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漁船もバイオ燃料の時代?! 八丈島で「ジャトロファ」を使って走行実験

Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by m-louis.

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化石燃料に代わるサステナブルな燃料として、バイオエタノールやバイオディーゼル燃料などへの注目も高まっている今日この頃だが、そうしたバイオ燃料の一つで、まだ余り知られていない物に「ジャトロファ」(ヤトロファとも)がある。9月25日、八丈島でジャトロファ油を50%配合した燃料で漁船を走らせる実験がおこなわれ、成功したという。

この実験はジャトロファの普及を進めるNPO法人「なでしこふぁみりー」と、八丈島の地元企業「阪上」の共催によるもの。報道によれば、試験漁船は島の近海を約1時間航行したが、排ガスにほとんど色もなく、エンジン回転なども通常通りだったとのことだ。

「ジャトロファ」は和名を「ナンヨウアブラギリ」という植物で、種子に約30%の油脂を含み、1haから年間1.75トンのバイオディーゼル燃料が得られるという。種子3~4kgで1リットルの燃料ができる計算だ。植物全体に毒があるため食用には適さないが、バイオエタノールのサトウキビやトウモロコシのように食糧と競合する心配がない。干ばつに強く、やせた土地でも育つといい、インドでは普及プログラムも進む。

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wikipediaより:Photo by R. K. Henning

去年は原油価格の高騰で、漁船の燃料となる重油の価格も上昇し、漁業関係者が大打撃を受けたことは記憶に新しい。このジャトロファ、漁民にとって果たして福音となるのか?

「なでしこふぁみりー」によれば、ジャトロファは八丈島で800坪(0.26ha)、沖縄で1万坪(3.3ha)が栽培されている。ジャトロファは気温が10度を下回ると葉を落とすため、温暖な地域でないと栽培がむずかしい。種子から油を搾り、精製する技術は確立されているが、国内ではコストがかさむのが現状だ。海外でも既存の畑作地からジャトロファに転作した場合、食糧不足の原因となるという懸念もある。

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ジャトロファの種
Creative Commons. Some Rights Reserved. Photo by treesftf.

けれども「砂漠緑化に役立つ」「食糧と競合しない」というジャトロファの強みはもっと注目されてもよい。一説には世界の砂漠の面積は36億haというから、すべてにジャトロファを植えた場合では年間63億トン(!)のバイオ燃料が生産できることになる(あくまで単純計算です)。
バイオ燃料として大きな可能性を秘めたジャトロファに、まずは注目だ。

出来ることからはじめよう。廃食油を回収すれば燃料に。