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東京仕事百貨×ミシマ社×greenz.jp!社員10人以下の会社が語る「働き方・生き方」

会場は満員。参加者の皆様、ありがとうございました!

会場は満員。参加者の皆様、ありがとうございました!

毎月第2木曜日にgreenz.jpが開催する、エコ飲み会「green drinks Tokyo(略してgdT)」。3月11日(木)に行われたgdTは、なんと来場者数140名超え!「社員は10人以下!これが僕らの『組織のつくり方・働き方』」をテーマに、ゲストのミシマ社の三島邦弘さんと東京仕事百貨の中村健太さんと一緒にこれからの「働き方」について語り合いました。そして、最終的には「生き方」の話へと……。

【ゲストプロフィール】

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三島邦弘さん/株式会社ミシマ社 代表
1975年京都生まれ。1999年大学卒業後、PHP研究所に入社。単行本の編集者となる。2003年退社後、東欧などを旅する。同年10月、別の出版社で編集活動を再開。2006年10月株式会社ミシマ社を単身設立。「原点回帰」の出版社を標榜し、編集・営業・仕掛け屋などチームの枠を超え、「出版は全身運動である」という思いのもと、日々、奔走中。

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中村健太さん/株式会社シゴトヒト 代表
1979年東京生まれ。みんなが(そして自分も)楽しんでいる状況・場づくりがしたくて、建築学科へ進学。ただデザインするよりもプロジェクトをつくりたいという思いがあり、不動産会社に勤務。仕事は楽しかったが、自分のやりたいことを本気で考えるようになる。ふと足繁く通うバーになぜ行くのか考えてみた結果、「内装もいい、お酒や食事も美味しい、でも自分はバーテンダーの彼に会いに行っていたんだ!」ということに気付く。素晴らしいプロジェクトや場所に、「人」は欠かせないという想いから東京仕事百貨をスタート。最近では、新プロジェクト東京仕事参観も好評を得ている。

一般的に「会社」と言えば、社長がいて、部長がいて、課長がいて、係長がいて……そんなイメージがあるかと思います。ただ、本日のゲストは社員が10人以下の会社を運営している方々!一体どんな組織なんでしょうか?トークは、それぞれの会社が出来るまでの話からスタートしました。

トップバッターは、株式会社ミシマ社。社員は7人。もともと単行本の編集をやっていた三島さんが、自分が本当に良いと思える本をつくるため、マンションの一室から始めた出版社です。一時期は効率アップのため他社に営業を頼んでいた時期もありましたがうまくいかず、軌道に乗ったのは自社営業に変えてから。この経験から、「自分たちの想いを実現するためには自分たちが直接的に関わらなければならないことを学んだ」と言います。

「ミシマ社では、一冊一冊想いを込めて、納得いくものを作りたいんです。もともと、出版に理念を持ちたい!という想いから立ち上げた出版社なんです。一冊一冊しっかり売る。原点回帰の出版社ですから」と三島さんは語ってくれました。

左から 三島さん、デモレーターの兼松

左から 三島さん、デモレーターの兼松

続いては、greenz.jpを制作する株式会社ビオピオ。もともと雑誌が大好きだったという鈴木編集長がソトコトで修業した後、「自分が望む未来を作る雑誌を作りたい!」と立ち上げたのがgreenz.jpです。現在社員は7人。最初はうまく回らず、メンバーがフリーでコンサルやプランニングの仕事をこなしながら続けてきたと言います。そしてこう続けます。

「小さな会社にとって、メンバーの一人を選び出す採用は会社の死活問題。また、その人自身の人生も背負うことになるので、採用に関しては常に慎重ですね。『この人とやったらどんな事が出来るだろうか?』ときちんと想像していかないといけません。それと、メンバーには自分で生きていく力がある人であって欲しいですね。個々の能力が相乗効果を生み出すからこそ、一人では実現出来ないすごいことが出来ると思うんです。だから会社がなくなっても、自立して生きていける社員が理想です」

採用について語る中村さん(左)と鈴木編集長(中央)

採用について語る中村さん(左)と鈴木編集長(中央)

鈴木編集長が言うように、小さな組織にとって「採用」は会社の運命を握る重要なカギ。ビオピオ、ミシマ社がその大切な「採用募集」を出したのが、株式会社シゴトヒトが運営するサイト東京仕事百貨でした。このサイトは、「勤務地」や「給与」だけでなく、「生き方」や「ビジョン」で仕事を紹介する、求人情報サイトならぬ求“志”情報サイトなのです。また、2月からは実際に職場を訪問し、働く人達の生き方・働き方に接する「東京仕事参観」というプロジェクトを開始しています。(4月1日にはgreenz.jpでも行われる予定です!)代表の中村さんは、「仕事のやりがいは、実際に働いてみてじわじわと分かってくるもの。そのためには、働いている人達の背中を見ることが大切なんです」と語ります。

東京仕事百科の中村さん

東京仕事百科の中村さん

仕事柄いろいろな会社へ足を運ぶ中村さんですが、その中でも「ミシマ社はとにかく居心地が良い!ミシマ社は全てのミーティングをちゃぶ台を囲んで行い、お昼ご飯も一緒に食べるんですよ」「ミシマ社が家族だとすると、ビオピオはチームワーク。仲間が集う部室というイメージ」なんだとか。

採用について尋ねられると、三島さんは「うちのメンバーは出版取次会社のPOP職人とか、元お笑い芸人志望とか、突然人にすすめられてとか、今考えると予定がない採用ばかりでしたね。ただ、小さな組織は採用したら後戻りできません。だからこそ、それをパワーに変えることが大切なんです。人と楽しく働ける能力が一番大事。それさえあれば時代が変わろうがどうなろうが、きっと大丈夫だと思うんです」と答えてくれました。

質問する参加者の方

質問する参加者の方

続いては質疑応答です。「転職、起業を考えている方はいらっしゃいますか?」という質問にほぼ半分の人が挙手したほど、働くことに関心の高い今回の参加者のみなさん。その中から出てきた質問がこちら。

Q. 社員のモチベーションはどうやってコントロールしているのですか?
中村さん
「大きい会社では、とりあえず、たくさん新入社員を入れて、モチベーションのための研修をしますよね。ただ、小さい会社はモチベーションありきで入ってくるので、後でモチベーションに悩むことはあまりないんじゃないでしょうか。そのためにも、モチベーションの上がる仕事を真剣に考えることが大事だと思います」
鈴木編集長
「モチベーションと仕事は分けて考えられない。それ自体がやりがいがあって、学びがあるものなので。だから、モチベーションは作るものではないと思います」

Q. 今の10人以下という規模を続けていきますか?大きくしていきますか?

三島さん
「今くらいの規模で続けていくと思います。人数を増やしすぎると、増やした人の給料を払うために出版数を増やさなければいけません。そしてそのことが質の低下を招き「売れない」という悪循環に陥ってしまうんです。こういう要素が入ってきてしまうと、面白いからやる、というスタンスが失われてしまいます。この軸だけは絶対に貫き通していきたいので、基本的に拡大はしないですね」

鈴木編集長
「何かをやろうと思った時の最低構成人数がベストですね。面白いことをやろうとする一人一人にきちんと役割があって、お互いのことをしっかりと分かり合える規模が一番良いと思います」

Q. 社員を養っていくことと、やりたいことへの想い、そのバランスってどうやって取っているんでしょうか?(ライフワークとライスワークについて)
鈴木編集長
「やりたいことをやり抜くことによって、やりたくないことをやるよりも多くのお金を生み出せるんじゃないかと思うんです。だからまずは、何事もやり抜くことかな、と思いますね」

三島さん
「考えたことがないです。お金のことを先に考えることよりもまず健康。ミシマ社は愛されるアイデアこそが命なので、良いアイデアが出るように社員のコンディションを整えておくことが最優先です」

真剣にメモを取る姿が多く見られました。

真剣にメモを取る姿が多く見られました。

トークの後、「時間が足りなくて話したいことの1割しか話せなかった!」と言う中村さんに、「小さい規模の会社ってこれから増えると思いますか?」と聞いてみました。中村さんは、「増えると思います」と断言。

「情報がより広く行きわたるようになって、働き方にもどんどん多様性が出てきました。そういった中で、大組織が大きなコンセプトを持って大人数の人を動かすという事に限界が来ていると思うんです。顔が見える範囲、人間対人間で向き合うような仕事のやり方じゃないと、これからは成り立たなくなるんじゃないかな。大きくないと維持出来ない会社(インフラやメーカー)以外は、どんどん小さくなっていくと思います」。

なるほど。これから小規模の会社が増えてくるとなると、会社へのイメージは大きく変わってくるかもしれませんね。

今回の話を通じて、やりたいことに向かってひたむきに走る「生きざま」を強く感じました。その生きざまに深く共感した仲間達が集まり、うんうん頭を抱えて考えてアイディアを出し合ったり、ぶつかり合ったり、励まし合ったりしながらやりたいことを実現していく。それが、彼らにとっての会社なのかもしれません。

そして、今回のゲスト全員に共通していることが、「できる」と信じて走り続けること。この3社をつなぐキーワードは「面白いことやろう!」という意識。これからどんなすごい事をやってくれるのか、そしてどこまで走り続けていくのか、今後も目が離せません!

スライドショーはこちらから。

次回のgdは4月8日(木)です。お楽しみに!