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10/16は世界食料デー。意外と知らない?世界の最新食事情をおさらい!

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10月16日は「世界食料デー」。食問題を考え、行動する日です。食の問題といえば、世界の食の不均衡、自給率問題、食品ロスなど、基本的なものはご存知の方も多いと思いますが、実はあまり知られていない問題もたくさんあります。

そこで、「世界食料デー」を推進する特定非営利活動法人ハンガー・フリー・ワールドの儘田さんにお話を伺いながら、私たちが今知るべき、取り組むべき食の最新事情を探ってみました。

「食べ物は十分にある」という事実

まずポイントとして儘田さんがあげてくれたのが、これ。増え続ける世界人口に対して、食べ物が足りないから飢餓が終わらないのではなく、実は、世界中の人が食べるのに十分な食料が生産されているのをご存知でしょうか。飢餓人口が急増した2008年、世界の穀物生産量は過去最高を記録しましたが、その量を世界の人口で割ると、1人当たり約320kg。これは、日本人が食べている量の約2倍にもなるのです。

では、食が十分にある中で、飢餓人口が増えたのはなぜか?

そこにはなんと、投機マネーの影響があったのです。

もともと各国で生産された穀物の多くは、国内の消費にあてられるため、国際市場に出回っている量が少なく、値段が変動しやすいという特徴があります。そんななか、金融危機によってこのままでは利益が出せないと判断した投機家が穀物に目をつけたことによって、2007年から2008年にかけて、あっという間に食料価格は高騰してしまいました。
ハンガー・フリー・ワールド「世界の食事情」より

食べ物を「商品」として扱い、より豊かになろうとする一部の人間のエゴが、途上国に新たな飢餓を生んでいたのです。

食を作る資源も海外頼み。日本の食事情

次は日本におけるこの事実。日本の食料自給率はわずか40%で先進国においては最低水準。この事実はご存知の方も多いと思いますが、さらに、食料を生産するための土地や水などの資源も外国に頼っているという事実もあります。

日本が輸入している農産物を生産するために必要な海外の農地面積を試算すると、約1200万ヘクタールになりますが、これは、日本国内の田畑面積の約2.6倍の値(農林水産省 2007年データ)。その内訳を見ると、穀物や家畜のエサがほとんどだそうです。また、例えば200gのステーキには、そのエサとなる穀物を生産するために、約4,000Lの水が必要と言われており、これもほとんどが輸入によって賄われています。

日本の食生活は、このように海外の莫大な資源を使うことによって成り立っています。改めて、その数字のインパクトに驚かされます。

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天候の影響で穀物価格がまた高騰?

さらに最新事情としては、この夏の天候の影響による穀物価格の高騰が懸念されています。猛暑による農作物の不作で、小麦の輸出国であるロシアが小麦の輸出を禁止する措置を取っており、また穀物価格がまた高騰するのでは、と言われているのです。

【ロシアの穀物輸出禁止を伝える記事 】
asahi.com「ロシア、穀物輸出を年末まで禁止へ 猛暑の被害深刻」(2010年8月6日)
YOMIURI ONLINE「露の穀物、前年比3000万トン減」(2010年8月10日)

日本でも野菜や果物が値上がりしましたが、食費が家計の6〜8割を占める開発途上国において、穀物価格の値上がりが与える影響は、日本(食費は約2割)とは比べものにならないほど深刻です。実際、食料価格が飢餓人口の増減に与える影響は大きく、これによりまた飢餓人口が増えてしまうことも懸念されているのです。

飢餓人口は減少!明るい兆しも

一方で、明るい兆しとも言えるニュースも発表されています。9月にFAO(国際連合食糧農業機関)が発表したデータによると、飢餓人口は2009年の10億2,300万人から9億2,500万人に減少しています。依然、「子供が6秒に1人飢えで亡くなっている」(FAO事務局長ジャック・デ ィウフ)という深刻な状況に変わりはありませんが、開発途上国の経済成長が、このような数字となって表れてきています。

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「みんなで食べる幸せを」世界食料デー月間

さて、こんな背景の中、迎えた今年の世界食料デー。月間テーマは「みんなで食べる幸せを」です。日本全国で様々なイベントが予定されていますので、この期間にぜひ一度、食について考える時間を持ってみてはいかがでしょうか。

また、たとえイベントに足を運べなくても、食について知ることだけでもとても意味があることです。ハンガー・フリー・ワールドのホームページでは、世界の食事情をさらに詳しく解説してありますので、こちらのチェックもお忘れなく。

世界には不都合な食事情がいっぱい(ハンガー・フリー・ワールド「世界の飢餓と私の食」より)

世界には不都合な食事情がいっぱい(ハンガー・フリー・ワールド「世界の飢餓と私の食」より)

最後に、儘田さんからメッセージをいただきました。

私たちの豊かな食生活は、世界の飢餓と決して無関係ではありません。しかし、そのことに対して悲観的になるのではなく、世界食料デー月間のテーマでもある「みんなで食べる幸せを」分かち合えるような世界をつくるため、世界食料デーの機会に何か行動してみませんか?

食べることは幸せ。
みんなで分かち合えば、もっと幸せ!

ですよね。

まだまだ知らないことだらけ!世界の食事情を知る

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