あのパタゴニアも協力!ウォルマートが目指すのは、メーカーと消費者のグリーン化!?

Photo by Walmart

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カーボンニュートラルを唱えるのは、デル(Dell)社。かたや環境配慮設計を約束するHP社。さて、環境意識の高いあなたが選ぶのは、どちらのブランドのノートパソコン?

環境に配慮してつくられる商品は増えた。でも同時に、商品の環境負荷度を示す指標も増えた。いざ、できるだけ環境負荷の少ない買い物をしようと思うと、途方に暮れてしまうことも。

そんな悩みを解決してくれそうなのが、今回ご紹介するウォルマートの新たな取り組み。

ウォルマートは、世界最大の小売業者。つい数年前までは、どちらかというと環境や社会への悪影響を批判される企業だった。

同社の環境や社会への配慮が注目を集め始めたのは、2007年。19年間かかげてきたスローガン「Always Low Price(いつでも低価格)」が、「Save Money. Live Better(節約と、より良い生活)」に変わった。同年、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクトに参加。2008年には、中国店舗のエコ化を宣言したり、トレーサブルな貴金属製品の新ブランドを立ち上げたり。公表している環境目標には、北米全店舗でのごみゼロMSC認証済みの魚介類商品100%などがある。

今後も、より多くの顧客が環境負荷の少ない商品を求める。特に、1980年から2000年の間に生まれた世代は、経済状況にかかわらず、サステナビリティに配慮する。

そう予想するウォルマートが取り組みをスタートしたのは、商品の環境・社会的影響を数値化するサステナビリティ指標の開発。他企業も活用できる総合的で客観的な指標をつくるため、プロジェクトは大学や環境NGO、メーカー、同業他社などとコンソーシアムを組んで進められる。メンバーには、あのグリーンビジネス起業家イヴォン氏率いるパタゴニア社も。

ウォルマートは、持続するサステナビリティに向けて取り組んでいる。経済状況にかかわらずサステナビリティが優先されるようになってほしいからだ。そのために重要なのは、サステナブルな消費を可能とするためのツールを開発することだ。

ウォルマートのCEOであるDuke氏は、 そう語る。


7月のマイルストーン会議でサステナビリティ指標について語るDuke氏。会場には、共同出資者、サプライヤー、環境団体など約1,500 人が集まった。

ウォルマートによると、そのツールづくりには主に3つのステップがある。

(1) 取引先の環境・社会影響調査
10万社を超える取引先を対象に環境・社会影響に関するアンケートを実施。回答をもとに各社をランキング。

(2) 全商品のライフサイクルにおける環境・社会影響度データベースの構築

上記コンソーシアムで商品のLCA分析を実施。結果をデータベースとして共有。

(3)世界中の全店舗におけるサステナブル指標の導入
商品の環境・社会影響度を判断できるシンプルで分かりやすいサステナブル指標を示すラベルを全店舗の全商品に表示。

この3つのステップのうち、現在進行中なのは、取引先の環境・社会影響調査。
ウォルマートと取引する企業は、エネルギーと気候、材料効率性、天然資源、人と地域社会、の4分野における計15問から成るアンケートへの協力が求められる。

気になるアンケート項目は、以下のとおり。

Q1. 自社の温室効果ガス排出量は計測したことがありますか?

Q2. カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト
温室効果ガス排出量を報告したことがありますか?

Q3. 直近の年間総温室効果ガス排出量は何トン(二酸化炭素換算トン)ですか?

Q4. 温室効果ガス削減目標は開示していますか?開示している場合、その目標数値は?

Q5. ウォルマート向け製品の生産にともなう固形廃棄物の直近の年間総発生量は?

Q6. 固形廃棄物発生量の削減目標は開示していますか?開示している場合、その目標数値は?

Q7. ウォルマート向け製品の生産にともなう直近の年間水消費量は?

Q8. 水消費量の削減目標は開示していますか?開示している場合、その目標数は?

Q9. 直接取引先の環境コンプライアンス、雇用慣行、製品・材料の安全など
サステナビリティに関する購買ガイドラインを開示していますか?

Q10. ウォルマート向け製品に関して第3者認証を取得していますか?
している場合、認証期間が切れていないものをリストアップしてください。

Q11. 自社製品を生産する全工場の立地を把握していますか?

Q12. 製造施設とビジネス関係を築く際、事前に製造品質・能力を評価していますか?

Q13. 生産現場での社会的コンプライアンスを管理する手順が定められていますか?

Q14.社会的コンプライアンスに関する評価で特定された問題の解決および
修正点や改善点の文書化は、取引先との協力のもとに実施していますか?

Q15. 調達市場や事業展開する市場における地域発展活動に投資していますか?

米国内の取引先企業は、10月1日までに回答の提出を求められている。海外業者に対する提出締切日は、いまのところ発表されていない。でも、最終的には、世界中の取引先に対象が拡大される予定だ。

アンケートに協力しない業者に対するペナルティーは設けない、でも自社との関係は薄まるだろう、とウォルマートは発表している。圧倒的な購買力を持つ同社との取引と引き換えとくれば、メーカーは協力しないわけにはいかないだろう。

そしてもちろん、メーカーとしては、単にアンケートに協力するに留まってはいられないだろう。ウォルマートの店頭に並ぶ商品の中で、できるだけサステナブル指標の高い製品をつくることで、競争力を高めようとするはずだ。環境や社会への配慮により力を入れる企業が、世界規模で増えていくことが期待される。

ウォルマートの上級副社長Kistler氏も、

今日店頭に並んでいる商品と、10年後に店頭に並ぶ商品を見比べることができたら、そこにはびっくりするほどの変化が見られるだろう。

と期待を示している。

消費者のエコ意識向上を期待する声も多い。たしかに、買い物をするたびに自分が食べるものや使うものの環境データを目にすれば、環境問題はより身近になっていきそうだ。

商品の環境・社会負荷度をシンプルな指標に置き換えるプロセスは、とても複雑。低価格を追求して成功をおさめたウォルマートが、「より良い生活」をどこまで追及できるのか。成果を楽しみに待ちたい。

サステナビリティ指標づくりを進めるコンソーシアムのHPを覗いてみる。