エコビレッジ国際会議レポート(1):リノベでもコンバージョンでもない、「リファイン建築」がスゴい

廃墟だった建物が

廃墟だった建物が

リファイン建築で甦り、老人ホーム「後藤寺サクラ園」として活躍中

リファイン建築で甦り、老人ホーム「後藤寺サクラ園」として活躍中

2010年5月28日〜30日に城西国際大学で開催され、今年も多くの知恵が共有されたエコビレッジ国際会議。中でも特に印象的だったトピックスをご紹介していきます。

30日に「まちを甦らせるリファイン建築」というテーマで登壇したのは、首都大学東京 戦略研究センター教授の青木茂氏。「再生建築」や「団地をリファインしよう。」などの著書があり、リファイン建築の第一人者として知られています。「リファインって何?」と興味を惹かれて聞いてみると、それは目からウロコ!の新しくて実践的なサスティナブル建築のアイデアでした。

古い建物を甦らせれば、新しく建てるよりサスティナブル

リファイン建築とは、誰もがあたりまえに感じるこのコンセプトを、正攻法で実現したものです。ひとくちに「既存建築の再生」と言っても、内装デザインの衣替えから用途に合わせた間取りの変更、構造躯体の補強までさまざまなレベルが存在します。だからこそ、「正攻法で」というところがミソなのです。

リノベーションともコンバージョンとも違う「リファイン」は、ひとことで言えば、「古い建物をあと100年持つ建物にすること」。青木氏によれば、

どんなにセンスのいいリノベーション物件でも、丈夫さや長持ち性能が、基準が甘かった過去の建築基準法しか満たしていなければ、いずれは解体される運命を避けられない。なぜなら、住む人・使う人が安心できないから。

とのこと。本当の”キレイ”がメイクアップだけではつくれないように、表面の衣替えは、延命にはなっても、本当の再生にはならないのですね。従って、建物に「十分安心できる丈夫さや長持ち性能」を求める人々にとっては、新築しか選択肢がないのが実情だったそうです。

リファイン建築は、現在の建築基準法にもとづいて構造躯体の補強などを行い、新築と同じように役所に建築確認を申請します。そうして、歴史上最も厳しい安全基準をクリアしたお墨付きを得た上で、売りに出されるので、新築と同等のサスティナビリティが保証されるというわけ。

当然、環境負荷やかかる費用は新築に比べてはるかに少なくてすみます。プレゼン資料によれば、既存建物の解体・資材の生産・輸送・工事の過程で排出するCO2は新築のおよそ1/6。費用は6〜7割、ゴミの排出量は4割に抑えられるとか。これだけでも驚きですが、レクチャー中には青木氏から衝撃の証言が!

これまで約440のリファイン計画に着手し、構造的にNGで壊すしかない建物は3軒だけだった

というのです。ということは、私たちが知らないところで、まだ使える多くの構造躯体がスクラップされている・・・。なんてもったいない!

さて、新築と同じ丈夫さを持つ建物が、2/3のコストで1/6のCO2しか出さずに手に入る。こんなおいしいハナシが意外と知られていないのは、どうやら建築業界に浸透した新築至上主義が原因のようです。それならば、話はカンタン!自宅をリニューアルするとき、「リファインで」とオーダーしましょう。引っ越しを思い立ったら、不動産会社に「リファイン・マンションがいい」「リファイン・ビルディングを探して」とリクエストしてみましょう。消費者みんながリファイン建築に「イイネ!」と言えば、東京が世界一(初!?)のリファイン都市になるのも夢ではありません。

知り合いの不動産業者にリファイン建築を教えてあげよう。