になるために、まずはこの映画でその道を見つけてみてください。

『第4の革命』
2010年/ドイツ他/83分

監督:カール・A・フェヒナー
出演:ヘルマン・シェーア、ムハマド・ユヌス、イーロン・マスク、ビアンカ・ジャガー

ヒューマントラストシネマ渋谷 2011年12月17日(土)~ロードショー
2012年1月14日(土)日本全国一斉上映会

公式ウェブサイト:http://www.4revo.org/

writer ライターリスト

石村 研二

greenz シニアライター 東京生まれ。大学の法学部を卒業するも、法律に向いていないことに気づき、長いモラトリアム期間を過ごしながらひたすら映画を観る。 2000年にサイト「日々是映画」を立ち上げ、書くことを仕事にすべく駄文を積み重ねる。現在、ライター/映画観察者。greenz.jp以外には六本木経済新聞、WIRED.jpなどに出没。暇なときはSFを読んで未来への希望を見出そうとし、世界は5次元だと信じている。 日々是映画-ヒビコレエイガ http://www.cinema-today.net/

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