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7 years ago - 2009.08.06

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これぞグリーン・ビジネス! パタゴニア創業者のイヴォン・シュイナード、大いに語る

パタゴニア創業者 イヴォン・シュイナード氏

パタゴニア創業者 イヴォン・シュイナード氏

高品質なアウトドアウェアのメーカーであり、売上げの1%を地球環境を守る活動に投じるパタゴニア社インターフェイスフロア社と並びサステナブルな企業の代表格だが、創業者のイヴォン・シュイナード氏が来日し、グリーン・ビジネスについて大いに語った。

これはgreenz.jpとともに「グリーン・メディア・アライアンス」を構成する環境ビジネス誌「オルタナ」の企画によるもの。7月27日、会場の東洋経済新報社ホールには250人が詰め掛けた。

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イヴォン氏の講演を聴く人で会場は満員に!

ウォルマート社をサポート

現在、パタゴニアは世界有数の小売企業であるウォルマート社のグリーン化戦略に助言している。ウォルマートといえば西友の親会社でもあるが、「ウォルマートを上回る経済規模を持つ国は世界に10カ国しかない」と言われる巨大企業だ。そしてまた、低賃金労働や出店にともなう地方経済破壊などで批判にさらされてきた企業でもある。

「昨年の経済危機では、貪欲でずるがしこい企業が最終的にどうなるかが明らかになりました。アメリカはオバマ大統領の下で良い方向に向かっていますが、今から3年前、ウォルマートのCEOがパタゴニアのオフィスを訪れて『これからはグリーン・ビジネスの先頭に立ちたい』と言いました」

昨年秋のウォルマートの会議で、集まったバイヤー1200人に「今後は取引先の環境対策を監査し、そして販売するすべての商品の原料や工程、労働の公正さ、および環境負荷を把握する」という同社の方針が伝えられた。「グリーン・ビジネスにシフトしないと、変化を恐れた末に倒産したGMの様になる」。同社の深刻な危機感の表れだ。

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講演するイヴォン・シュイナード氏

「消費者、特に『ジェネレーションY』と呼ばれる18~26歳の人々は、広告に惑わされず、自分の目で良い商品を選ぶ。良い商品の条件は、環境負荷が低く、公正に作られ、しかも品質が良いこと。若者は財布の中に現金という一票を持っています」

今後、ウォルマートは商品一つ一つについて環境貢献度や健康への安全度などを明記するという。例えば塩はどれが一番健康にいいか、テレビはどれが環境負荷が低いか、一目で分かるようにする。政府の取り組みは遅いので、先行して始めるそうだ。

「EDLP(Every Day Low Price)」を掲げるウォルマートがこうした仕組みを実現するのは2つの意味で興味深い。一つは「価格だけが消費の基準ではない」と世界最大規模の小売業者が認めたこと。もう一つは、ウォルマートの店頭に商品を並べるメーカーは、これからは嫌でも環境や公正を意識しなければならないということだ。

プライスタグに表示された環境貢献度が低ければ、消費者に見放されるかもしれないのである。しかもパタゴニアのような「高級ブランド」でなく、廉価な消費財でそれが吟味されるのだから、インパクトは絶大だ。パタゴニアのサポートがウォルマートの変革を成功させれば、「環境とビジネスは両立する」というグリーン・ビジネスのまたとない好例となるだろう。

経済危機は最高のチャンス!

「環境やサステナビリティは余計なコスト」という意識が強い日本。質疑応答では「個人ではサステナビリティを意識できても、会社に行くと『利潤優先』。一体どうしたらいいのか」と質問が出た。

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聴衆とイヴォン氏との間で活発な議論が交わされた

「世界中の多くの問題を解決するには、方向転換し、前へ進むことが大事です。私は多くの人々から同じような質問を受けますが、『一日中PCの画面を見ていたいですか? それとも外へ出て庭の世話をしたり、あるいは手作業で素晴らしい製品を作っていたいですか?』と逆に尋ねることにしています。それが皆さんの質問への唯一の答えです」

まるで禅問答だが、イヴォン氏の言葉にはグリーン・ビジネスの本質が詰まっている。金儲けのために地球から奪い、環境をこわし、良心を犠牲にして働くのでは地球も企業も、自分自身も持たない。グリーン・ビジネスとは単なるマーケティングではなく、限りある地球でお互いが共に生きる為の作法であり知恵だ。とかく利益や採算というビジネスの表層に目を奪われがちだが、「本当に守るべきは何か」とイヴォン氏は問う。

世界最高水準の生産性を誇るトヨタでさえ、今や2期連続の赤字に苦しむ。「トヨタは北米で、大きくて燃費の悪いSUVを作り続けた」とイヴォン氏は語るが、これこそサステナビリティを無視して利潤を追求した結果だ。そう、今や利益至上のビジネスモデルこそが破綻する時代なのである。

「経済危機こそ最高のチャンス。競合他社は次々姿を消しています」とイヴォン氏は冗談めかすが、パタゴニアの今年の売上は過去最高という。インターフェイスフロア創業者のレイ・アンダーソン氏が「環境性能の低い競合他社に勝って、地球とともに勝つ」と言うのと全く同じだ。

パタゴニアの株主は地球です。私たちのビジネスの基準は『地球にとって正しいかどうか』です」というイヴォン氏の言葉こそ、グリーン・ビジネスの最高のヒントである。

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質疑を終えて。左からパタゴニア日本支社長の辻井隆之氏、イヴォン氏、
通訳の飯田リサ氏、オルタナ編集長の森摂氏

イヴォン・シュイナード氏の著書「社員をサーフィンに行かせよう」(東洋経済新報社刊)を読んでみよう!

writer ライターリスト

斉藤円華

斉藤円華(Madoka Saitoh)。ジャーナリスト/ライター/サイクリスト/オルタナ編集委員。著書に『多摩のまち 自転車探検』(けやき出版)。ツイッター: @mdk_on_line

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