今年もあの映画祭がやってきた!同性愛者じゃなくても注目の作品が続々!

『イングリッシュマン・イン・ニューヨーク』

『イングリッシュマン・イン・ニューヨーク』

ゲイやレズビアンの人たち(以下LGBT:レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの呼称)のエネルギーってすごいと思う。偉大なアーティストにもゲイやレズビアンは多いけれど、彼らの作品はどこかポップでハートがあって、ピースフルでもある。同性愛者というと偏見の目で見られることも多いだろうけれど、私はそんな彼らのバイタリティにいつも憧れのような尊敬のような目を向ける。

そして、そんなLGBTの人たちが作り上げてきた映画のお祭り、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭が今年も開催の幕を切った。第18回となったこの映画祭は当初はLGBTの人たちが作品を仲間に発表する場として始まったのだが、年々その規模は拡大し、LGBT以外の人々の間にも広まり、多くの人たちが楽しみにする夏の一大イベントとなったのだ。

ここ数年は前売り券で席が埋まってしまう上映も多く、人気作品の中には発売1時間を待たずに売切れてしまう作品などもあるという。今年の注目作品はスティングの歌のモデルともなった作家ペニー・アーケイドを描いた『イングリッシュマン・イン・ニューヨーク』。すごく面白そうだが、前売り券は完売、当日券もかなりの競争率になりそうだ。

この映画祭がこのように人気を博すようになった理由はなんと言ってもその作品の質の高さによるものだ。その作品はLGBTの人々にとっての自己表現の場であるにとどまらず、それ以外の人々にとっても価値のある芸術作品であったり、多くの人々にとって重要な社会問題を投げかけていたり、あるいは単純に楽しめる娯楽作品であったりするのだ。

私がこの映画祭に出会ったのは2000年のことだったが、そのときに見た『踊るのよ!フランチェスカ』という作品の印象は強烈だった。ドラァグ・クイーンが大きな体で踊るこの映画は、笑いの中にさまざまなメッセージが込められ、楽しみながら考えさせられるという作品だった。

その後もさまざまな作品があったが、それらの作品のテーマは基本的にはセクシャル・マイノリティであることから生じる問題である。依然として残る差別や偏見の問題に、宗教的禁忌が加わる。あるいは同性愛カップルの結婚や子供という問題もある。それらはLGBTの人々の問題であると同時に、彼らとともに暮らすそれ以外の人々の問題でもある。サステナブルな社会とは人種や宗教やセクシュアリティに関わらずみなが平和に幸せに暮せる社会である。そんな社会を築くためにはこの問題を無視することは誰にもできない。

と、深刻になってしまったが、この映画祭で上映される作品をはじめ、LGBTに関わる作品の多くはそんな深刻な問題を明るく見せてくれる。当事者である彼らがどこかで深刻さを嫌い、笑いに包むことで衝突が生じることを避けているかのように。

そんな彼らの明るさゆえか、映画祭もいわゆる映画祭よりも“祭り”の要素が強いように感じられる。開催規模が大きくなり、来場者が増えても依然として手作りの感じを維持していて、そこを訪れた人は楽しく華やいだ気分になれる。それもこの映画祭の魅力の一つだ。

それはこの映画祭が東京国際映画祭フィルメックスといった大規模映画祭と違い、映画見本市としての役割があまり大きくないことによるのだろう。もちろん配給会社の目に止まり一般公開されたりすれば嬉しいだろうが、それよりも自分たちの作品を見てもらうことに喜びを感じているように感じるのだ。セクシュアル・マイノリティの文化とはある意味ではカウンターカルチャーのひとつである。この映画祭は、そのカウンターカルチャーがいわゆるメジャーカルチャーに別の視点を提供するという場でもあるのかもしれない。

映画“祭”とは本来こういうものだったんじゃないかと感じさせてくれる貴重な映画祭、まだ体験したことがない人はぜひ!

【開催概要】

第18回 東京国際レズビアン&ゲイ映画祭 2009
2009年7月16日(木)~20日(月) @ スパイラルホール(青山 / スパイラル 3F)

東京国際レズビアン&ゲイ映画祭に行こう!